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9章
4話
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「ニコル、リッツをお願いね」
リッツをニコルに渡してレイモンドは玄関の扉を開いた。
「あら、どうしたの」
そこに立っていたのはリュークだった。
「ご無沙汰しておりますレイモンド様。子爵がいらしております」
胸に手を当てて頭を下げたリュークはそう言葉にした。
「そう、この家でいいのかしら……中は綺麗にしているから入ってもらって」
「かしこまりました」
リュークは一礼をすると外に停まっている馬車へと向かう。
「こんな場所に馬車を乗り付けるなん……はぁ……」
馬車を乗り付ける事も目立つのに、玄関の向こうに見えた馬車の種類にレイモンドは頭を抱えた。
ここは平民街。
ましてや新参者の屋敷の前に明らかに普通とは違う家紋入りの豪奢な馬車から降りてくるのはこれまた豪華に着飾った男性。
「ニコル、静かにしていてね」
レイモンドは背後に立ったニコルに声を掛けてから静かに頭を垂れた。
「ご無沙汰しております」
レイモンドは言葉を正した。
ニコルからすると、喋り方を変えたレイモンドはレイモンドでないように見える。
腕に抱いたリッツが所在なげに動く。
「久方振りだな、息災であったか?」
「はい、狭い場所ですがよろしければ」
レイモンドが一歩下がり目の前の男は部屋の中を見回してニコルを見る。
その顔は何かを探すようにも見えた。
そして、ニコルの腕の中にいたリッツを捉えた。
「その子か」
「えぇ、私の子供です」
「そうか」
そう男は頷いてから、ニコルを軽く見上げた。
そして家の中に入ってくる。
その後ろに続くリューク。
「お座り下さい、何も無いあばら家ですがお茶を……」
レイモンドが椅子を指し示し、手づからお茶を入れようとするのを止めた。
「……ニコル、私の一番上の兄よ……私の戸籍は抹消されているでしょうけれど……いえ、最初から無いかもしれないから、兄と呼んでいいのかもわからないけれど」
「騎士団所属のニコルと申します。息子のリッツです」
ニコルはそう告げて静かに頭を下げた。
レイモンドの言葉に言いたい事はあったが、それを飲み込んで。
「で、子爵様はなにの御用ですか?」
レイモンドは立ったまま問いかけた。
男は椅子に座り足を組む。
「手紙を出したのはレイモンド、お前だろう」
「ですが、いらっしゃるとは……」
「父が動きを監視している。手紙だと内容を改ざんされる可能性もあるからここへ来たが……もっと地味な馬車が良かったな……」
サッと手を上げると、リュークは畏まりましたと頭を下げた。
「で、話をしようじゃないか。まずレイモンドお前の属性はβで間違いは無いか?」
「はい、リッツを産んだ後に神殿で再度属性検査をしました」
「ふむ…… そっちの男、ニコルだったか?お前は?」
兄の問い掛けにレイモンドは息を吐いた。
「αです。それは成人の時に確認しました。書類上もそう記載してありますが、子爵も確認しているでしょうが、彼は隣国からの奴隷でそれ以上の情報を持ちません……それと、彼はα特殊なαであり他者を誰でも妊娠させられるαのようだと神殿も認めていますが、それは極秘となっています」
「その赤子は」
「リッツは、間違いなく私とニコルの子」
「属性は」
「……」
兄は知っている。リッツの属性を改ざんさせたことを。
レイモンドは唇を噛み締めた。
リッツをニコルに渡してレイモンドは玄関の扉を開いた。
「あら、どうしたの」
そこに立っていたのはリュークだった。
「ご無沙汰しておりますレイモンド様。子爵がいらしております」
胸に手を当てて頭を下げたリュークはそう言葉にした。
「そう、この家でいいのかしら……中は綺麗にしているから入ってもらって」
「かしこまりました」
リュークは一礼をすると外に停まっている馬車へと向かう。
「こんな場所に馬車を乗り付けるなん……はぁ……」
馬車を乗り付ける事も目立つのに、玄関の向こうに見えた馬車の種類にレイモンドは頭を抱えた。
ここは平民街。
ましてや新参者の屋敷の前に明らかに普通とは違う家紋入りの豪奢な馬車から降りてくるのはこれまた豪華に着飾った男性。
「ニコル、静かにしていてね」
レイモンドは背後に立ったニコルに声を掛けてから静かに頭を垂れた。
「ご無沙汰しております」
レイモンドは言葉を正した。
ニコルからすると、喋り方を変えたレイモンドはレイモンドでないように見える。
腕に抱いたリッツが所在なげに動く。
「久方振りだな、息災であったか?」
「はい、狭い場所ですがよろしければ」
レイモンドが一歩下がり目の前の男は部屋の中を見回してニコルを見る。
その顔は何かを探すようにも見えた。
そして、ニコルの腕の中にいたリッツを捉えた。
「その子か」
「えぇ、私の子供です」
「そうか」
そう男は頷いてから、ニコルを軽く見上げた。
そして家の中に入ってくる。
その後ろに続くリューク。
「お座り下さい、何も無いあばら家ですがお茶を……」
レイモンドが椅子を指し示し、手づからお茶を入れようとするのを止めた。
「……ニコル、私の一番上の兄よ……私の戸籍は抹消されているでしょうけれど……いえ、最初から無いかもしれないから、兄と呼んでいいのかもわからないけれど」
「騎士団所属のニコルと申します。息子のリッツです」
ニコルはそう告げて静かに頭を下げた。
レイモンドの言葉に言いたい事はあったが、それを飲み込んで。
「で、子爵様はなにの御用ですか?」
レイモンドは立ったまま問いかけた。
男は椅子に座り足を組む。
「手紙を出したのはレイモンド、お前だろう」
「ですが、いらっしゃるとは……」
「父が動きを監視している。手紙だと内容を改ざんされる可能性もあるからここへ来たが……もっと地味な馬車が良かったな……」
サッと手を上げると、リュークは畏まりましたと頭を下げた。
「で、話をしようじゃないか。まずレイモンドお前の属性はβで間違いは無いか?」
「はい、リッツを産んだ後に神殿で再度属性検査をしました」
「ふむ…… そっちの男、ニコルだったか?お前は?」
兄の問い掛けにレイモンドは息を吐いた。
「αです。それは成人の時に確認しました。書類上もそう記載してありますが、子爵も確認しているでしょうが、彼は隣国からの奴隷でそれ以上の情報を持ちません……それと、彼はα特殊なαであり他者を誰でも妊娠させられるαのようだと神殿も認めていますが、それは極秘となっています」
「その赤子は」
「リッツは、間違いなく私とニコルの子」
「属性は」
「……」
兄は知っている。リッツの属性を改ざんさせたことを。
レイモンドは唇を噛み締めた。
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