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第十一魔法;最悪で最高な日?の記憶
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光の道を走る。意味もなく、しばらく走っていると、出口のようなものがあった。
「ハァ…ハァ…。」
気づかないうちに、息切れしていたようだ。まぁ、そんなことよりも、出口があったことを喜ばないと。やったー!やっと、人間界に着いた!
「ア…ハハハ、意外と、人間界って身近にあるものなのね。」
一人で空気と会話していても、悲しくなるだけなので、さっさと出口をくぐる。フラフープぐらいの幅しかない入り口…もっと広く作れなかったのかなぁ?
「あたッ!」
痛…。フラフープ出口の先に、地面はなかった。そう、地面から少し浮いた所に出口はつながっていた。
「もう…。なんで出口浮いてるのよ!」
いつもなら、カルトがここでツッコむか笑ってくるはずだ。だが、そんな声はしない。今更だが、私は本当に人間界に来たのか。…ところで、何しよう?何の目的もなく来てしまった。
「うーん…どうしよ…。」
しばらく考えていたら、脳内の私のコピーが名案を言った。なるほど!
「確かに。少し人間界を見学するか。」
自分と会話している今の私は、完全に不審者だ。しかし、幸いなことに今私の周りには人がいなかった。
「まずは、現状確認しとくか!」
そう言ってメモ帳を取り出す。紙に書いた方が、忘れないだろう。えーと、まずはここはどこか…。人間界だってことしか分からない。よし、まずは基本情報から確認しよう!学校名は…なんだっけ?まぁ、まだ入学したてだから、しょうがないか。よし、次!友達の名前…あれ?なんで思い出せないの?そもそも、学校って行ってたっけ…?
「あぁ…れ?何コレ…。」
魔力を失ったら、記憶もなくすのかな?…魔力?そんなのあったっけ…。まずい、何か覚えているうちに、書き残さないと。
「あ!そうだ、あれだ!」
そう言って、メモ帳に書き記す。できるだけ、素早く。
_____________________________________
おぷーど・あざん
_____________________________________
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あれ、なんでこんなやつ書いてるんだろ?おぷーど・あざん?何それ。」
メモ帳の無駄じゃないか!まったく、私は何をしてたんだ…。消そうと思っても、消しゴムがない。…やっぱり、ポケットに消しゴムも入れとくべきだったかな。
「てか、私何してんだろ。」
もう太陽が沈みかけている。やることもないし、帰ろうかな…。いや、でもどこに帰ろう?脳内の君は、私の家を覚えてる?…覚えてないよね。それとも、帰る場所はそもそも私には無いのかな?だとしたら、一夜を過ごせそうな路地でも探すか。
「はぁ…。段ボールでもないかなぁ…。」
そう言って、覚えてない道を通り、なんとか路地っぽいところに着く。よし、風もあまり来ないし、段ボールまである!ここで寝るか。では、早速準備に取り掛かろう。まず、平たくした段ボールを床にひく。そして、もう一枚あった段ボールを、床にひいた段ボールに寝転がってから自分にかける。まぁ、首とかが寝違えそうだが、文句は言ってられないよね…。
「おやすみ。」
もう少しで沈む太陽に向かって、言った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「こんなとこで何してんだい?」
…もう少し眠らせてよ~。あと五分だけ…。
「起きな!こんなとこで寝てたら風邪ひくよ!」
…仕方ない、起きてやるか。声の主、感謝しなさいよ!
「ふわぁ~。何か、スッキリしたぁ。」
眠たい目をこすって、私を起こしたヤツを見る。
「こっちは心配してんのに、スッキリした!は、失礼でしょ。」
こんな会話、なんか懐かしい。本来は悪い目覚めのはずなのに、良い気分だ。
「んで、こんなとこで何してんだい?」
目の前には、四〇代後半~五〇代前半のおばさんがいた。手には、黄色いビニールのゴミ袋を持っている。このことから推測すると、朝ゴミを捨てに来たおばさんが、偶然私を見つけた…のかな?
「寝てました。」
この一言を放つと、おばさんは大げさに驚いた。
「それ、制服でしょ?学生さんは、早く家に帰りなさい。」
そんなこといわれても~。帰る場所が分かんないんだから。むしろ、家があるのかさえも分からない。
「分からないんです。記憶が全然なくて。家が…あるのかさえも。」
おばさんは少し考えていた。ブツブツつぶやく姿…懐かしい。おばさん、姉弟でもいるのかな?…なんで、私はこんなこと考えちゃってるの?
