6 / 162
6話
しおりを挟む
「聖女様!」
花篭を持ってマーサと大通りを歩くと、子供達が寄ってくる。
「神の祝福があらんことを」
花篭から一輪ずつ子供たちに花を渡していく。
街は浮き足立っていて様々な場所で露店が開いているのかあちらこちらで元気な声が掛かっていた。
子供達の頭に手を乗せて、浄化と癒しの力を流す。
少しでも長く健康でありますように。
それは子供達だけでなく老人や妊婦。病人などに。
篭の花が無くなっていく。
マーサの篭と篭を取り替えて貰い、続いて花を配っていく。
篭の花が無くなる頃には昼は過ぎていた。
「サシャ様、何か食べてから行きましょう」
「うん。露店のものでいい」
久し振りにそういったものを食べたいとお願いすると、マーサは仕方ありません、ベンチに座って待っていて下さいと言って離れていった。
暫く辺りを見回していると、頭上から影がさし空を仰ぐとにやにやと下卑た笑いを浮かべる3人の男に囲まれていた。
「へぇ、聖女様がなにもせずに休憩かい?」
「俺達にも祝福が欲しいなぁ?」
「それよりもちょーっと触らせて貰えりゃいいんだけどよ」
ガラガラした汚い声に俺が眉をひそめたのがわかったのだろう、男たちはイラッとしたようで、いきなり腕を掴んできた。
「何だよその態度は」
「聖女様は俺らみたいな奴には祝福ができねぇって?」
言いがかりとしか言えないような事を言われて普通なら弱気になるだろうが、俺はくってかかろうとして息を吸い込んだ瞬間、別の場所から怒号が降ってきて、男たちはやべえ!と言う呟きと同時に蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
「聖女様、大丈夫でしたでしょうか」
さっと目の前に膝をついた男性が身に纏うのは黒の騎士服。
短く刈り上げた髪は柔らかな亜麻色をして、キリリとした切れ長の瞳は漆黒でその上には柳眉。
少し日焼けした肌は健康的で高い鼻梁や薄い唇はバランス良く収まっていた。
「サシャ様!大丈夫ですか?あら、そちらはミゲル様?」
食事を買いに行っていたマーサが戻ってくると、俺は困ったようにマーサを見た。
「マーサ殿か、久方ぶりだな?こちらの方は?」
「あ、サシャ様です。聖女の。体調が優れないようで少し休んでから私の家でお休みをしていただこうかと思いまして」
「あぁ、伯爵家か。差し支えなければ俺が護衛に付くが?」
マーサが買ってきてくれた芋を潰して揚げたものを口にしていると、思いがけない提案に俺は噴き出しそうになる。
「騎士様がお忙しいでしょう?このような日ですもの……マーサ……」
「でも、危険を伴うよりは良いかと」
ちらりとマーサとミゲル様が何か目で合図をすると、いきなりミゲル様が俺を抱き上げた
「きゃっ!」
うん、驚いたときに出す悲鳴は問題ないね。
「失礼いたしますサシャ様、部下に馬車を用意させますから、乗れる場所までお運びいたします。マーサ殿構わないな?」
「ありがとうございます」
話はどんどん進んでしまって自分の意見を挟む隙間がない。
俺はこれからどう…なるんだ?
