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4章 想い
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空の眩しさが目に染みる。
輝く太陽を頭上にセラフィリーアは空にいた。
シュクラとアイヴィスと一緒にルディアスの手の中で風をきる。
向かうはファレナス。
アイヴィスは、黒い騎士団長の騎士服を身に纏い、セラフィリーアはファレナスの国花を刺繍したドレス。
シュクラの首にはセラフィリーアのドレスに使われているリボンを巻いていた。
ルディアスにも、公式訪問の際につける腕輪。
ルディアスもシュクラも着飾らなくても綺麗だけれど。
それに続くのは6騎の黒飛竜。
綺麗な隊列を組んで進むと慣れ親しんだ王都が見える。
王都の中央広場にルディアスだけ降り立つと、其処には3番目の兄、フェリドがいた。
「リド兄様」
「お帰り、セラ…ずいぶんと会っていないみたいで、寂しかったよ?ずいぶんと綺麗になったね」
ふわりと抱き締めてくれる腕。
久し振りだと思った。
母の容姿を受け継ぐ美人だが、兄弟の中でも性格は苛烈。
普段はそんなことはないが、理詰めで相手を追い詰める。
そんな兄のためあまり、敵には回したくないと思う。
家族仲は良い方だけれど。
「ありがとう。お兄様も」
そっと離れると、隊列を組んでいた飛竜達がルディアスを残して城外に降りたつらしい。
それに小さく手を振ってから見送ると、もう一度兄を見る。
「兄様、こちらアイヴィス騎士団長様です。私の上司になります。アイヴィス団長、こちら3番目の兄でフェリドです」
「初めましてアイヴィス陛下」
「フェリド王子、本日はセラフィリーア王子の騎士として訪問させていただいていますので」
今朝、決めた事。
王としての訪問は、手続きを踏むのに面倒になるが、アイヴィスとしてはセラフィリーアを一人で向かわせるのはしたくない。
セラフィリーア自体も、ファレナスに戻ろうとは思っていなかったが、アイヴィスが成人の為の誕生日なのだからと、無理を押し通した形で決めたようだったが、実のところ、飛竜騎士や服団長達、侍従ズに話を通してはあったらしく、あっという間に支度をさせられてセラフィリーアはファレナスの土を踏んでいた。
「では、どうぞ?」
「あ、リド兄様…この子も。シュクラと言います」
ルディアスの手の中から抱き上げた白飛竜。
「皆にも紹介したくて」
自分の子供みたいなものなのだからと、連れてきた。
アイヴィスもルディアスも問題ないだろうと許可をしてくれたしシュクラも離れたくないと言ったため、我儘や悪戯をしたら直ぐに帰らせるからとシュクラに話して約束させたのだ。
「本当だったんだね、話は聞いていたけれど。シュクラ、触ってもいい?」
「ピイ」
「ふふ、いいよって言ってますのでどうぞ?ただ、喉の下辺りの鱗には気を付けてください。逆鱗ですから」
シュクラの頭を撫でてくれる兄を見ながら、ふとルディアスを見上げる。
「ディアはどうしよう…此処だと落ちつかないでしょうし、シュクラともあまり離れたくない?私が帰るまでは白の屋上とかでも大丈夫かな」
元々飛竜がいない国のため、飛竜のための施設がない。
シュクラほど小さな個体ならまだいいが、ルディアスは飛竜の中でも大きな個体だ。
アイヴィスを見ると、大丈夫ならば屋上か、むりならば場外で待機させると言ってくれ、了解を取るまでは場外にとお願いする。
「ディア、少しの間だけごめんなさい。シュクラはつれていくけれど心配しないで?」
そう伝えると、ルディアスは頷いて翼を広げる。
ゆっくりとはばたかせると大きな身体は静かに浮かぶ。
