私のマジカルノベル

@kitunetuki12

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最終魔法;私のマジカルノベル 上​

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 光の中を進んで行くと、薄い膜が立ちはだかっていた。そっとその膜に手を伸ばす。少し弾力があった。​

「みんな、待っててね。」​

膜の向こうに居るはずのみんなに向かって言う。そして…。​

「とりゃ!」​

膜を突き破る勢いで突進する。でも、膜は破れたわけではない。体が膜に飲み込まれていく。温かく包み込んでくれる膜だった。​

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

光の膜を抜けると、瞼の感覚が戻った。少しづつ、瞼を開く。​

「チャ、チャミス…。」​

懐かしい三つの顔が瞳の中に飛び込んできた。​

「リズミール…。カルト…。アン先輩…。」​

金瀬さんにも会いたかったが、今は魔法界での再会というイベントを味わい尽くそう。​

「チャミス、魔法界での記憶が戻ったの?」​

リズミールの小鳥がさえずるような綺麗な声で問われる。質問に答える前に、体を起こす。​

「私、魔法界での記憶も人間界での記憶も思い出せた…かもしれない。」

みんなの顔が「驚」の一言に染まる。​

「チャ、チャミス…。」​

憎たらしいけど会いたかった声がする。​

「俺たちとの記憶が、人間界での記憶が、戻ったのか?」​

「多分そういうこと。」​

そう言った瞬間、金髪の頭が飛び込んできた。いや、抱き着かれたらしい。​

「とにかく…よかったぁ。」​

リズミールの安心しきった声が耳元で聞こえる。自分もホッとしているとき、赤毛の頭が体当たりしてきた。…いや、隣に座ってきたらしい。​

「チャミスの…馬鹿ヤロー。」​

うつむきがちにそう言った。馬鹿ヤロー?この私が?は?​

「カルト…覚えてなさいよ。」​

小声で復讐を誓う私だった。​でも、そんな動作さえ嬉しいと感じた。

「私を忘れてないか?」​

目の前にアン先輩が仁王立ちしていた。​

「お前が二つの記憶を取り戻したのは謎だが…今は再会を喜ぶことにするか。」​

そう言って、私の頭に手を置く。そして、優しく頭を撫でた。アン先輩…。​

「早速古魔研の研究内容を見つけたな。今年の古魔研には期待出来そうだ。」​

…あぁ、そういえば転部する約束があったっけ。忙しくなりそうだ…。でも、その前にやっておきたいことがある。​

「人間界にもう一度行ってもいいですか?」​

一瞬、空気が凍り付いた。​

「はぁ?」​

「え、えぇ?」​

「何言ってるんだ?」​

各々取り乱しているのが分かる。​

「チャミス、もしかして人間界の方が良かったの?」​

抱き着いてきたリズミールが、慌てて私の前に座る。​

「リズミール落ち着いて。人間界にずっと居たい訳じゃないわ。」​

「じゃぁ、なんで?」​

リズミールが綺麗な瞳で見つめてくる。いつか、カルトとリズミールの瞳について話したことがあったなぁ…。​

「金瀬さんに会いたいの。」​

「あの乱暴な奴にか?!」​

隣から大声で、しかも耳元で叫ばれる。​

「カルト!耳元で叫ぶのはやめてよね!」​

「あ、すまん。」​

あれ?カルトってこんなに素直だったっけ?

「なんでそんなに素直なの?」​

「え、いやぁ…別に。」​

何か怪しい…。目線が泳いでいる。フフ、カルトは人の表情を読むのが上手いけど、読まれやすい表情をしてるわね。​何か私に罪悪感でもあるのか?​

「さぁ、さっさと吐いたらどうだ?」​

「苦ッ!」​

カルトが悔しさで唇をかむ。血が少し滲むぐらい。(そんなに悔しいのか!)​

「わ、悪かったな。チャミスに…記憶を消去する魔法を使っちまって。」​

え?…えぇ~‼か、カルト、私の記憶消したの?!​

「こればかりはホントにすまなかった。私からも謝ろう。」​

アン先輩が、反省する気持ちの欠片も見せずに謝った。​

「別に、無事に記憶は戻ったんだし…良いよ。許す。」​

そう言うと、また赤毛のヤツが体当たりして…抱き着いてる?…ちょっと重い。すると、さらに金髪の少女がもう一回抱き着いてきた。ちょっと重いけど、まぁいいか…。そのまましばらく三人で抱き合った。​

「ごめん……あと、許してくれて、ありが、とう。」​

カルトがそう言ったように聞こえた気がした。​

「ホント、良かった。」​

リズミールがそう呟いたような気もした。​

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・​

「あのー、そろそろ人間界に行ってもいいかな?」​

数分、三人で再開の嬉しさを嚙み締めたが、全体重を支えている私の体がもう限界だ。床に腕を置いて支えていたが、プルプル震えている。​

「あっ。」​

慌ててカルトは私の横に座る。​

「…あ、ごめん。」​

今頃気づいたかのように、リズミールは私の目の前に座る。​

「チャミス、人間界に行くの?」​

「うん。でも、今回はちゃんと戻ってくるから。」​

大丈夫。リズミールとカルトは、記憶を失わずに人間界へ来ることが出来た。なら、私にも出来るはず。​

「二人はどうやって人間界に来たの?」​

二人の顔を交互に見ながら聞く。二人は、難しい問題を目の当たりにしているような顔をした。​

「えーっと…。」​

「どこから話せばいいのやら…。」​

「最高長官、あとは頼みます!」​

リズミールが初めて聞く単語を言う。サイコウチョウカン?最高な朝刊?​

「どうやって人間界へ行ったか、か。多分お前には説明しなくてもいいだろう。」​

はぁ?なんでよ!​

「お前は多分、もう魔力を貯める役割をしていた細胞がすべて破壊された。だから、魔力消去装置を浴びても痛くもかゆくもないはずだ。」​

え…。魔力がなくなった?ということは、魔法も使えなくなったってこと?​

「詳しくは、後日話す。まずはその金瀬さんとやらに会いに行け。」​

確かに。まずはするべきことの優先順位をつけないと。​

「アン先輩、人間界への扉はどうやったら開きますか?」​

「そんなの、お前がオプード・アザンと唱えて…。あっ!そうか、魔法使えなくなってたな。」​

そんなにすぐ忘れるか?!​

「まぁいい。校長に頼もう。」​

え?校長先生に?黒髪じゃないのに?疑問が頭を駆け巡る中、アン先輩は校長先生を呼びに行った。​

「校長先生、実は黒髪なんだよ。」​

解説役であるリズミールが説明してくれる。なるほど…!だから、瞳が黒色だったのか!​

「確かに、校長先生の瞳黒色だったもんね。」​

「え?」​

「ん?」​

…解説役のリズミールさんに聞いたところ、校長先生は私を生徒会指導室で叱るとき、うっかりしてたらしい。瞳の色を変える魔法をかけ忘れるなんて…。うっかりさんだなぁ。おかげで​話も少しややこしくなったし…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・​

「オプード・アザン。」​

校長先生が魔法を詠唱する。古い扉が開く音がする。にしても、二回魔法を唱えないと開かない扉だなんて、これを制作した人はどんな感性をしていたのだろう。​

「行ってこい。でも、必ず戻れよ。」​

アン先輩の一言に背中を押される。​

「分かってます!」​

一歩踏み出す。光が体を照らすが、今回は何も感じない。すこし悲しいような気もしたが、今は金瀬さんに会いたいという気持ちの方が強かった。​
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