私のマジカルノベル

@kitunetuki12

文字の大きさ
13 / 27

第十三魔法;工房で思い起こした物は些細な情報

しおりを挟む
 おばさんについていくと、木造建ての小さなお店があった。見た目は、なかなかオシャレだ。ドアのガラスから、店内の様子が見える。外見に負けないぐらい、オシャレで可愛い内装だった。​

「ここが、今日からリスが働く…ミール工房だよ。」​

と言って、お店のドアを開ける。普通は、ここでおとなしく店内に入るのだろう。しかし、私は入場する前に疑問をおばさんに聞く。​

「どうして、ミール工房っていう名前なの?」​

確か、和訳すると食事っていう意味だったけど…ケーキと関係あるの?​

「娘と息子がつけてくれた名前でね…ミルフィーユを由来にしてるのよ。」​

おばさん、子供がいたのか。しかも、そんな可愛らしいエピソードもあるなんて…。ん?まてよ…子供がいて幸せなのに、私みたいなヤツ連れてきてもいいのか?​

「さ、早く入りな。」​

そして、私の肩を押す。自分の行動をコマンド選択する前に、店内へ強制連行された。​店内は、可愛くて落ち着く内装だった。キャラメル色の木材が、店内の白いペンダントライトと似合っている。天井からは、月と星がデザインに組み込まれたモビールが、ぶら下がっていた。​

「可愛い店内ですね…。」​

正直、ここまで綺麗な内装だとは思わなかった。だから、働くためのやる気が一気に上がった。​

「私の娘と息子がこの店を飾ってくれたのよ。」​

へぇ~。二人ともセンス良いなぁ。​

「今、二人はもう大人だけど、たまに手伝いに来てくれるわ。」​

ホントに、どうして私を連れてきてくれたんだろう。これって、同じ漫画を二冊買うぐらい損をしそうだけど…。​(例えにしては、うまく伝わらないなぁ…難しい。)

「あなたには、接客とその他雑務をしてもらいたいの。」​

なんだか、仕事内容が増えた気もするが…文句は言えない!​

「はい!」​

どんな雑務が来ようが、(力仕事を除く)全力で取り組もうと決意した返事をした。​

「じゃぁ、早速二つ頼みたいことがあるの。」​

前言撤回!何が何でも、早速すぎる!しかし、私のわがままな口は勝手に開く。​

「よろこんで!」​

私のバカーーー‼何してんだい!どうせ、今の状況からして断れないのは知っているが、「よろこんで!」って何よ!しかも、ビックリマーク付いてるし!​

「じゃぁ、今日から自分の部屋となる物置小屋の掃除をお願い。もう一つは、警察に一応届を出しといて。」​

ふむ。物置小屋の掃除は、もともと自分がやるべきことだから、別に文句はない。しかし、警察に届を出すとは?​

「あなた、高校生なんでしょ?親が心配してるかもしれないじゃない。一応、警察にあなたがここに居ると伝えとくだけのことよ。」​

そういうことか。でも、私は何にも覚えてないから無駄だと思うなぁ。…ここまで考えて、頭をブンブン揺らす。せっかく私のことを考えてくれてるのに、「無駄でしょ~」は、無いでしょ!もう、何考えて…ゴツン!​
…何かが私の頭にぶつかった。oh no…。私の頭で、この文字が躍る。そして、恐る恐る前を向く。​

「大丈夫かい?」​

おばさんが心配して寄ってくる。そう、私は店の柱に頭をぶつけていた。​

「大丈夫…です。」​

なんだか、こういう会話を最近した気がする。もしかして、この調子で記憶を戻せるかも?となれば、早速行動に移る!​

「あの、私ってどうやってぶつかりましたか?」​

おばさんは、なんでこんなことを聞くのか不思議そうにしていたが、私の眼力に負けて説明してくれた。​

「頭をブンブン振って、柱にぶつかってたよ。あと、ダメだ、って呟いてたね。」​

ふむ。これらの情報から推理すると……私は、注意力がないことが分かる!ん?でも、それって無くした記憶に当てはまるのか?「いや、全然!」と、コピーの自分が相打ちを打つ。はぁ…やっぱ無理か。​