「うち、来るかい?」
へ?なんでそうなるんだろう?
「この言い方は悪かった。もう一度言う。うちで働くかい?」
へ?働く…。なぜ?
「うちで働いてくれたら、給料の代わりに、物置小屋と三食を提供するよ。」
でも、それって何かダメな気もする。子供って働いて良かったのかな?不安が顔に出てたのか、おばさんが付け足して言う。
「大丈夫さ。あんた、高校生だろう?」
高校生ならいいのかな?まぁ、ご飯の心配がなくなるなら、働くか。…いや、どんな仕事だろう?力仕事は、私出来ないし…。一応、聞いといた方が良さそうだ。
「どんな仕事ですか?」
「なぁに、高校生でもできる仕事だよ!そうねぇ…個人営業のケーキ屋、かしら?」
おぉ…。ケーキときたか。でも、私ケーキは作れないし、料理も下手なんだよな。
「ケーキを作る以外の担当はありますか?」
おばさんは、もちろんある、という風にうなずく。
「接客を頼みたいんだよ。それに、私のこだわりケーキには、まだ触らせるつもりは無いよ。」
そうですか…。まぁ、ひとまず安心した。三食と寝床つきの仕事…うん、なかなか良いじゃないか!
「分かりました。この仕事、就かしていただきます!ありがとうございます!」
これだけ言うと、おばさんはニコニコ笑っていた。太陽のように眩しい笑顔に感じられる。
「はいよ、よろしくね。…それで、あんたの名前は?」
名前…?自分の名前?なんだったっけ…。
「分かりません。」
おばさんが、「これはまいったねぇ~」っとつぶやく。
「よし、名前がないままだと不便だから、リスにしよ!」
なんでリスなのよ!そうツッコもうとした。しかし、その前におばさんが、すかさず一言付け足す。
「だって、こんな路地で小さくなって寝てたんだもん。リスそっくりだったよ。」
…まぁ、リスって可愛いし良いか。おばさんが、リスと私が似てることに大笑いしていた。自然に、私の口角もあがった。
「ハァ…ハァ…。」
気づかないうちに、息切れしていたようだ。まぁ、そんなことよりも、出口があったことを喜ばないと。やったー!やっと、人間界に着いた!
「ア…ハハハ、意外と、人間界って身近にあるものなのね。」
一人で空気と会話していても、悲しくなるだけなので、さっさと出口をくぐる。フラフープぐらいの幅しかない入り口…もっと広く作れなかったのかなぁ?
「あたッ!」
痛…。フラフープ出口の先に、地面はなかった。そう、地面から少し浮いた所に出口はつながっていた。
「もう…。なんで出口浮いてるのよ!」
いつもなら、カルトがここでツッコむか笑ってくるはずだ。だが、そんな声はしない。今更だが、私は本当に人間界に来たのか。…ところで、何しよう?何の目的もなく来てしまった。
「うーん…どうしよ…。」
しばらく考えていたら、脳内の私のコピーが名案を言った。なるほど!
「確かに。少し人間界を見学するか。」
自分と会話している今の私は、完全に不審者だ。しかし、幸いなことに今私の周りには人がいなかった。
「まずは、現状確認しとくか!」
そう言ってメモ帳を取り出す。紙に書いた方が、忘れないだろう。えーと、まずはここはどこか…。人間界だってことしか分からない。よし、まずは基本情報から確認しよう!学校名は…なんだっけ?まぁ、まだ入学したてだから、しょうがないか。よし、次!友達の名前…あれ?なんで思い出せないの?そもそも、学校って行ってたっけ…?
