私のマジカルノベル

@kitunetuki12

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第十九魔法;マイ・ターン・アゲイン

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 人間界への扉が開き、光が漏れる。この光…魔力消去装置だと知らなければ、希望の光のようにも思える輝きを発している。

「姉さん…なんで…。」

無意識に一歩、姉さんの方へ踏み出す。あの時の光景も頭の中に流れ込んでくる。「ちょ、待て!」そう言ったのが自分だということはチャミスは知っているのだろうか?いや、あいつのことだ。俺たちの声なんて聞かないで走っていったに違いない。

「アン先輩!何して。」

「私は大丈夫だ。むしろ、お前たちこそ気をつけろ。」

…さっきの、回想シーンにまで至る心配は、姉さんの平常心を保った声で消し飛んだ。なんだよ、心配させといて!謝れ!―頭の中では、姉さんに対する反逆が起こっていた。

「校長、検証は出来たので扉を一旦閉めましょう。」

姉さんには似合わない敬語で、校長と何かを話していた。数秒後、扉が閉まる。あの光が少しでも漏れていないことを確認すると、すぐ姉さんたちのところへ走った。リズミールも後からゆっくりと、一歩ずつ追いついてきている。

「姉さん、なんで。」

「分かってる。すぐ説明するから静かにしておけ。」

いや勝手なことしておいて「静かにしてろ」はないだろ!こちとら心配してんだゾ!
頭の中で文句をぶつけまくった後、平常心に戻る。

「リミーズルも来たし、説明するか…。」

シリアスな雰囲気を一言でぶっ潰す人間…。リズミールの名前についてツッコむのは、これで最後にしよう。いい加減覚えろよっ!

「要は、あの光さえ取り込まなければ良い話だ。だから、一か八か日焼け止めを塗ってきた。」

「は?」

「流石に、全ての光を防ぐことは出来なかった。少し魔力切れが起こった…。」

リミーズルの方を、「分かる?」という目で見る。リミーズルは、「分からない」という目を返してきた。だから、俺も「だよね~」という目を返す。

「ハァ…これだけ丁寧に説明してやっているのに。いいか?あの光を紫外線みたいな物だと考えろ。日焼け止めで紫外線を防いだ、こういえば分かるか?」

おぉ!流石姉貴!発想が独創的だ!

「しかし、今回のあの光が日焼け止めで少しは防げるもので助かった。」

…え?もしかして、確信を持たずにやったのか?それって…。

「危なかった~。」

「危なすぎるだろ!」

無意識に叫んでいた。姉さん、そこまでしてチャミスを救いたかったのか?自分が魔力を失ってでも、チャミスを助けたかったのか?

「おい、勘違いがひどい哀れな弟よ。」

ムカ!何だと!

「チャミスなど、ちゃんちゃらどうでもいい。私がこんな検証をしたのは、あの光の防ぎ方を知りたかったからだ。」

え…。少しは姉さんを見直そうとしてたのに、そんな気は一瞬にして消え失せた。でも、少し安心しているのも事実。姉さんのくせに、善良なことを言うのは、姉さんらしくないからだ。

「とにかく、人間界に魔力を失わないで行ける方法は手に入れた。だから、結果オーライでいいだろう。」

いや、待て!まだ気になることがある。

「どうして校長は人間界への扉を開けられたんだ?」

「校長先生はどうしてあの扉を開けられたの?」

さっきまで黙っていたリズミールと重なる。でも、些細なことだ。それより、校長はどうして開けられたんだ?確か、黒髪の魔界人しか開けられないはずなのに…。校長の髪をよく見る。金髪…黒とは似ても似つかない色。不思議そうな顔で校長の髪をじっと見ていると、戸惑ったような顔をした。あわてて視線をどこかへやる。

「あまり話したくはないんですが…まぁ、いいでしょう。本当は、私は黒髪なんです。でも、世間ではよい印象を持たれにくいので、バレないよう染めているのです。まぁ、アンにはバレてしまいましたが。」

そう言って、校長は微笑する。何故だろう?入学式の時よりも、こっちの方が温かい感じの笑いに思える。

「校長、気づかれた原因は目の色が黒色のままだったからですよ。」

「あぁ…懐かしいですね。あの時は、油断してました。まったく、目の色を変えるのを忘れてたなんて…。」

姉さんと校長が、思い出を懐かしんでいた。まぁ、ここで水を差すわけではないが、発言する。

「チャミスはいつ救いに行きますか?」

リズミールも、大きくうなずく。姉さんと校長は、少し相談し合って、結論を述べた。その答えにリズミールも俺もうなずく。

「ほら、日焼け止めだ。塗っておけ。」

「もし今日までに戻れなかったら、ご両親には上手く言っておきます。」

準備、もしもの時の行動、多分すべてを確認した後、扉の前へ行く。日焼け止めを、たっぷりと塗っておく。リズミールもたっぷりと塗っていた。後ろで、ケチな二年が舌打ちをしていたが、些細なことだ。

「オプード・アザン。」

扉が現れる。振り返って、姉さんの方を見る。

「行ってこい。」

「え?…姉さんは来ないの?」

すると、姉さんはわざとらしいため息をついた。

「カルト君はお姉ちゃんがいないと何もできないのかな?」

イラ!イラ!