「さ、まずは警察署に届を出してきな。」​

そう言って、おばさんがカントリーなカウンターで紙に何か書いていた。その紙の内容を、私はそ~っとのぞく。​

_________________________________​____

ヒツジちゃんへ​

今、一人の女子高生をうちで預かっています。​

その子、あんまり記憶が無いみたいで、今は混乱しています。​

なので、親が見つかるまではうちで面倒を見ます。​

ヒツジちゃんには、その子の親を探すのを手伝ってほしいんです。​

詳しくは、もう少し情報が集まってから伝えます。​

よろしくね。    金瀬より​

_________________________________​____

その紙には、手紙らしきものが書かれていた。しかし、ヒツジとは…何やつだ?​そんな私に気づいたのか、おばさん(金瀬さん?)が答える。​

「ヒツジちゃんは、私の娘のことよ。といっても、あなたと同じような出会い方をしたけどね。」​

そ、そうだったんだ。じゃあ、息子さんも?またまた、私の疑問に感づいたのかおばさん(金瀬さんで良いのかな?)が答える。​

「息子も同じよ。ヒツジと同じ場所にいたわ。ちなみに、あだ名はキツネよ。」​

懐かしそうな顔をして説明してくれる金瀬さんは、楽しそうだった。まるで、空想の世界へお出かけしている人みたいに。こんなところで水を差すのもどうかと思うが、どうしても気になることがある。​

「動物好きなんですか?」​

さっきから、リスとかヒツジやキツネ…動物の名であだ名を決めている。​

「ヒツジにネーミングセンスが無いって言われてね…。」​

悲しそうに言う。ヒツジさん…強気だな。​

「まぁ、早く警察に届を出しに行きましょうよ。」​

ネーミングセンスの話から、話題を光速よりも早く変える。これ以上、本人が気にしてそうなことは言わない方が良いだろう。​

「いっしょに?」​

金瀬さんが不思議そうな顔をする。その顔に、心のなかで訴える。私、道に関する記憶もぶっ飛んでます!​

「…あぁ!あなた記憶が曖昧だったんだ。ごめんね。ちょいと忘れてたよ。」​

金瀬さんは、疑問が解けて満足そうな顔をしている。にしても、ちゃんと謝罪の気持ちを込めた「ごめんね」を久しぶりに聞いた気がする。​

「さぁ、行きましょうか。」​

そう言って、店を出る。ドアのガラスに日光が差し込み、ガラスの色が黄色がかっている。ここで一つ思い出した。私のお気に入りの色は、黄色だってことを。​
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

いつか優しく終わらせてあげるために。

イチイ アキラ
恋愛
 初夜の最中。王子は死んだ。  犯人は誰なのか。  妃となった妹を虐げていた姉か。それとも……。  12話くらいからが本編です。そこに至るまでもじっくりお楽しみください。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

追放された最強令嬢は、新たな人生を自由に生きる

灯乃
ファンタジー
旧題:魔眼の守護者 ~用なし令嬢は踊らない~ 幼い頃から、スウィングラー辺境伯家の後継者として厳しい教育を受けてきたアレクシア。だがある日、両親の離縁と再婚により、後継者の地位を腹違いの兄に奪われる。彼女は、たったひとりの従者とともに、追い出されるように家を出た。 「……っ、自由だーーーーーーっっ!!」 「そうですね、アレクシアさま。とりあえずあなたは、世間の一般常識を身につけるところからはじめましょうか」 最高の淑女教育と最強の兵士教育を施されたアレクシアと、そんな彼女の従者兼護衛として育てられたウィルフレッド。ふたりにとって、『学校』というのは思いもよらない刺激に満ちた場所のようで……?

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

あなたが後悔しても、私の愛はもう戻りません

藤原遊
恋愛
婚約者のアルベルトは、優しい人だった。 ただ――いつも、私より優先する存在がいただけで。 「君は分かってくれると思っていた」 その一言で、リーシェは気づいてしまう。 私は、最初から選ばれていなかったのだと。 これは、奪われた恋を取り戻す物語ではない。 後悔する彼と、もう戻らないと決めた私、 そして“私を選ぶ人”に出会うまでの、静かな恋の終わりと始まりの物語。

冴えない建築家いずれ巨匠へと至る

木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」 かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。 安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。 現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。 異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...