「あぁ…れ?何コレ…。」
魔力を失ったら、記憶もなくすのかな?…魔力?そんなのあったっけ…。まずい、何か覚えているうちに、書き残さないと。
「あ!そうだ、あれだ!」
そう言って、メモ帳に書き記す。できるだけ、素早く。
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おぷーど・あざん
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「あれ、なんでこんなやつ書いてるんだろ?おぷーど・あざん?何それ。」
メモ帳の無駄じゃないか!まったく、私は何をしてたんだ…。消そうと思っても、消しゴムがない。…やっぱり、ポケットに消しゴムも入れとくべきだったかな。
「てか、私何してんだろ。」
もう太陽が沈みかけている。やることもないし、帰ろうかな…。いや、でもどこに帰ろう?脳内の君は、私の家を覚えてる?…覚えてないよね。それとも、帰る場所はそもそも私には無いのかな?だとしたら、一夜を過ごせそうな路地でも探すか。
「はぁ…。段ボールでもないかなぁ…。」
そう言って、覚えてない道を通り、なんとか路地っぽいところに着く。よし、風もあまり来ないし、段ボールまである!ここで寝るか。では、早速準備に取り掛かろう。まず、平たくした段ボールを床にひく。そして、もう一枚あった段ボールを、床にひいた段ボールに寝転がってから自分にかける。まぁ、首とかが寝違えそうだが、文句は言ってられないよね…。
「おやすみ。」
もう少しで沈む太陽に向かって、言った。
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「こんなとこで何してんだい?」
…もう少し眠らせてよ~。あと五分だけ…。
「起きな!こんなとこで寝てたら風邪ひくよ!」
…仕方ない、起きてやるか。声の主、感謝しなさいよ!
「ふわぁ~。何か、スッキリしたぁ。」
眠たい目をこすって、私を起こしたヤツを見る。
「こっちは心配してんのに、スッキリした!は、失礼でしょ。」
こんな会話、なんか懐かしい。本来は悪い目覚めのはずなのに、良い気分だ。
「んで、こんなとこで何してんだい?」
目の前には、四〇代後半~五〇代前半のおばさんがいた。手には、黄色いビニールのゴミ袋を持っている。このことから推測すると、朝ゴミを捨てに来たおばさんが、偶然私を見つけた…のかな?
「寝てました。」
この一言を放つと、おばさんは大げさに驚いた。
「それ、制服でしょ?学生さんは、早く家に帰りなさい。」
そんなこといわれても~。帰る場所が分かんないんだから。むしろ、家があるのかさえも分からない。
「分からないんです。記憶が全然なくて。家が…あるのかさえも。」
おばさんは少し考えていた。ブツブツつぶやく姿…懐かしい。おばさん、姉弟でもいるのかな?…なんで、私はこんなこと考えちゃってるの?
「うち、来るかい?」
へ?なんでそうなるんだろう?
「この言い方は悪かった。もう一度言う。うちで働くかい?」
へ?働く…。なぜ?
「うちで働いてくれたら、給料の代わりに、物置小屋と三食を提供するよ。」
でも、それって何かダメな気もする。子供って働いて良かったのかな?不安が顔に出てたのか、おばさんが付け足して言う。
「大丈夫さ。あんた、高校生だろう?」
高校生ならいいのかな?まぁ、ご飯の心配がなくなるなら、働くか。…いや、どんな仕事だろう?力仕事は、私出来ないし…。一応、聞いといた方が良さそうだ。
「どんな仕事ですか?」
「なぁに、高校生でもできる仕事だよ!そうねぇ…個人営業のケーキ屋、かしら?」
おぉ…。ケーキときたか。でも、私ケーキは作れないし、料理も下手なんだよな。
「ケーキを作る以外の担当はありますか?」
おばさんは、もちろんある、という風にうなずく。
「接客を頼みたいんだよ。それに、私のこだわりケーキには、まだ触らせるつもりは無いよ。」
そうですか…。まぁ、ひとまず安心した。三食と寝床つきの仕事…うん、なかなか良いじゃないか!
「分かりました。この仕事、就かしていただきます!ありがとうございます!」
これだけ言うと、おばさんはニコニコ笑っていた。太陽のように眩しい笑顔に感じられる。
「はいよ、よろしくね。…それで、あんたの名前は?」
名前…?自分の名前?なんだったっけ…。
「分かりません。」
おばさんが、「これはまいったねぇ~」っとつぶやく。
「よし、名前がないままだと不便だから、リスにしよ!」
なんでリスなのよ!そうツッコもうとした。しかし、その前におばさんが、すかさず一言付け足す。
「だって、こんな路地で小さくなって寝てたんだもん。リスそっくりだったよ。」
…まぁ、リスって可愛いし良いか。おばさんが、リスと私が似てることに大笑いしていた。自然に、私の口角もあがった。
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