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1章

140話

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「カイル……もぅ……」

あれから何度も達かせ、漸くテトの目隠しを外してやると、ホッとした表情を浮かべて微笑んだ。
その表情だけで胸がいっぱいになる。
酷いことをしているのに、きっとテトは俺を恨まないのだ。

「良かった……やっとカイルの顔が見られた」

軟らかな指先が俺の頬に触れて、そっと引き寄せられると唇が触れた。

「声は、怒っていなかったけど、やっぱり顔が見たいから……カイルの優しいとこ、好きだよ」

可愛い事を言うテトに、そうかと頷いてからその隣に身体を横たえると抱き締めてやる。
最初の砂漠で出会った時より少しだけ背が伸び、肉付きも良くなったのはアスミタがせっせと給事をしたからだろう。
それともミリシャとおやつの時間を一緒にしているからかもしれないが。
それでもまだまだ細い。

「あれだけの事をされていてまだ優しいと?」
「……うん。本当に嫌なことはされてない……カイルにされて嫌なことはないけれど」

ふふっと笑うテトの姿。
可愛らしいその姿に胸の奥が温かくなる。
この笑みを絶やしたくないと思うのだが……。

「カイルは体温が高いよね、火の加護を持っているからかな……凄く気持ちいい」

すりすりと腕に頬擦りしてくるテトの体温は少しだけ低い。

「テトが少し冷たいのは水の加護だろう?火照った身体を冷やすのには丁度いいからな……互いに良い関係なのだろう」

そう囁いてやると、テトは嬉しそうに笑う。
俺の鎖骨や首筋にそっと触れていくのは、何かを考えているからなのだろうか。
テトは随分と表情を出すようになった。
嫌なことは顔にでる。アルーディアに来たときは辛い、悲しい、痛いは
それは、俺やアスミタにしかわからないようなのだが。

「ねぇカイル……明日、久し振りに水やりをしたいな……双子が来れるかわからないけれど」
「最近はミリシャの担当だったからな……たまには一緒にやってもいいだろう、朝になったら聞いてみたらどうだ?」

そう言えば、テトの祈りを聞いていないなとふと思い出した。
小さな鼻唄を歌っている時はあるが、身体を動かすまでにはいっていない。
王妃としての仕事がおおくなっているからだ。

「ミリシャが良いと言ったときは俺も見たいから時間を調節しよう」
「嬉しい……久し振りにあのアンクレットを着けてもいい?」
「勿論だ」

求婚をしたときのアンクレットをテトは今も大事に持っている。
いくつもいくつも贈ったが、あれだけは特別なようで時折着けているのを目にした。

「ただし透けない服にしてくれ」

今回のお仕置きの元凶になったことをお願いすると、テトはクスクスと声を上げる。

「うん。気を付ける」

軽い返事と共に、テトからのキスを受けながら二人で笑うと眠るために目を閉じた。
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