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白い妃
優しい心
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戸惑っていると、金明が種明かしを始める。
「楊周妃様、お戯れもそのぐらいに」
金明の幼いけれど、今だけは誰よりも冷静な声になっていた。
楊周妃と曹朱が顔を見合せながら苦笑いした。楊周妃が腰をあげ、戸惑う香 麗然の頭を撫でる。
「……ふふ。ごめんなさいね。金明が懐いた子だから、どんな人なのかしら? って、思って」
「……はあ」
気のない返事をした。楊周妃を見て、次に金明に視線を走らせる。
「えっと、つまりは……試されてただけ、ってことでしょうか?」
いまいち状況が掴めない。どう答えれば、反応すればいいのか。それに迷ってしまった。
勧められた椅子に腰かけ、楊周妃の真正面に座る。
「この子……金明はね。権姜が亡くなった後、後継人を必要としていたわ。そのとき、私が名乗り出て金明の保護者になったのよ」
金明は元妃だ。けれどまだ未成年ということもあり、親や成人した者の承認が必要なときが唯あった。現皇帝が名乗り出てもよかったのだけれど、それだとさらに確執を生む可能性がある。
ただでさえ、省けにされているのだ。そんな状態でさらに注目を浴びれば、もっと肩身が狭くなろう。
それを阻止するために、上級妃の楊周妃が名乗りをあげた。
「金明は、私の御子と同年代なの。ときどき、遊んでいたりするのよ。ただ、朱の宮と白の宮は、かなり離れていて……それにお互い忙しくて、あまり会う機会がなかったのよね」
片方は妃、もう一方は次期上級妃となる者。そんな二人は同年代であっても、滅多に会うことができなかった。何よりも他の妃の元へ行くということ自体、この後宮では悪目立ちをしてしまう。
「そんなとき、私の御子に頼まれたわ。金明の後継人になってほしいって」
楊周妃からすれば、他の妃に手を貸すことになる。けれどこの楊周妃はそんなことはお構いなしに、幼い子を助ける道を選んだ。
そのことに誇りを持ちながら、つねに金明の幸せを願っている。
楊周妃は優しい母のような笑みで、金明を見つめた。
「……朱の宮での事件を聞いたわ。まだ、すべてが解決していないということも。でもね?」
金明を凝視する。
香 麗然は彼女の意図を汲み取り、金明を呼んだ。
「楊周妃様、お戯れもそのぐらいに」
金明の幼いけれど、今だけは誰よりも冷静な声になっていた。
楊周妃と曹朱が顔を見合せながら苦笑いした。楊周妃が腰をあげ、戸惑う香 麗然の頭を撫でる。
「……ふふ。ごめんなさいね。金明が懐いた子だから、どんな人なのかしら? って、思って」
「……はあ」
気のない返事をした。楊周妃を見て、次に金明に視線を走らせる。
「えっと、つまりは……試されてただけ、ってことでしょうか?」
いまいち状況が掴めない。どう答えれば、反応すればいいのか。それに迷ってしまった。
勧められた椅子に腰かけ、楊周妃の真正面に座る。
「この子……金明はね。権姜が亡くなった後、後継人を必要としていたわ。そのとき、私が名乗り出て金明の保護者になったのよ」
金明は元妃だ。けれどまだ未成年ということもあり、親や成人した者の承認が必要なときが唯あった。現皇帝が名乗り出てもよかったのだけれど、それだとさらに確執を生む可能性がある。
ただでさえ、省けにされているのだ。そんな状態でさらに注目を浴びれば、もっと肩身が狭くなろう。
それを阻止するために、上級妃の楊周妃が名乗りをあげた。
「金明は、私の御子と同年代なの。ときどき、遊んでいたりするのよ。ただ、朱の宮と白の宮は、かなり離れていて……それにお互い忙しくて、あまり会う機会がなかったのよね」
片方は妃、もう一方は次期上級妃となる者。そんな二人は同年代であっても、滅多に会うことができなかった。何よりも他の妃の元へ行くということ自体、この後宮では悪目立ちをしてしまう。
「そんなとき、私の御子に頼まれたわ。金明の後継人になってほしいって」
楊周妃からすれば、他の妃に手を貸すことになる。けれどこの楊周妃はそんなことはお構いなしに、幼い子を助ける道を選んだ。
そのことに誇りを持ちながら、つねに金明の幸せを願っている。
楊周妃は優しい母のような笑みで、金明を見つめた。
「……朱の宮での事件を聞いたわ。まだ、すべてが解決していないということも。でもね?」
金明を凝視する。
香 麗然は彼女の意図を汲み取り、金明を呼んだ。
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