至高の騎士、動きます〜転生者がこの世界をゲームと勘違いして荒らしてるので、最強騎士が分からせる〜

nagamiyuuichi

文字の大きさ
2 / 64

遺跡の調査

しおりを挟む
 昔、私が小さかったころに、おばあちゃんが話してくれたおとぎ話がある……。


「昔々……世界に闇の魔王が突如現れ、世界を闇で覆い恐怖に包み込んでいった。すべての人間と王様は、魔王に立ち向かうべく戦いを挑んだが、いかなる武器、いかなる策略をもってしても、魔王を打ち倒すことはかなわなかった。日に日に力を増していく魔王、そして増えていく魔物の群れに困り果てた王様は、この世界の外側にいる【勇者様】に助けを求めることにした。異世界に住まう勇者様はその声にこたえ、神により与えられた【御業】を用いて、魔王軍を打ち滅ぼし、魔王を千年の眠りにつかせることに成功した。じゃが今その千年は過ぎ去り、今や魔王はその力を取り戻した」


「そんな……私たち、どうなっちゃうの?」

「案ずることはないよ、サクヤ。王様はすでに盟友の契約によって、転生者様の召喚に成功をしたからね」

「転生者様が魔王をやっつけてくれるの?」

「あぁそうさ。異世界からの転生者様と共にこの世界はある。だから、サクヤは彼らを助けになるために頑張るんだよ」

「うん! 頑張る!」

 おとぎ話を聞いた次の年、おばあちゃんの言葉の通り転生者は魔王を倒した。


そしてその翌日に、


 祖母の話は嘘ではなかった……確かに魔王は倒された。
 だけど、その続きをおばあちゃんは語ってくれなかった……。

 今、魔王を超える脅威、余所者転生者は我が物顔でこの世界を侵食し続けている。
 
                     ◇1
~~現在~~

「遺跡の調査、ですか?」

 突然突き付けられた新しい任務内容を、何かの間違いではないかと思わず聞き返す。

「そう、この前の地揺れを覚えているだろう? あの地震で東の平野に巨大な地割れが起きたみたいでね。その中から遺跡が発見されたそうだ……君、そういうの得意だったろう?」

 しかし残念ながら、私の聞き間違いでも何かの間違いでもなかったようで、眼鏡のフレームをいじくりながら、貼り付けたようなとぼけた笑みを浮かべる私の上司、王国騎士団魔道研究局・局長アーリーはひょうひょうとそう語り、私は一度表情をしかめてみる。

「確かに遺跡調査は何度か請け負ったことはありますけど……何度も言いますが私は召喚術師ですからね、局長」

 遺跡の調査は考古学研究所の管轄だ……とやんわり局長に告げてみるが、帰ってくるのは角砂糖をなめているかのようなほんわかとした笑顔だけだった。
「ははは、まあそうだけど。遺跡と召喚術は切っても切れない関係にあるじゃないか、だったらサクヤ君の専門だろう? 国王直々の命令だ、張り切っていこうじゃないか」
カラカラと笑いながら局長は肩まで伸びた艶のある髪の毛を適当に結んだ後、デスクをバサバサと漁るとボロボロになった書類を私に手渡してくる。