花篭を持ってマーサと大通りを歩くと、子供達が寄ってくる。
「神の祝福があらんことを」
花篭から一輪ずつ子供たちに花を渡していく。
街は浮き足立っていて様々な場所で露店が開いているのかあちらこちらで元気な声が掛かっていた。
子供達の頭に手を乗せて、浄化と癒しの力を流す。
少しでも長く健康でありますように。
それは子供達だけでなく老人や妊婦。病人などに。
篭の花が無くなっていく。
マーサの篭と篭を取り替えて貰い、続いて花を配っていく。
篭の花が無くなる頃には昼は過ぎていた。
「サシャ様、何か食べてから行きましょう」
「うん。露店のものでいい」
久し振りにそういったものを食べたいとお願いすると、マーサは仕方ありません、ベンチに座って待っていて下さいと言って離れていった。
暫く辺りを見回していると、頭上から影がさし空を仰ぐとにやにやと下卑た笑いを浮かべる3人の男に囲まれていた。
「へぇ、聖女様がなにもせずに休憩かい?」
「俺達にも祝福が欲しいなぁ?」
「それよりもちょーっと触らせて貰えりゃいいんだけどよ」
ガラガラした汚い声に俺が眉をひそめたのがわかったのだろう、男たちはイラッとしたようで、いきなり腕を掴んできた。
「何だよその態度は」
「聖女様は俺らみたいな奴には祝福ができねぇって?」
言いがかりとしか言えないような事を言われて普通なら弱気になるだろうが、俺はくってかかろうとして息を吸い込んだ瞬間、別の場所から怒号が降ってきて、男たちはやべえ!と言う呟きと同時に蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
「聖女様、大丈夫でしたでしょうか」
さっと目の前に膝をついた男性が身に纏うのは黒の騎士服。
短く刈り上げた髪は柔らかな亜麻色をして、キリリとした切れ長の瞳は漆黒でその上には柳眉。
少し日焼けした肌は健康的で高い鼻梁や薄い唇はバランス良く収まっていた。
「サシャ様!大丈夫ですか?あら、そちらはミゲル様?」
食事を買いに行っていたマーサが戻ってくると、俺は困ったようにマーサを見た。
「マーサ殿か、久方ぶりだな?こちらの方は?」
「あ、サシャ様です。聖女の。体調が優れないようで少し休んでから私の家でお休みをしていただこうかと思いまして」
「あぁ、伯爵家か。差し支えなければ俺が護衛に付くが?」
マーサが買ってきてくれた芋を潰して揚げたものを口にしていると、思いがけない提案に俺は噴き出しそうになる。
「騎士様がお忙しいでしょう?このような日ですもの……マーサ……」
「でも、危険を伴うよりは良いかと」
ちらりとマーサとミゲル様が何か目で合図をすると、いきなりミゲル様が俺を抱き上げた
「きゃっ!」
うん、驚いたときに出す悲鳴は問題ないね。
「失礼いたしますサシャ様、部下に馬車を用意させますから、乗れる場所までお運びいたします。マーサ殿構わないな?」
「ありがとうございます」
話はどんどん進んでしまって自分の意見を挟む隙間がない。
俺はこれからどう…なるんだ?
127
あなたにおすすめの小説
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
悪役令息の兄って需要ありますか?
焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。
その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。
これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
使用人と家族たちが過大評価しすぎて神認定されていた。
ふわりんしず。
BL
ちょっと勘とタイミングがいい主人公と
主人公を崇拝する使用人(人外)達の物語り
狂いに狂ったダンスを踊ろう。
▲▲▲
なんでも許せる方向けの物語り
人外(悪魔)たちが登場予定。モブ殺害あり、人間を悪魔に変える表現あり。
偽物勇者は愛を乞う
きっせつ
BL
ある日。異世界から本物の勇者が召喚された。
六年間、左目を失いながらも勇者として戦い続けたニルは偽物の烙印を押され、勇者パーティから追い出されてしまう。
偽物勇者として逃げるように人里離れた森の奥の小屋で隠遁生活をし始めたニル。悲嘆に暮れる…事はなく、勇者の重圧から解放された彼は没落人生を楽しもうとして居た矢先、何故か勇者パーティとして今も戦っている筈の騎士が彼の前に現れて……。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
寄るな。触るな。近付くな。
きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。
頭を打って?
病気で生死を彷徨って?
いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。
見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。
シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。
しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。
ーーーーーーーーーーー
初めての投稿です。
結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。
※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる