【BL】転生したら獣人の世界で何故か肉食獣に愛されています。

梅花

文字の大きさ
10 / 680
本編

13・14話

しおりを挟む
リルが、残念そうに俺の背中から離れると、レヴィがひょっこりとキッチンに顔を出した。
「いい匂い……だな」
フンフンと鼻を動かす姿は蜂蜜を探す熊を想像して、ちょっと笑える。
大きい男の人なのに可愛いのは、ピクビクッと動く耳があるからかな。
「明日の朝のスープだよ。ふたりとも味見してみる?口に合えばいいんだけど」
「おう」
「あぁ」
返事をしたふたりに小さな皿を用意して、芋の欠片とソーセージをのせてから渡してやる。
熱いの大丈夫かなと心配になったが、その辺りは大丈夫なようだ。
何だか今まで扱ってきた動物とは全く違うものと考えなければいけないかなぁ何て思っていると、ソーセージを飲み込んだレヴィがおかわりをしたそうに皿を持っている。
うわぁ……ごはん頂戴!って、フード入れを咥えてねだるショップのわんこみたい!いや、熊だけど。
リルもお皿を手に待っていてなんだこの可愛いのは。
自分より大きな獣人がとても可愛くて、俺はクスクス笑いながら代替案を提示した。
「明日の朝ごはん、スープが無くていいならおかわりどうぞ?それか、コンソメや野菜が今から買えるなら追加するけど?」
「なら、買いに行ってくる」
リルが手を上げると、これから野菜などを買いに行ってくると言う。
何を買えばいいんだ?と、聞かれても、こちらの野菜はよくわからないし、スープに入れると言えば、店員が選んでくれるだろうとおつかいをお願いした。
「レヴィは、リルが戻ってくる前までに髪を乾かそうか。ちょっと座って」
風呂上がりで少し濡れたレヴィの髪が気になった俺はレヴィをダイニングチェアに座らせると、レヴィの髪をタオルで拭いていく。
敏感な部分だろう丸い耳はそっと優しく拭いてから少し硬めの茶髪を丁寧に拭き上げると満足した。
それから暫くして玄関の扉が開いた音がしてリルが帰ってきた。
「リクト、これでいいか?」
帰ってきたリルの腕の中にあったのは、大量の野菜。
箱に詰められたそれは、びっくりするくらいの量があった。
「うん、ありがとう……こんなに沢山重かったよね?」
リルを労うと、大丈夫とにこりと笑ってくれて、これでスープおかわりできるか?と、聞いてくる。
ちゃんとコンソメっぽいものの在庫があるから大丈夫と伝えると、ふたりが深めのお皿を持ってくる。
温めるから待ってと鍋に火を入れる。
「どうぞ?」
ふたりの皿にたっぷりとスープをよそってから、俺は新しい鍋を出して野菜たっぷりのスープを作る。
こちらはベーコンも刻んで入れて、コンソメを少なくしてみる。
コトコトと弱火で煮込むととろとろになった玉葱とか美味しいよね。
ふんふんと鍋の中を掻き混ぜていると
「おかわり!」
と、リルが皿を出してくる。
んんっ!?いや、さっきよそったばっかりだろ?
と言うか、夕飯食べてからそんなに経ってないのにまだ食えるの?
リルさん食欲凄いな。
「俺も欲しい……」
レヴィさんもですか!?
いいよいいよ、新しく作ったし、明日の朝のスープはあるから。
ふふ、これも一緒に食うがいい!
買ってきてそのままになっていたバゲットを切ってチーズを乗せて焼いたやつ。
カリカリに焼いたから、スープに浸けて食べたら美味いと思う。
くらえカロリー爆弾!
このくらいならふたりならカロリー消費するのはすぐだろうと思い皿に乗せて差し出した。
「うまっ!!」
「うむっ」
ザクザクとバゲットを食べていくふたり。
ちょっと待って、何で大きめのバゲット半分近く焼いたのがもう無いの。
残ったバゲットに黒胡椒を振って味を変えると、ふたりにもっと食べたい表情で見詰められる。
残りのバゲット焼きますか。
ついでだから厚切りベーコンとピーマンもどきも乗せて焼こう。
と言うか、この食べたカロリーはどこに消えるのか。
ふたりともがっちりマッチョだからかなぁ……羨ましいと思いながら俺は残っているバゲットを焼いていくのだった。
しおりを挟む
感想 238

あなたにおすすめの小説

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

喪女なのに狼さんたちに溺愛されています

和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です! 聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。 ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。 森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ? ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

ユキ・シオン

那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。 成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。 出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。 次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。 青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。 そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり…… ※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

処理中です...