香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く 

液体猫(299)

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白い妃

御子を預かります

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「私の御子を、預かっていただけないかしら?」

「……ん? んん?」

 思ってもみなかった答えが飛んできて、香 麗然コウ レイランはほうけてしまった。
 
 (私はてっきり、宣戦布告かと思ってたわ。だって御子がいるってことは、曹朱ツァオジュ……皇帝の御子ってことでしょ? ぽっと出の私にきさきの座を奪われないように。皇帝の妻を奪わないでという、宣戦布告とばかり思ってたのに)

 楊周ヤンヂョウ妃の意図が読めない。
 香 麗然コウ レイランは不安な気持ちを押し殺し、目の前にいる楊周ヤンヂョウ妃と視線を合わせた。

「えっと、どういうことでしょう? 御子を預かるということは……敵である私に、人質ひとじちを与えるようはものでは?」

 そう。彼女の言うことは、もっもとだった。敵に塩を送るという言葉のように、弱味すら助け舟として渡してしまう。そんな、危ない橋を渡るようなことをしているのだ。
 これには香 麗然コウ レイランも意を唱えるしかなく、しどろもとろしてしまう。

 すると楊周ヤンヂョウ妃はさしばで口を隠し、ふふっと微笑した。

「……何か、大きな誤解があるようね? 私はあなたを敵とは思っていないわ。むしろ、応援しているのよ?」

「え? お、うえん?」

 はてと、小首をかしげる。

 (応援って、何を? あっ、私が妃を続けているかどうかってことかしら? でもそれだと、応援は関係ないような……はっ!)

 一周回った思考回路で立ち上がった。拳を握り、金明ジンミンの横に並ぶ。

「ご心配には及びません。私は金明ジンミンを妹のように思っています! だから、応援してもらわずとも、仲良くやっています!」

 ふんすっと、鼻息荒くした。

 突然話をふられた金明ジンミンは困ったふうに苦笑いする。そうではないと呟きを入れるけれど、香 麗然コウ レイランには届かない。

 すると……

「ぷっ……あっはっはっ。本当に、面白い子ね? 曹朱ツァオジュが言っていたとおり、かなり抜けているようだし」

 妃ということを忘れ、楊周ヤンヂョウ妃はお腹を抱えて笑っていた。

「ご、ごめんなさいね。想像以上に、天然な子だと思ってしまって」 

 涙目になりながら咳払いをする。
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