私のマジカルノベル

@kitunetuki12

文字の大きさ
9 / 27

第九魔法;黒髪の武者と赤髪の奏者 中​

しおりを挟む
 「時は……五〇〇年位昔か?四大魔法大戦の時代だ。」​

ふむ。そんな昔のトコから始めるのか。​

「お前は、魔力消去装置を知っているか?」​

えぇ~っと、確か魔力を消す装置だよね?それなら知ってるわ。​

「はい。」​

アンさん…いや、アン先輩(苦ッ)は満足そうにうなずく。​

「あの装置は何の目的のために作られたか知ってるか?」​

そんな簡単なことを聞くんですか~?(あっ!私は昨日知ったばかりだ!)​

「他の勢力を脅すため…ですよね?」​

自信満々に答えると、また痛い目を見るかもしれない。だから、自信が無さ気に答える。​

「フッ。貴様はその答えに満足しているのか?」​

えぇ~。そんなこと言われても…図書館の資料にはこう書かれてたし…。​

「実は、これは嘘だ。脅すために魔力消去装置を作ったというのは、後からできた作り話だ。」​

…。突然、そんなことを言われても。どんな反応をすれば良いのかな?まだ戸惑っている私をおいて、説明を続けるアン先輩。​

「その隠滅された歴史が、”あの”魔法と密接に関係する。」​

おぉ!そんなすごい情報を持ってるんですか!?先輩、早く教えてください!​

「隠滅された真実、それは…。」​

ゴクリ、と音を立てて唾を飲み込む。隠滅された歴史…。ドキドキする!​

「黒髪の者たちは、自らのために魔力消去装置を作った。」​

え?確かに歴史の教科書とかを覆す内容だけど…。本当?これが本当のことだったら、すごいことになるけど…。​

「当時の黒髪の者たちは、四大魔法大戦に絶望していたそうだ。」​

ふむふむ。いや、そんな訳ないでしょ。根拠は、普通の高校生がこんな情報を持ってるわけがない、っていうこと。実に簡単な推理だよ。​

「お前、信じてないな。」​

アン先輩が、ため息をつく。視線だけで、”私の見る目がなかったのか?”という疑問を投げつけてくるのが分かる。​

「だって、先輩がいくらすごくても、こんな情報は見つけられないじゃないですか。」​

改めて自分を、カルトと比較する。今のアン情報、カルトだったら騙されてたわね。心の中でフフフ…と笑う。​

「では、情報が正しいことを証明しよう。友達がいれば、呼んで来い。」​

なんで友達を呼ぶのかは分からないが、そんなことを質問しても嘘情報を得るだけだ。ここは素直に、従っておこう。​

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・​

結局、友達と言うには早い気もするが、リズミールとカルトを呼んだ。いや、リズミールを誘うのは少し迷った。なぜなら、迷惑をかけたばかりだったからだ。しかし、カルトと二人で行ってもケンカをするだけだと思い、仲裁役として来てもらった。​

