香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く 

液体猫(299)

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白い妃

優しい心

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 戸惑っていると、金明ジンミンが種明かしを始める。

楊周ヤンヂョウ妃様、おたわむれもそのぐらいに」

 金明ジンミンの幼いけれど、今だけは誰よりも冷静な声になっていた。
 楊周ヤンヂョウ妃と曹朱ツァオジュが顔を見合せながら苦笑いした。楊周ヤンヂョウ妃が腰をあげ、戸惑う香 麗然コウ レイランの頭を撫でる。

「……ふふ。ごめんなさいね。金明ジンミンが懐いた子だから、どんな人なのかしら? って、思って」

「……はあ」

 気のない返事をした。楊周ヤンヂョウ妃を見て、次に金明ジンミンに視線を走らせる。

「えっと、つまりは……試されてただけ、ってことでしょうか?」

 いまいち状況が掴めない。どう答えれば、反応すればいいのか。それに迷ってしまった。
 勧められた椅子に腰かけ、楊周ヤンヂョウ妃の真正面に座る。

「この子……金明ジンミンはね。権姜クォンカンが亡くなった後、後継人こうけんにんを必要としていたわ。そのとき、私が名乗り出て金明ジンミンの保護者になったのよ」

 金明ジンミンは元妃だ。けれどまだ未成年ということもあり、親や成人した者の承認が必要なときがただあった。現皇帝が名乗り出てもよかったのだけれど、それだとさらに確執を生む可能性がある。
 ただでさえ、はぶけにされているのだ。そんな状態でさらに注目を浴びれば、もっと肩身が狭くなろう。
 それを阻止するために、上級妃の楊周ヤンヂョウ妃が名乗りをあげた。

金明ジンミンは、私の御子と同年代なの。ときどき、遊んでいたりするのよ。ただ、あかみやと白の宮は、かなり離れていて……それにお互い忙しくて、あまり会う機会がなかったのよね」

 片方は妃、もう一方は次期上級妃となる者。そんな二人は同年代であっても、滅多に会うことができなかった。何よりも他の妃の元へ行くということ自体、この後宮では悪目立ちをしてしまう。

「そんなとき、私の御子に頼まれたわ。金明ジンミンの後継人になってほしいって」

 楊周ヤンヂョウ妃からすれば、他の妃に手を貸すことになる。けれどこの楊周ヤンヂョウ妃はそんなことはお構いなしに、幼い子を助ける道を選んだ。
 そのことに誇りを持ちながら、つねに金明ジンミンの幸せを願っている。

 楊周ヤンヂョウ妃は優しい母のような笑みで、金明ジンミンを見つめた。

「……あかの宮での事件を聞いたわ。まだ、すべてが解決していないということも。でもね?」

 金明ジンミンを凝視する。

 香 麗然コウ レイランは彼女の意図をみ取り、金明ジンミンを呼んだ。
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