【BL】オネェ騎士は見習いが可愛くて仕方ない。

梅花

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9章

3話

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鍋が空になるまでポトフを食べたニコルはご馳走様と言うと小さな袋を出してきた。
「……いらないわよ」
チャリと鳴った音から、中は硬貨だとわかる。
「ですが、レイモンド……は、収入が……それに、多い訳ではありませんから食材の足しに……リッツのミルクも必要でしょう?」
確かにレイモンドからするとありがたい申し出だが、騎士も必要なものはあるのだ。
「じゃあ、今夜の分のポトフ代で一枚だけ貰うわ。貴方だって新しい装備を買いたいものもあるでしょう?」
「いえ……」
「まさか、まだアタシが買った装備でいるわけ?」
レイモンドの問い掛けに曖昧に笑うニコルに、もう!と、レイモンドは肩を竦めた。
「それなりの地位になったら、それなりの装備にしなさいと言ったでしょう?侮られるわよ?というかアタシの伴侶になるならちゃんとしなさいな。アタシが悪く言われるじゃない?」
充分にニコルの事を見てあげていない自分が言うことでは無いが。
「……そう、ですね。気をつけます」
「もう、騎士団で一緒に何かをする事は無いだろうけれど、アタシの事を知っている騎士団員はいるだろうから、レイモンドはニコルの面倒を見ないと言われちゃうわ」
そうレイモンドは言いながらも、言われても全く気にはしないがそうでも言わないとニコルが言うことを気かないとわかっているからだ。
「それは、困ります!」
あたふたと慌てるニコルを見ながらぐずり始めたリッツを宥めて立ち上がる。
「今夜は泊まっていくの?帰る?泊まるならアタシと同じベッドよ?」
「な、もちろん泊まります!」
「冗談よ。アタシがソファーで寝るわリッツもいるし貴方は仕事もあるでしょう?」
こうして騎士団から離れた場所に居を構えたのは、頻繁にニコルを来させないためでもあったのだが。
「明日は非番だったので、来ました……本当は少しでもレイモンド様のところに居たいのですがそうもいかず……非番の前に来るしか出来そうもありません」
がっくりと項垂れるニコルの頭をぽんと叩いた。
「いいのよそれで。アタシはニコルが騎士でいるのが好きなの……リッツも出来れば素敵な父親の背中を見て育って欲しいわ」
「レイモンド様……」
顔を上げたニコルは嬉しそうに微笑むが、その唇にレイモンドは指を押し当てる。
「何度言ったらわかるのかしら……アタシはもう上司じゃないのよ……いつになったら伴侶にしてくれるのかしら?」
そう言っても長年慣れた呼び方を変えるのは難しい。
レイモンドもわかっているのだ。
「あ……」
ニコルが声を出すのと同時に玄関の扉が叩かれた。

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