「わぁ…綺麗!」​

リズミールが感嘆の声を上げる。​

「なんで、俺まで姉さんに会わなきゃいけないんだよ…」​

カルトはカルトで、ブツブツつぶやいている。放っておこう。​

「遅いぞ。…カルトも来たのか。」​

おぉ!姉弟同士の会話が聞ける!私は一人っ子だから、なんだか新鮮だ。​

「無理やり来させられた。」​

…年が一歳しか離れてないせいか、あまり姉弟味を感じられない。え?姉弟ってこんな感じなの?もっと、「お姉ちゃん~」とか言わないの?​

「まぁ、”私の学部の後輩”が暴れても止められる人数はいるか。」​

私の学部の後輩が暴れる…私は馬鹿にされているのか…。​

「お前、黒髪だろぅ?」​

?何故バレた?​

「確か、初日から問題を起こした黒髪のチャミス、というあだ名があったはずだ。お前の名前…チャミスだったはずだ。」​

…。黙ってカルトの方を見る。お前があだ名を?​

「俺じゃねぇ!」​

ということは、魔工学部の誰かがあだ名を作ったのか?もう一度カルトの方を見る。最後のチャンスだ、という思いを込めて。予想通り、カルトの顔が固まっていく。​

「嘘ついたな!」​

「どういうことだ…。」​

まだ罪を認めぬ気か!この阿呆!​

「姉ちゃん…。どうして。」​

アン先輩は関係ないだろ!他人に罪をなすりつけるな!​

「どうして、嫌いな黒髪の魔界人と話せてるんだ?」​

は?…!そういえば、確かに。事前から知っていれば、今日会うことを断れたはず。何故?アン先輩、もしかしてドジっ子?​

「失礼なことを考えている奴はおいといて、全ての謎を解決しようではないか!」​

言い方が気になるが、お願いします!​

「さて、四大魔法大戦の話に戻るが」​

「俺たち、途中から来たんだけど…。」​

カルトは、自分とリズミールを指す。​

「あぁ、すまん。忘れてた。」​

棒読み大会一位の王者が言った。​

「面倒だし、お前も最初から黙って聞いておけ。」​

棒読み大会チャンピオンに命令された。仕方ない、おとなしく最初から聞くか。​

_________________________________​____

昔、四大魔法大戦という、戦争があった。お前らも知っての通り、髪の色に分かれて戦っていた。教科書では、黒髪チームが魔力消去装置を使って、他の勢力を脅したと書かれてあるが、あれは嘘だ。黒髪チームは、自分たちのためにこの装置を作った。黒髪チームは魔法界にも、魔法にも絶望していた。どうにかして、この世界を抜け出したい、という思いでこの装置を作ったんだ。幸いにも、黒髪チームは科学と魔法の共生に成功していた。​そして、装置が出来た暁に、黒髪の魔界人を集めた。他にも、自分たちと同じように、この魔法界に絶望した人たちを集めたそうだ。そして、自分たちだけのパラダイスを作ろうとして、人間界に行った。もちろん、魔力消去装置を使ってからな。そして、この世界に残った者たちは今の魔法界を築いた。…作り話を作成することも忘れずにな。が、黒髪チームの痕跡を完全に消すことは出来なかった。それが、例の”あの”魔法だ。”あの”魔法には、使った者に幻覚を見せる、ある意味呪い的なやつがかかっている。その幻覚が、魔法界の弱みだとか、真実だとか…がどこにあるのかを訴えてくる。まぁ、その話は後でゆっくりお前から聞くとして…。とにかく、人間界は我々が思うところではなかった。旧魔界人たちが築き上げた、魔法に侵されることのないユートピアだったんだ。…あぁ!もう一つ言っておくことがある。魔力消去装置を作ったのは、クリナミロン高生らしい。黒髪、赤髪、銀髪、金髪の生徒たちで協力して作った…とのことだ。このようなことを知った私は、すぐに論文を書いて提出しようとした。だが、校長にとめられたんだ。私も食い下がらないつもりだった。しかし、校長に
「君は、一人しかいない古代魔術研究学部生だ。古代魔術の解読も、君ぐらいしか現代で出来る人はいない。世間も君に期待している。そんな君が、期待外れのことを言うなんて、皆悲しむぞ。どうせ、誰も信じてくれない真実なんだよ。」​
と言われた。
世間の期待、この一言に負けて、私は皆の期待通り、黒髪嫌いを装った。馬鹿にしたいならしたら良い。だが、人は必ず期待を前にしたら、嘘を言う時がある。”私の”後輩として覚えておいておきたまえ。​

