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誘拐事件勃発
迫りくる恐怖
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「……?」
老婆の指先が鳴る音だけがした。その行動に何の意味があるのかと、香 麗然は首を傾げる。直後──背後からドサッという、何かが倒れるような音がした。振り向くとそこには金明妃が倒れている。
「え!? ちょっ……どうしたの!?」
慌てて、倒れている金明妃へと駆けよった。少女の体を揺さぶりながら、何度も名を呼ぶ。けれど金明妃は目を開けることはなかった。
(何で? いったい何が……っ!? それにこの香り……沈香……)
そう思った瞬間、香 麗然は背後から何者かに布で口を塞がれてしまう。じたばたと踠くけれど、それは無駄な抵抗だった。布に眠り薬が仕込まれていたのか、次第に意識が薄れていく。力も出なくなり、ガクンッと、その場に倒れた。
「余計なことをするから、こうなるのよ」
薄れ行く意識の中で見たのは、桃色の漢服を着た女だった。
香 麗然はその女の顔に見覚えがあった。金明妃の侍女でありながら、率先して苛めをしている。侍女用の着替えのときに金明妃のそばにいた女、侍女頭だった。
眠たい。まだ、寝かせてほしい。
香 麗然はすやすやと、寝息をたてて眠っていた。けれど誰かに声をかけられ、さらには体を揺さぶられる。それでも、意地でも眠ってやると、両目を強く閉じた。
「……ま! お姉様!」
「うにゃあ?」
揺さぶり起こしてくるのは幼い少女、金明妃だ。少女は焦りを乗せた口調で、必死に香 麗然に話しかけている。
香 麗然は寝惚け眼なまま、上半身だけを起こした。目をこすって、ふわぁーとあくびをかく。男子のように胡座をかくことはなかったけれど、それでも女子としての恥じらいを捨てたような大きなあくびだった。
「おはよう」
「あ、はい。おはようございます……じゃなくて!」
「……んん?」
慌てる金明妃を横目に、香 麗然は周囲を見渡す。見慣れない景色なうえに、自身は両手足を背中につけ、腰と一緒に縛られていた。
こうなった経緯に、まったく記憶がない。
香 麗然は板の上に乗せられた魚のように、横になってビチビチと跳ねた。
老婆の指先が鳴る音だけがした。その行動に何の意味があるのかと、香 麗然は首を傾げる。直後──背後からドサッという、何かが倒れるような音がした。振り向くとそこには金明妃が倒れている。
「え!? ちょっ……どうしたの!?」
慌てて、倒れている金明妃へと駆けよった。少女の体を揺さぶりながら、何度も名を呼ぶ。けれど金明妃は目を開けることはなかった。
(何で? いったい何が……っ!? それにこの香り……沈香……)
そう思った瞬間、香 麗然は背後から何者かに布で口を塞がれてしまう。じたばたと踠くけれど、それは無駄な抵抗だった。布に眠り薬が仕込まれていたのか、次第に意識が薄れていく。力も出なくなり、ガクンッと、その場に倒れた。
「余計なことをするから、こうなるのよ」
薄れ行く意識の中で見たのは、桃色の漢服を着た女だった。
香 麗然はその女の顔に見覚えがあった。金明妃の侍女でありながら、率先して苛めをしている。侍女用の着替えのときに金明妃のそばにいた女、侍女頭だった。
眠たい。まだ、寝かせてほしい。
香 麗然はすやすやと、寝息をたてて眠っていた。けれど誰かに声をかけられ、さらには体を揺さぶられる。それでも、意地でも眠ってやると、両目を強く閉じた。
「……ま! お姉様!」
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揺さぶり起こしてくるのは幼い少女、金明妃だ。少女は焦りを乗せた口調で、必死に香 麗然に話しかけている。
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「おはよう」
「あ、はい。おはようございます……じゃなくて!」
「……んん?」
慌てる金明妃を横目に、香 麗然は周囲を見渡す。見慣れない景色なうえに、自身は両手足を背中につけ、腰と一緒に縛られていた。
こうなった経緯に、まったく記憶がない。
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