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15話
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「あの……どなたか医師を……解毒ができるかたをお願いしたいのですが……」
俺が夜勤者にお茶を振る舞っている時に、医務室に飛び込んできたのは騎士見習いだった。
「腹痛を訴えていて……」
焦る彼は言葉が上手く出てこないのか、話す内容が要領を得ない。
「誰か、解毒できる奴は……」
「今日はいないぜ。どうする?」
「とりあえず薬渡して明日来てもらうか?」
夜勤者達がわいわいと騒ぎ出す。
毒によっては一刻一秒を争うのに。
「では、俺はこれで」
いつものようにお茶をセットしてからそっと部屋を出ると、騎士見習いの腕を引いた。
「どなたが?」
「騎士団長様が……大丈夫とはおっしゃっているのてすが……苦しそうで……」
「行きます、案内してください」
騎士見習いは俺の頭から爪先までを見る。どうみたって医師には見えないだろうけれど。
「俺、ミゲル様にはお世話になっているので、薬は用意できないけれど身の回りのことくらいはするから、部屋だけ教えてください」
「1階の灯りの点いた部屋だ……」
「わかりました、騎士様は他の医師か看護師と一緒に来てください」
普通なら一般の俺など、鼻にもかけないだろう騎士が、余程狼狽えているのだろう。
こくこくと頷くと、俺は頭を下げてから騎士団へと向かう。
夜だから、カンテラを持ってきていたはずなのに、控え室に置いてきたようだ。
どうやら俺も相当動揺しているらしい。
薄暗がりの長い廊下を歩き建物を移ると騎士団長の部屋を目指す。
部屋のドアから漏れる光で場所がわかった。
「失礼します」
俺はそっと扉を開けて中へと足を踏み入れた。
俺が夜勤者にお茶を振る舞っている時に、医務室に飛び込んできたのは騎士見習いだった。
「腹痛を訴えていて……」
焦る彼は言葉が上手く出てこないのか、話す内容が要領を得ない。
「誰か、解毒できる奴は……」
「今日はいないぜ。どうする?」
「とりあえず薬渡して明日来てもらうか?」
夜勤者達がわいわいと騒ぎ出す。
毒によっては一刻一秒を争うのに。
「では、俺はこれで」
いつものようにお茶をセットしてからそっと部屋を出ると、騎士見習いの腕を引いた。
「どなたが?」
「騎士団長様が……大丈夫とはおっしゃっているのてすが……苦しそうで……」
「行きます、案内してください」
騎士見習いは俺の頭から爪先までを見る。どうみたって医師には見えないだろうけれど。
「俺、ミゲル様にはお世話になっているので、薬は用意できないけれど身の回りのことくらいはするから、部屋だけ教えてください」
「1階の灯りの点いた部屋だ……」
「わかりました、騎士様は他の医師か看護師と一緒に来てください」
普通なら一般の俺など、鼻にもかけないだろう騎士が、余程狼狽えているのだろう。
こくこくと頷くと、俺は頭を下げてから騎士団へと向かう。
夜だから、カンテラを持ってきていたはずなのに、控え室に置いてきたようだ。
どうやら俺も相当動揺しているらしい。
薄暗がりの長い廊下を歩き建物を移ると騎士団長の部屋を目指す。
部屋のドアから漏れる光で場所がわかった。
「失礼します」
俺はそっと扉を開けて中へと足を踏み入れた。
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