_________________________________​

…長い話が終わった。まだ理解できてないところもある。しかし、話したがりのアン先輩は、まだ話した。​

「で、幻覚魔法では、どんなことを言われた?」​

純粋な子供の目をしたアン先輩が聞いてくる。​

「確か…大聖堂にこの世界の弱みがあるとか言ってました。」​

そう言うと、アンさんは考え始めた。ブツブツ言っている姿からはカルトが連想できる。​

「そうか!そういうことだったのか。」​

どういうことですか?私にも説明をプリーズ。​

「私は、この情報を、代々伝わる資料の文字を解読して得たものだが…一つだけ分からないものがあった。それが今分かった。」​

古代文を解読するのは困難なはず。それを、高校生でやってみせるなんて…。確かに、世間の期待も集まるわけだ。​

「人間界への入り口が、どこかに隠されている、そんなことが書かれている古代文があったんだが、見つけられなくてな…。しかし、今のお前の証言で分かった。」​

ふ~ん…。​

「信用してないな?だったら、実際にその目で見てみろ。」​

アン先輩はそう言って、大聖堂の奥へ進んで行った。続いてカルト。その次にリズミール。私は皆の後ろについていった。​

「フフフ…ついに!ついに見つけた!」​

え?ホントにあったの?​

「…え…。」​

「…は…。」​

それぞれがそれぞれの感想を言った。だが、私はまだ見れてない。​

「見ーせーてー!」​

リズミールが私の入る間を作ってくれた。(カルトは私の言葉に気づいてすらいないわよ…。)さて、魔力消去装置とか人間界への入り口とかを拝見するか。​

「へ?」​

私の目の前には、何もなかった。いや、埃は多少あった。もしかして、埃が魔力消去装置?そう期待した私は、埃を拾った。​

「お前…こんな時に埃で遊ぶか?」​

ですよねぇ~。埃は関係ないですよねぇ~。でも、これだとアン先輩が嘘ついたことになる。ホントにアン先輩って汚い人だったんだ…。​

「お前たち、隠したいものをそのまま置くと思うのか?」​

ウソつき先輩が話しかけてくる。​

「ここからがショータイムだ。」​

なんと!また嘘をつくつもりか!​

「そこの無礼者、この呪文を唱えろ。」​

あんたに言われたくないわ!嘘ばっかついてるくせに。​
でも、私は子供ではないので、憐みの目を先輩に向けながら呪文が書かれた紙を受け取る。やっぱり、難しい魔法かな?それとも、私しかできない魔法?​

<オプード・アザン>​

…。なめてるな。私のこと絶対馬鹿にしてるわ!​

「アッハハハハ!待って、ハハッハッ腹いてぇ…。」​

カルトが爆笑する。リズミールは、状況が理解できてない顔をしている。まぁ、仕方ないだろうね。リズミールは、入学式の放課後のことを知らないから。​

「たぁ!」​

一発、カルトの腹に向かって殴ろうとした。だが、その前に足をくじいて、私のげんこつが床をパンチした。​

「いっ痛ぅッ!」​

カルトが上から物を言う上司みたいな顔をして言った。​

「もう少し面白いギャグにしてよ…。笑えないよ…。」​

もう笑い飛ばしてくれよぉ…。​

「さて、ケンカは終わったか?早く詠唱してほしいんだが…。」​

あきれ顔でアン先輩は言った。(苦ッ)​

「は……い。」​

笑いを抑えているカルトを追い越して、何もない壁の前に立つ。​

「オプード・アザン!」​

カルトを見返す気持ちで、力強く詠唱する。​
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

いつか優しく終わらせてあげるために。

イチイ アキラ
恋愛
 初夜の最中。王子は死んだ。  犯人は誰なのか。  妃となった妹を虐げていた姉か。それとも……。  12話くらいからが本編です。そこに至るまでもじっくりお楽しみください。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

追放された最強令嬢は、新たな人生を自由に生きる

灯乃
ファンタジー
旧題:魔眼の守護者 ~用なし令嬢は踊らない~ 幼い頃から、スウィングラー辺境伯家の後継者として厳しい教育を受けてきたアレクシア。だがある日、両親の離縁と再婚により、後継者の地位を腹違いの兄に奪われる。彼女は、たったひとりの従者とともに、追い出されるように家を出た。 「……っ、自由だーーーーーーっっ!!」 「そうですね、アレクシアさま。とりあえずあなたは、世間の一般常識を身につけるところからはじめましょうか」 最高の淑女教育と最強の兵士教育を施されたアレクシアと、そんな彼女の従者兼護衛として育てられたウィルフレッド。ふたりにとって、『学校』というのは思いもよらない刺激に満ちた場所のようで……?

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

あなたが後悔しても、私の愛はもう戻りません

藤原遊
恋愛
婚約者のアルベルトは、優しい人だった。 ただ――いつも、私より優先する存在がいただけで。 「君は分かってくれると思っていた」 その一言で、リーシェは気づいてしまう。 私は、最初から選ばれていなかったのだと。 これは、奪われた恋を取り戻す物語ではない。 後悔する彼と、もう戻らないと決めた私、 そして“私を選ぶ人”に出会うまでの、静かな恋の終わりと始まりの物語。

冴えない建築家いずれ巨匠へと至る

木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」 かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。 安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。 現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。 異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...