「国王直々の命令の上に、局長は書類を重ねるんですね」

「こいつは手厳しいねサクヤ君。だけど、僕の仕事は一つ一つすべてが王に捧げるもの。ゆえに僕の仕事に貴賤はない、だから重なっても仕方がない」

 少しやせ気味の体にだらしないくたくたの白衣。

 整った顔立ちをしているのだが、いつも頬はこけてだらしなく無精ひげが伸びており、目の下には大きなクマができている。

 やめろと何度も言っているのに昨日もまた徹夜をしたことは明らかであり、私はなんとなく渡された書類のいきさつを悟る。

「はぁ……またそんなことを言って、要はその仕事もほかから押し付けられただけでしょう? それだけ舌は回るのに、局長頼まれたら断れないですものね」

「え、ま、まっさかー」
 
 私の言葉に局長はびくりと肩を震わせた後、冷や汗を浮かべながらわざとらしく紅茶をすする。ちなみにカップは数時間前から空っぽだ。 

 絵にかいたような図星に、私は大きくため息をついて局長から渡された書類を見る。

 そこに書かれていたのは地割れの隙間から除くキューブ型の建物のスケッチだ。

「形状からして、私たちの世界のものじゃありません。れっきとした異世界のものですね」

「それは分かるよ、だからこそ早急な実地調査をお願いしたい。転生者の脅威はもはや国を揺るがすほどだ、この前は町が一つ消えた。情報は彼らに対抗する武器になる」

「そういうなら、王国騎士団長レベルの人間を向かわせるべきでしょう……魔物ぐらいは倒せても、転生者には歯が立ちませんよ私」

「地揺れの対策に騎士団長は追われているからね、今は離れるわけにはいかないのさ」

「だからと言って、私だけで調査するのはどうかと思うのですが」

 騎士団員のため、必要に迫られれば盾を持ち剣をふるう……だが、それでも私はあくまで騎士団付きの研究員なのだ。

「なに、心配をすることはない。この地域は国の内側だからね、転生者もいないし魔物も危険度が低いものしかいないさ……」

「話題に上がるような危険度の転生者は……ですよね。盗賊やワイルドハントになった転生者が潜んでいないわけではありません」

「そんな心配しなくても大丈夫だよ。騎士団長とまではいかないけど、流石に君一人を向かわせるほど僕も楽観的じゃないさ。君みたいな優秀な人材を失うわけにはいかないからね、騎士団長に比べたら不満かもしれないが、冒険者ギルドの精鋭部隊を護衛につけるよ」

「ギルドの? よくまあ力を貸してくれましたね。いつもは喧嘩ばっかりしてるのに」

「まぁ、もとはといえば遺跡の調査は彼らからの申し出だからね……」

「なんだそういうことですか。古代文字を解読できるのは、私か局長ぐらいですからね」

 その言葉に私は納得する。

 いつもはいがみ合っているくせに、利益が絡んだ時の団結は早い騎士団とギルド。

 仲がいいんだか悪いんだか。

「反面遺跡やダンジョンの探索は、ギルドの専門だ。騎士団よりも頼りになると思うよ」

「転生者が出なければですよね」

「手厳しいねぇ。でもそれは騎士団長が付いていようが同じことだろ? この世界で転生者におびえずに済む場所なんて存在しない。だからこそできる限りの情報を手に入れるのさ。さて、お話はここまでだ。魔道研究局局長として命じる……遺跡の調査を頼むよ、サクヤ君」

 最後の手段、局長としての命令を発動し、局長は私に国王の刻印が刻まれた指令所を手渡してくる。

 断ることは許されず、私はやれやれとため息を漏らし。

「……本当に安全なんですよね」

「保証するよ、違ったら君の好きなものをなんでもプレゼントしよう」

 そう念押しした後、文書を受け取るのであった
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~

とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。 先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。 龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。 魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。 バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」  テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。  この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。  誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。  しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。  その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。  だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。 「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」 「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」  これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語 2月28日HOTランキング9位! 3月1日HOTランキング6位! 本当にありがとうございます!

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

転生者は冒険者となって教会と国に復讐する!

克全
ファンタジー
東洋医学従事者でアマチュア作家でもあった男が異世界に転生した。リアムと名付けられた赤子は、生まれて直ぐに極貧の両親に捨てられてしまう。捨てられたのはメタトロン教の孤児院だったが、この世界の教会孤児院は神官達が劣情のはけ口にしていた。神官達に襲われるのを嫌ったリアムは、3歳にして孤児院を脱走して大魔境に逃げ込んだ。前世の知識と創造力を駆使したリアムは、スライムを従魔とした。スライムを知識と創造力、魔力を総動員して最強魔獣に育てたリアムは、前世での唯一の後悔、子供を作ろうと10歳にして魔境を出て冒険者ギルドを訪ねた。 アルファポリスオンリー

処理中です...