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2章 幼竜との出逢い

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「シュクラ、少しお散歩をしよう?」


朝の食事を終えると、セラフィリーアはシュクラを抱き上げた。
子供だからか、好みの問題か、シュクラは果物を好む。
飛竜はあまり食事をしない。
空気中の魔素を食事としており口に入れるものからは、栄養を取ることはほぼ皆無のため、飛竜達は無駄な行為をしない。
ごくごく稀に栄養を摂取するのではなく食べる行為を楽しむ個体もいるらしいけれど。
カラクから、サーシャが幼い頃は魔素の摂取が上手くいかず、野菜や果物のジュースを与えていたと聞き、シュクラにも用意をしたところ美味しそうに飲んだのだ。


『うま。うま。』


そう聞こえた声は、美味しいと言う意思表示だとわかると、宮中が笑顔になれた。
シュクラの語彙もだいぶ増えてきて、言うことが少しずつわかってくる。
いまだにわからないことも多いけれど。


『おしゃ?ん…』


舌足らずでお散歩と上手くは口にできないが、こちらが言っている内容はしっかりと理解しているシュクラがこくこくと頷く。
いい子だと撫でてやりシュクラを抱いたまま、外に出ようとするとホールの外に飛竜騎士が二人立っているのに気づく


「おはようございます」


セラフィリーアから挨拶をすると、二人はざっと膝をついた。
昨夜、アイヴィスから護衛をつけると話があったのだ。
どうやら今日は黒騎士の二人らしい。
アイヴィスの話によると、各飛竜騎士団の色事に二人ずつ
日替わりで選出、配属される。
その選出は各色に任せたそうだが、嘘か本当か…
くじ引き、腕相撲…色々な案が出たらしいか…
それを聞いてついつい可愛いなと思ってしまった。
その選出に陛下も混じったとか混じらないとか。
や、本気でやめてよ、陛下に護衛をされるなんて死にそうになるからさぁ。



「少し庭を散歩したいから忙しいところ庭までお願いします」

「セラフィリーア様、お気遣い無用です。
陛下からも言われておりますから。
本来なら自由に散策していただきたいのですが、まだ何があるかわかりませんので。
少し離れてついていきますので、ゆっくりどうぞ?」

「えぇ、ありがとう。でも騎士の礼や敬語は公的な場所だけでいいからね?」


二人の騎士にそう言うと、シュクラもくあぁと欠伸をする。
そういうわけにはいきませんと眉根を寄せる二人を見ながら困らせたいわけではないと、対応は任せた。
外は薄曇り、日焼けを気にするアスランには悪いが、何もしないで歩くにはもってこいの天気。
帽子なんか被った日には、シュクラが飾りを気にしちゃうからね。
そもそも飛竜達はキラキラしたものが大好きだ。
ふわふわ揺れるものも。
幼竜や若竜は堪え性がないため、時折人的被害が出るらしい。
流石に接触くらいだろうけれど。


「あれ、ディア?」


池の向こうにこんもりとした小山。
アイヴィスが、落ち着くまでは我慢させると言っていたのに。
きっとアイヴィスは知らないんだろうなと笑うとルディアスに向かって手を振りゆっくりと近づくのだった。
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