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1章 旅立ち
1-16話
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「触っても平気ですよ?」
円形に縁取られた噴水の、石の造りは座れるようになっているらしく、アイヴィスはポケットから1枚のハンカチを取り出すと、ふわりと広げて座るように促す。
「ありがとうございます、陛下もどうぞ」
セラフィリーアも自分の持つハンカチを隣に広げてやる。
「そんな、気を使わなくていいのですが、ありがとうございます」
二人して互いのハンカチに腰を下ろすと、どちらともなく空を見上げる。
落ちてきそうな星空。
星空がこんなに綺麗だと思ったのはいつぶりだろうか。
「綺麗ですね」
「えぇ、街の灯りはありますが、何故か星が綺麗に見えるので。
少し大変ですが、城の屋上にあがって寝転がって空を見上げるのも好きなのです」
「陛下もそんなことを?」
「えぇ、私もヒトですから。たまには独りになりたいこともありますよ?」
「公務とか、色々ありますからね?時折ゆっくりされるのも必要ですから」
疲れているのだろうか。
そんな表情は見せていないけれど、やはり飛竜に乗るだけでも大変だと思うし、どうして陛下が忙しいのにも関わらずわざわざ自分でファレナスに来てくれたのか。
考えなければならないことはいくらでもあるのだが。
「陛下、何もできることはないかもしれませんが、私にできることがあれば言ってください」
「ありがとう。でも、王子がこうしてアルトリアに来てくれただけで嬉しい。
できれば、一緒に食事をする時間が欲しいのですが、私の朝は早いから、朝は無理にとは言わないので、今日みたいに夜は一緒に食事をしたいです。
…良く似合っているけれど、畏まった姿でなくていいので気軽に夕食を一緒に取って欲しいのですが」
「そんなことでいいのですか?」
「あぁ、そうすれば夜の仕事も頑張れ…」
「陛下、陛下の仕事を見ているわけではありませんし、ファレナスとは国の規模も違いますから、戯言と取っていただいて構いませんが、陛下が深夜までやらなければならない仕事なんて、仕事がありすぎです。
振り分けがおかしいのですよ。父であるファレナス王は午前で執務が終わり、午後に謁見、夕方には食事をして子供たちや母との団欒をしておりました。
抱えすぎも効率が悪いと存じます。
もし、子供ができたら、遊んでもやれない父親になってしまいますよ?」
子供ができたら。
自分との子供ではないだろうが、王様だって育児をするべきとの持論であるセラフィリーアは、そう告げる。
その言葉にアイヴィスはきょとんとした表情を浮かべるのだった。
円形に縁取られた噴水の、石の造りは座れるようになっているらしく、アイヴィスはポケットから1枚のハンカチを取り出すと、ふわりと広げて座るように促す。
「ありがとうございます、陛下もどうぞ」
セラフィリーアも自分の持つハンカチを隣に広げてやる。
「そんな、気を使わなくていいのですが、ありがとうございます」
二人して互いのハンカチに腰を下ろすと、どちらともなく空を見上げる。
落ちてきそうな星空。
星空がこんなに綺麗だと思ったのはいつぶりだろうか。
「綺麗ですね」
「えぇ、街の灯りはありますが、何故か星が綺麗に見えるので。
少し大変ですが、城の屋上にあがって寝転がって空を見上げるのも好きなのです」
「陛下もそんなことを?」
「えぇ、私もヒトですから。たまには独りになりたいこともありますよ?」
「公務とか、色々ありますからね?時折ゆっくりされるのも必要ですから」
疲れているのだろうか。
そんな表情は見せていないけれど、やはり飛竜に乗るだけでも大変だと思うし、どうして陛下が忙しいのにも関わらずわざわざ自分でファレナスに来てくれたのか。
考えなければならないことはいくらでもあるのだが。
「陛下、何もできることはないかもしれませんが、私にできることがあれば言ってください」
「ありがとう。でも、王子がこうしてアルトリアに来てくれただけで嬉しい。
できれば、一緒に食事をする時間が欲しいのですが、私の朝は早いから、朝は無理にとは言わないので、今日みたいに夜は一緒に食事をしたいです。
…良く似合っているけれど、畏まった姿でなくていいので気軽に夕食を一緒に取って欲しいのですが」
「そんなことでいいのですか?」
「あぁ、そうすれば夜の仕事も頑張れ…」
「陛下、陛下の仕事を見ているわけではありませんし、ファレナスとは国の規模も違いますから、戯言と取っていただいて構いませんが、陛下が深夜までやらなければならない仕事なんて、仕事がありすぎです。
振り分けがおかしいのですよ。父であるファレナス王は午前で執務が終わり、午後に謁見、夕方には食事をして子供たちや母との団欒をしておりました。
抱えすぎも効率が悪いと存じます。
もし、子供ができたら、遊んでもやれない父親になってしまいますよ?」
子供ができたら。
自分との子供ではないだろうが、王様だって育児をするべきとの持論であるセラフィリーアは、そう告げる。
その言葉にアイヴィスはきょとんとした表情を浮かべるのだった。
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