私のマジカルノベル

@kitunetuki12

文字の大きさ
2 / 27

第二魔法;カルトに会ったのは今日の午後​

しおりを挟む
入学式が無事に終わり、学校の門の前に立つ。面白いぐらいくねりにくねった鉄の門の前だ。この門を開けるには、クリナミロン高生が呪文を唱えなければいけない。ってことで、目を閉じて力強く詠唱する。​

「オプート・アザン!」​

魔力が全身を駆け抜けていくこの感じ!ホントに最高!目を少し開ける。目の前には鉄の門。いや、閉まった状態の鉄の門。…あれ?​

「オプード・アザン。」​

すぐ後ろから声がしたと思ったら、次は目の前の憎き鉄の門が開く。な、何やつ!後ろを見ると、赤毛の男子生徒が立っていた。​

「トに濁点が付いてなかったよ。」​

それだけ言うと私の目の前を通り過ぎていく。気のせいかもしれんが、肩がプルプルと震えている。泣いてる?心配になった私は急いで赤毛のヤツを追いかける。時間は全然経ってなかったので、門からすぐ出たところにいた。​

「何か学校で嫌なことでもあったの?」​

赤毛のヤツの背中に向かって問う。肩の震えが激しくなる。よしよし、我が汝の話を聞いてやるから、話すんだぞい…。同情の目を用意したときに、彼が振り向いた。顔が歪んでいる。​

「さぁさぁ、遠慮せずに話しなよ。」​

ここまで言ったら、とうとう歪んだ顔もクシャクシャになっていった。そして…。​

「アッハッハハハハ!ちょ、まっハハハ!やめ…腹痛いって…クックッ…。」​

状況を理解するのに三〇秒かかった。まず、自分が笑われていることに一〇秒。次に、赤毛のヤツが笑い野郎の正体だと気づくのに一五秒。最後に、こんなヤツのために自分の時間を無駄にしたと理解するのに五秒!​

「失礼ね!心配してあげたのに!」​

「ハッハァ…ダ、、誰が心配されるようなことをしたよ?」​

イラ度がMaxに近づくのを物凄い魔力で阻止する。​

「門を開けて私を通り過ぎた後、肩が震えてたじゃない!」​

「君は、肩が震えてた=悲しい、しか考えないのかい?」​

心配してやったのに上から目線で質問してくる。​

「あの状況では、笑いをこらえてたから肩が震えてたと言いたいの?」​

調子乗り野郎が今にも、”貴様にしてはよくやった、ほめて遣わそう”みたいなことを言いそうだ。​

「うん。だって、オープド・アザンは小一で習うのに、それを間違えるんだもん。」​

「ひどくない?誰にでも間違うときはあるのに。」​

この一言を是非、後世に偉人の言葉として残してもらいたいものだよ。​

「僕だって、そこまでひどい奴じゃない。でも、あれだけ自信満々に呪文を唱えて間違えてたら笑って済ましてもらったほうが気持ちが楽だろ?」​

私の脳内でスーツを着た真面目な顔の人が、本日は誠に…と謝罪している。それだけじゃない。顔が真っ赤に紅潮していった。私は恥ずかしい思い出さえ持っておけば、化粧品のチークはいらないと、今理解した。​

「苦ッ、あ…ありがとうございます…。」​

ニンマリと調子乗り野郎が笑った。​

「それでいいんだ。…あっ!自己紹介がまだだったね。僕の名前はカルト。魔学教育学部で、君と同じ新入生さ。」​

一応調子乗り野郎からカルトという名前に変更した。それに、なぜ私が新入生と分かったのかは大体予想がついた。(どうせ、幼そうだからとか、先輩味が感じられないからとかだろうよ!)​

「私はチャミス。よろしくね、カルト。」​

英語の文章を和訳した感じになったけど、気にしない、気にしない。​

「よろしく、”黒髪”のチャミス。」​

な、なぜこいつに気づかれたんだ?リズミールが情報を広げた?いや、まだ初日だ。可能性は低い。​

「前髪が少し出てるよ。」​

そう言って、基礎の基礎である対象物移動魔法で私の前髪を帽子に戻す。意外と、いいやつではないか。少しだけ評価を高くしようではないか!​(一ミリぐらい)

「そろそろ僕は行くね。」​

そう言って去っていった。対象物移動魔法の応用編を使って。​

「フッ。まぁ、貸しにしといてやるか…。」​

カッコつけてこのセリフを言いたかったが、”あの”恥ずかしい出来事のせいで顔がひきつった。それだけじゃない。”あの”上から目線のせいで声が雑魚キャラの捨て台詞のトーンになってしまった。​

「でさーここがね…。」​

ゾロゾロと他校から魔術生が帰り道を歩んでいる。私も、今日は入学式で疲れたし、帰ろうかな。脳内の君も、私の不幸な事件(原因は自分で作ったが)でもう疲れただろう?じゃあ、また明日ね。​
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

いつか優しく終わらせてあげるために。

イチイ アキラ
恋愛
 初夜の最中。王子は死んだ。  犯人は誰なのか。  妃となった妹を虐げていた姉か。それとも……。  12話くらいからが本編です。そこに至るまでもじっくりお楽しみください。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

追放された最強令嬢は、新たな人生を自由に生きる

灯乃
ファンタジー
旧題:魔眼の守護者 ~用なし令嬢は踊らない~ 幼い頃から、スウィングラー辺境伯家の後継者として厳しい教育を受けてきたアレクシア。だがある日、両親の離縁と再婚により、後継者の地位を腹違いの兄に奪われる。彼女は、たったひとりの従者とともに、追い出されるように家を出た。 「……っ、自由だーーーーーーっっ!!」 「そうですね、アレクシアさま。とりあえずあなたは、世間の一般常識を身につけるところからはじめましょうか」 最高の淑女教育と最強の兵士教育を施されたアレクシアと、そんな彼女の従者兼護衛として育てられたウィルフレッド。ふたりにとって、『学校』というのは思いもよらない刺激に満ちた場所のようで……?

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

あなたが後悔しても、私の愛はもう戻りません

藤原遊
恋愛
婚約者のアルベルトは、優しい人だった。 ただ――いつも、私より優先する存在がいただけで。 「君は分かってくれると思っていた」 その一言で、リーシェは気づいてしまう。 私は、最初から選ばれていなかったのだと。 これは、奪われた恋を取り戻す物語ではない。 後悔する彼と、もう戻らないと決めた私、 そして“私を選ぶ人”に出会うまでの、静かな恋の終わりと始まりの物語。

冴えない建築家いずれ巨匠へと至る

木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」 かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。 安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。 現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。 異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...