【BL】かつて大聖女様と呼ばれていた俺は現在男ですが何か。

梅花

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155話

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「はぁ……悪い、少しだけこのままで」
珍しくミゲル様が疲れた声を上げたのを聞いた。
少しいつもより低く掠れた声は、ぞくりと俺の肌が粟立つ程艶かしい声だ。
良く通る声に声を聞くだけで歓喜する女性も居るというのに。
「少しだけですよ?ミゲルさま、ちょっと……待ってください」
そっとミゲル様の髪を撫でてから抱き締められている腕の中で俺はくるりと身体を反転させ、向かい合うようにしてからギュッとミゲル様を抱き締めた。
「お疲れ様ですミゲル様、無理なさらずに。治癒で体力は戻せますが、すり減った精神は俺には治す方法がありませんから……ミゲル様、少し横になってください、マッサージしましょう?」
ミゲル様の背中に回した手から、そっと力を流し込む。
「いや、少しだけこうしてくれていれば大丈夫だ。まだ仕事が終わらないからなもう少し……サハルも休める時には休んでおけ、出発は明後日だ」
「大丈夫です、明日出発しても大丈夫なように色々と揃えてありますので。ただ、現地での水の調達をサシャ様の魔法石に頼ることになりるかもしれませんが」
「わかった、借用書を作成させなければな……サハル・アーデルフィア殿のものをな」
未だに慣れないアーデルフィアの名前。
一瞬ハッとしてしまった俺にミゲル様はクスクス笑う。
「アーデルフィア次期侯爵だな?」
「なりませんよ……と言うか、ミゲル様の伴侶にはしていただけないのですか?」
婚姻をすればどちらかの籍に入るのだから、名前が変わる。
「酷い……俺……ミゲル様に弄ばれているんだ……」
「そんな事はないが」
オロオロしだしたミゲル様に、冗談ですよと笑い爪先で立つとその頬に軽くキスをした。
ミゲル様とは婚姻と言っても養子縁組。
本当の伴侶には書類上はなれないのだ。
「ミゲル様、好きです……俺、ミゲル様のお茶をいれたら書類をお願いしに行きますね?」
一歩ミゲル様から離れると、手にしていた書類の皺を軽くのばしてから、ミゲル様の執務机の上に乗せてから簡易キッチンへと向かう。
何をミゲル様が望むだろうかとお湯を沸かしつつ茶葉を選ぶ。
リラックス効果のあるフレーバーティーにしようかと缶を開けた。
甘く香る茶葉を取り、お湯が沸くのを待つ。
「……でも、いつかはミゲル様の伴侶にしてもらえるのかな……ミゲル様は昔は伴侶を娶らないって、言っていたらさしいし……少しだけ、不安だよ」
ポツリと呟いて天井を見上げる。
それから直ぐにお湯が沸いてシュンシュンと湯気を上げた。
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