完【恋愛】婚約破棄をされた瞬間聖女として顕現した令嬢は竜の伴侶となりました。

梅花

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33話

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「あら、メモが入っているわね…」

封筒に残ったメモを拾い上げて見ると、それまた頭が痛くなるような言葉。

『とりあえず王宮に大至急来い』

これは誰からのメモだろうか。
そう首を傾げなくても、フェンリエッタには誰の文字かわかってしまう。

「王子様の文字ですわね…」
「は?フェンリエッタ…それは本当か?」
「はい…あの特徴のある文字は第2王子様のものです…名前がないから誰が書いたかわからないと思ったのかしら…」

フェンリエッタの呟きに反応したのはベルナルドだった。
そして両親は同時に溜め息を吐く。
叔父は呆れたように肩を竦めた。

「お父様…とりあえず…今夜はですから」

そう言いながらも、まだ日は高い位置にある。

「あぁ、ラウルも泊まっていくといいぞ?王宮に帰るのにも、自宅に帰るのにももうだからな」
「あぁ、今夜は泊まらせて貰うとしよう」

繰り返すが、空にある太陽はまだ高い位置にある。
それなのに…
王室からの召集は見ない事にしたのだ。

「フェンリエッタちゃんも、ベルナルドくんとゆっくりしていなさい?」
「でも、お義母様…」
「大丈夫よ、明日には王宮に行かなければならなくなるもの。それまでゆっくりして身体を休めなさい?


優しく抱き締められる義母の腕はフェンリエッタよりも細い筈なのに力強い。

「そうだぞ、フェンリエッタ。明日は最高に綺麗に装って出陣になる。流石に婚礼衣装とまではいかないが…王の回答によってはこちらもやることがあるからな」

そう言って笑う両親に、何をするのかフェンリエッタは聞くことができず、その場をベルナルドと後にした。

翌日の明け方から、フェンリエッタは義母と一緒に侍女達に湯あみをさせられた。しっかりと爪先まで磨き上げられ、コルセットで腰を締められた。
子供を産んでいるのに、義母の体型は崩れていない。
若い自分と変わらないのねなどとフェンリエッタは思いながらドレスに袖を通した。
今日のドレスは薄紫。
髪をしっかりと結い上げて、まるでデビュタントの時のようなものものしさ。
あのときと違うのは、纏うのが色のついたドレスや装身具があると言うこと。
義母は、自分より色の濃い紫を基調としたドレス。
さらに父はそれよりも、濃い濃紫。

「フェンリエッタ、嫁ぐ前まではお前はゲンティアナ侯爵令嬢だからね、覚えておきなさい…私たちがゲンティアナを名乗る理由を。
そして、この紫は戦闘色なのだよ」

優しく笑う父。
そう言えば、あまり両親が紫を着ることはなかったが、ゲンティアナ家の肖像画は全て男性は濃紫を纏っていた。
それに対してベルナルドは燃えるような紅。

出陣の準備は整った。
軽い朝食を取り、馬車に乗る。
王城は目の前。
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