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49話
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「誰か、担架だ」
誰かの声が上がる。
誰の声かはわからないが、切羽詰まったような声だった。
そして辺りがざわざわとする。
「無理に動かすな、医師を呼んでこい落馬だ!」
その声に俺は馬から飛び降りた。
騎士の乗馬訓練中、馬に慣れない騎士が落馬したと言うのだ。
「退いてください」
落馬なら、骨折で済めばいいが、頭を打ったり、蹄に掛かったりしていれば、命にも関わる。
医師が間に合わなければ…医師はもちろん、いくら聖女でも失った命は戻せない。
「すみません、近くにいた方は!状況を!」
声を上げて辺りを見回す。
1人の見習いが小さな声で喋った。
馬が後ろ足だけで立ち上がり、あいつが落ちたのだと。
興奮した馬、その足元に倒れる見習い騎士は仰向けになっていて、足があらぬ方を向いていた。
「すみません!サハルと言います、医師が来るまで少しだけですが治療をさせてください」
見習い騎士を動かそうとした騎士に話しかけた。
騎士もこれ以上はどうにもできないと思っていたのか、膝をついた格好で俺を見上げると静かに退く。
「訓練者を移動させてください、他の馬達が興奮しています」
そう頼むと、騎士は手を上げ、離れるように指示を出した。
俺の馬と、落馬した騎士の馬は違う誰かが離してくれた。
「投影」
集中すると、足の骨折に全身の打撲。
恐れていた頭部の打撲や蹄による内臓損傷は無さそうに見えた。
「見立てでは骨折と全身打撲、命には関わらないかと思います…が、医師の判断も必要かと思いますので、とりあえず骨折の処置と痛み緩和だけしてから、担架で涼しい場所へ」
俺は見習い騎士の足に触れると、意識が戻ったのか小さな呻き声を上げた。
良かった。
意識があれば痛い場所もわかる。
「大丈夫?聞こえる?」
俺はゆっくり話しかけた。
それに、痛みを堪えながら頷いた青年。
痛い場所はと聞くと、全身だと言う。
全身打撲だからね。
足が折れている旨を告げると顔面蒼白になったが、治すからと言うと青年は安堵の色を見せた。
誰かの声が上がる。
誰の声かはわからないが、切羽詰まったような声だった。
そして辺りがざわざわとする。
「無理に動かすな、医師を呼んでこい落馬だ!」
その声に俺は馬から飛び降りた。
騎士の乗馬訓練中、馬に慣れない騎士が落馬したと言うのだ。
「退いてください」
落馬なら、骨折で済めばいいが、頭を打ったり、蹄に掛かったりしていれば、命にも関わる。
医師が間に合わなければ…医師はもちろん、いくら聖女でも失った命は戻せない。
「すみません、近くにいた方は!状況を!」
声を上げて辺りを見回す。
1人の見習いが小さな声で喋った。
馬が後ろ足だけで立ち上がり、あいつが落ちたのだと。
興奮した馬、その足元に倒れる見習い騎士は仰向けになっていて、足があらぬ方を向いていた。
「すみません!サハルと言います、医師が来るまで少しだけですが治療をさせてください」
見習い騎士を動かそうとした騎士に話しかけた。
騎士もこれ以上はどうにもできないと思っていたのか、膝をついた格好で俺を見上げると静かに退く。
「訓練者を移動させてください、他の馬達が興奮しています」
そう頼むと、騎士は手を上げ、離れるように指示を出した。
俺の馬と、落馬した騎士の馬は違う誰かが離してくれた。
「投影」
集中すると、足の骨折に全身の打撲。
恐れていた頭部の打撲や蹄による内臓損傷は無さそうに見えた。
「見立てでは骨折と全身打撲、命には関わらないかと思います…が、医師の判断も必要かと思いますので、とりあえず骨折の処置と痛み緩和だけしてから、担架で涼しい場所へ」
俺は見習い騎士の足に触れると、意識が戻ったのか小さな呻き声を上げた。
良かった。
意識があれば痛い場所もわかる。
「大丈夫?聞こえる?」
俺はゆっくり話しかけた。
それに、痛みを堪えながら頷いた青年。
痛い場所はと聞くと、全身だと言う。
全身打撲だからね。
足が折れている旨を告げると顔面蒼白になったが、治すからと言うと青年は安堵の色を見せた。
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