「ンなわけねぇっだろっ!」

振り向いた頭を、急いで戻す。「フッ」という笑い声が聞こえた。そんなことは気にせず、前にそびえたつ扉を見る。校長が前に出る。

「オプード・アザン。」

光が漏れる。眩しい。

「行ってきなさい。」

校長にうなずく。一応、後ろを向いて姉さんの方を見る。あくびをしながら、手を振る姉さん…まったく、緊張感が無いんだから…。

「リズミール。」

リズミールがこちらを見る。姉さんとは対照的に、ガクガクだ。

「行こ。」

リズミールがうなずく。その動作を確認した後、光の中へ一歩踏み出す。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あ痛っ!」

なんで出入口が浮いてんだよっ!おかげで尻もちついたじゃねぇか!

「痛い!」

リズミールは、倒れこむように落ちた。もう一度言う。なんで出入口が浮いてんだよっ!…ふぅ、ツッコみをし過ぎた。

「わぁ…。」

リズミールが驚きを漏らす。一体、何があるんだ?そう思いながら視線をリズミールと同じ方向へ向ける……。

「わぉ…。」

高ーい建物が並んでいる。高い建物と高い建物の間には、段ボールなどが積まれて置いてあった。しばらくの間、見とれていた。こんなにもすごい物があったなんて。

「カルト…?」

こんなにも…発展した都市があったなんて。魔法界とは比べ物にならないぐらい、未来的な物があるなんて…。

「カルト!」

「え…あ!どうしたの?」

「さっきからずっとボーっとしてたけど…大丈夫?」

あぁ…そのことか。

「ごめん。でも、大丈夫だから。」

そう言うと、リズミールは安心した顔に戻った。そして、二回目の質問。

「チャミス、どこにいるんだろ…。」

確かに…。重要な問題を忘れてた…ん?そういえば…姉さんに渡された日焼け止めを取り出す。表には何も無かった。でも、裏面には紙が貼りつけてあった。姉さんから日焼け止めを渡された時、手に変な感覚が走った原因は、この紙だったんだ。でも、何が書かれてるんだろう?そう思いながら、紙を広げる。

_____________________________________

お前のことだから、もしものことがあった時用にマニュアルを用意しておいてやる

<チャミスの見つけ方>
パーファソドンイ ※一人しか見つけられない
<透明になる魔法>
トランス・ペアレンシー ※相手に触れた瞬間姿が見える
<記憶をなくす魔法>
ローメリー・モジング ※本当の緊急時にだけ相手に使え

くれぐれも、人間の目の前で魔法は使わないように
_____________________________________

ほぉ~。姉さん、準備が良いな。

「どうしたの?」

リズミールが首をかしげて聞いてくる。

「クククッ、今の事態が片づけられるプレゼントがあった。」

「え?」

姉さん、感謝する。おかげで、はじまったばかりの物語が終わらないで済みそうだ。

「パーファソドンイ!」

残っていた魔力が疼く。静電気に触れたときみたいに、髪が浮く。そして、少し間をとった後、目を開ける。ゆっくりと。

「わぁ。」

「おぉ。」

チャミスのかは分からないが、靴跡が光って見える。この光る足跡を追っていけば、チャミスの元にたどり着ける気がした。

「リミーズル、やっとチャミスに会える。」

「やった…。」

気のせいか、リミーズルの目が潤んでいた。でも、今はそんなシーンではない!

「泣くのは、チャミスを連れて帰ってからだよ。」

そう言うと、リミーズルは顔を伏せて、目をこすってからこちらを見た。青い瞳が輝いている。その瞳を見て思い出した。チャミスが数日前に、リミーズルの瞳が綺麗だと言っていた。このことだったのか…確かに、綺麗な瞳の色だ。

「そんなの、百も承知よ!」

青い瞳が、力強く言っていた。

「よし、行こう!」

「ええ。」

チャミス、もし無事会えたら、リミーズルの瞳が綺麗だって話の続きをしよう。そして、もう一度図書館で三人集まって何かしよう。絶対に。
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