アイヴィスとルディアスか何か会話をしているのか、ちらちらとルディアスの視線を感じながらもセラフィリーアは手を振るのだった。
輝く太陽を頭上にセラフィリーアは空にいた。
シュクラとアイヴィスと一緒にルディアスの手の中で風をきる。
向かうはファレナス。
アイヴィスは、黒い騎士団長の騎士服を身に纏い、セラフィリーアはファレナスの国花を刺繍したドレス。
シュクラの首にはセラフィリーアのドレスに使われているリボンを巻いていた。
ルディアスにも、公式訪問の際につける腕輪。
ルディアスもシュクラも着飾らなくても綺麗だけれど。
それに続くのは6騎の黒飛竜。
綺麗な隊列を組んで進むと慣れ親しんだ王都が見える。
王都の中央広場にルディアスだけ降り立つと、其処には3番目の兄、フェリドがいた。
「リド兄様」
「お帰り、セラ…ずいぶんと会っていないみたいで、寂しかったよ?ずいぶんと綺麗になったね」
ふわりと抱き締めてくれる腕。
久し振りだと思った。
母の容姿を受け継ぐ美人だが、兄弟の中でも性格は苛烈。
普段はそんなことはないが、理詰めで相手を追い詰める。
そんな兄のためあまり、敵には回したくないと思う。
家族仲は良い方だけれど。
「ありがとう。お兄様も」
そっと離れると、隊列を組んでいた飛竜達がルディアスを残して城外に降りたつらしい。
それに小さく手を振ってから見送ると、もう一度兄を見る。
「兄様、こちらアイヴィス騎士団長様です。私の上司になります。アイヴィス団長、こちら3番目の兄でフェリドです」
「初めましてアイヴィス陛下」
「フェリド王子、本日はセラフィリーア王子の騎士として訪問させていただいていますので」
今朝、決めた事。
王としての訪問は、手続きを踏むのに面倒になるが、アイヴィスとしてはセラフィリーアを一人で向かわせるのはしたくない。
セラフィリーア自体も、ファレナスに戻ろうとは思っていなかったが、アイヴィスが成人の為の誕生日なのだからと、無理を押し通した形で決めたようだったが、実のところ、飛竜騎士や服団長達、侍従ズに話を通してはあったらしく、あっという間に支度をさせられてセラフィリーアはファレナスの土を踏んでいた。
「では、どうぞ?」
「あ、リド兄様…この子も。シュクラと言います」
ルディアスの手の中から抱き上げた白飛竜。
「皆にも紹介したくて」
自分の子供みたいなものなのだからと、連れてきた。
アイヴィスもルディアスも問題ないだろうと許可をしてくれたしシュクラも離れたくないと言ったため、我儘や悪戯をしたら直ぐに帰らせるからとシュクラに話して約束させたのだ。
「本当だったんだね、話は聞いていたけれど。シュクラ、触ってもいい?」
「ピイ」
「ふふ、いいよって言ってますのでどうぞ?ただ、喉の下辺りの鱗には気を付けてください。逆鱗ですから」
シュクラの頭を撫でてくれる兄を見ながら、ふとルディアスを見上げる。
「ディアはどうしよう…此処だと落ちつかないでしょうし、シュクラともあまり離れたくない?私が帰るまでは白の屋上とかでも大丈夫かな」
元々飛竜がいない国のため、飛竜のための施設がない。
シュクラほど小さな個体ならまだいいが、ルディアスは飛竜の中でも大きな個体だ。
アイヴィスを見ると、大丈夫ならば屋上か、むりならば場外で待機させると言ってくれ、了解を取るまでは場外にとお願いする。
「ディア、少しの間だけごめんなさい。シュクラはつれていくけれど心配しないで?」
そう伝えると、ルディアスは頷いて翼を広げる。
ゆっくりとはばたかせると大きな身体は静かに浮かぶ。
アイヴィスとルディアスか何か会話をしているのか、ちらちらとルディアスの視線を感じながらもセラフィリーアは手を振るのだった。
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