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誘拐事件勃発
この上ないピンチ
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「えっと……何が、どうなっているのかしら?」
金物屋で売られた物を聞いていたとき、先に金明妃が倒れた。それを介抱しようと近づいた直後、何者かによって香 麗然は眠り薬の入った布を口に当てられてしまう。そして気がついた時にはこの場所にいた。
「わ、かりません。わたしは後ろから薬を嗅がされてて、眠ってしまって」
「なるほどね。それを助けようとした私も、同じことをされたってことか。で、気絶している私たちを、誰かがここに運んだと」
「はい。でも、その犯人は……」
「うん。間違いなく、あなたつきの侍女頭ね」
「…………」
幸いなことに、金明妃は両手だけが縛られていた。この状態ならば、扉を開けて外へ逃げ出し、助けを呼ぶことができる。そう考え、金明妃に話を持ちかけようとしたそのとき──
扉が開く音と同時に、数人の人影が現れた。彼らは一様に、口を布で隠している。その中に一人、体格からして女性とおぼしき人物がいた。彼女は目元を厭らしく細め、ツカツカと足音をたてながら二人へ近づいてくる。
そして香 麗然の髪を引っぱり、半ば無理やり立たせた。
「……いっ! な、何すんだっぺ!?」
「ふんっ! 大人しく、後宮で下女の仕事をしていればよかったものを。余計なことに首を突っこむから、こうるのよ!」
「……っ!」
女性が勢いよく手を離す。香 麗然は床に倒れ、金明妃に心配されながら数人を睨んだ。
「本当に、生意気な小娘ね」
腕を組み、香 麗然と金明妃を見下す。そして踵を返し、ともにいる者ちと出ていこうとした。
香 麗然は彼女の背中を見つめながら、鼻をくんっとさせる。
(この香り、最近嗅いだ気がする。どこでだっけ? それに……何でこの人に、香死が纏わりついているの!?)
言い知れぬ不安と、何かを察知した鼻は、犬のように彼女の香りを追いかけていった。やがて……
「……っ!? この香り……間違いないわ。あんた、金明妃の妓女頭でしょ!?」
(香死に混じったこの独特な香り、間違えるはずがないわ。これは、池の鯉を殺したクンミと同じ。それにもう一つ。これは……沈香!?)
女が振り向く。そしてくくくっと不気味な笑い声をあげながら、口を隠している布を取った。そこから現れたのは香 麗然の言うように、金明妃の侍女頭だった。女は勝ち誇った笑みを浮かべたまま、自身の髪の毛を掬い上げる。
金物屋で売られた物を聞いていたとき、先に金明妃が倒れた。それを介抱しようと近づいた直後、何者かによって香 麗然は眠り薬の入った布を口に当てられてしまう。そして気がついた時にはこの場所にいた。
「わ、かりません。わたしは後ろから薬を嗅がされてて、眠ってしまって」
「なるほどね。それを助けようとした私も、同じことをされたってことか。で、気絶している私たちを、誰かがここに運んだと」
「はい。でも、その犯人は……」
「うん。間違いなく、あなたつきの侍女頭ね」
「…………」
幸いなことに、金明妃は両手だけが縛られていた。この状態ならば、扉を開けて外へ逃げ出し、助けを呼ぶことができる。そう考え、金明妃に話を持ちかけようとしたそのとき──
扉が開く音と同時に、数人の人影が現れた。彼らは一様に、口を布で隠している。その中に一人、体格からして女性とおぼしき人物がいた。彼女は目元を厭らしく細め、ツカツカと足音をたてながら二人へ近づいてくる。
そして香 麗然の髪を引っぱり、半ば無理やり立たせた。
「……いっ! な、何すんだっぺ!?」
「ふんっ! 大人しく、後宮で下女の仕事をしていればよかったものを。余計なことに首を突っこむから、こうるのよ!」
「……っ!」
女性が勢いよく手を離す。香 麗然は床に倒れ、金明妃に心配されながら数人を睨んだ。
「本当に、生意気な小娘ね」
腕を組み、香 麗然と金明妃を見下す。そして踵を返し、ともにいる者ちと出ていこうとした。
香 麗然は彼女の背中を見つめながら、鼻をくんっとさせる。
(この香り、最近嗅いだ気がする。どこでだっけ? それに……何でこの人に、香死が纏わりついているの!?)
言い知れぬ不安と、何かを察知した鼻は、犬のように彼女の香りを追いかけていった。やがて……
「……っ!? この香り……間違いないわ。あんた、金明妃の妓女頭でしょ!?」
(香死に混じったこの独特な香り、間違えるはずがないわ。これは、池の鯉を殺したクンミと同じ。それにもう一つ。これは……沈香!?)
女が振り向く。そしてくくくっと不気味な笑い声をあげながら、口を隠している布を取った。そこから現れたのは香 麗然の言うように、金明妃の侍女頭だった。女は勝ち誇った笑みを浮かべたまま、自身の髪の毛を掬い上げる。
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