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ナイト=サン
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「さてと、今更だがお前が俺のマスターでいいんだよな?」
「は、はえ? ま、マスター?」
いったい何が起こったのか理解が追い付かない。
それもそうだろう、遺跡からとつぜん転生者が召喚されて追いかけられて……奴隷にされかけたところを、謎の騎士がワンパンで私を助けてくれ、おまけにそいつが私のことをマスターと呼び始めた。
そろそろ私の理解の許容量が限界を迎えようとしている……。
「なんだ、はっきりとしない返事だな。お前が俺を召喚したのだろう?召喚士よ」
「召喚……あ、本当だ!?」
私はそう言われ、はっとしてローブをはだけさせ肩を見ると、確かにそこには召喚の契約を結んだ証の文様が、肩
にしっかりと浮き出ていた。
「なんだ、やっぱりマスターでいいんじゃないか……よもや召喚主をのしてしまったのではと冷やっとしたぞ」
あきれたような表情で騎士はそういい、肩をすくめるが。
召喚の儀式もした覚えもなければ、特別な契約を交わした記憶すらない。
「えと……あなたはいったい?」
「お前の願いに応じ形を成した最強にして至高の騎士(ナイト)だ、誇るがいいマスター、この俺が来たからにはもはやこの世界の栄光は約束された! ちなみに名前はない。好きに呼ぶといい」
「名前がないって、ナイトさん、それどういう……」
「呼称の設定を受け付けた、なるほど夜の太陽か、随分と詩的な名前を付けるじゃないか。
気に入った、俺は今日からナイト=サンだ! 変更はできないのであしからず!!」
どうしよう、話がかみ合わない。
局長も局長で話のかみ合わない人だったが、この人はそれに輪をかけて話を聞いてくれない。
「えと、そもそも召喚に応じって……あなたはどこから来たんですか? そもそも私、異世界からの召喚は専門外で……」
「ふむ、語れば長くなるが、それよりも……どこかに転生者の召喚陣があるんじゃないか?」
「え?なんで……」
それを知っているの? と聞こうとすると、ナイトさんは肩をすくめ。
「俺は生まれつき敏感肌でな、巨大な魔力の乱れを感じる」
「魔力の乱れって……もしかしてまだ、転生者が出てくるかもしれないってことですか!」
「まぁ、可能性はあるな、門を開けて閉じてない……放っておけばまだ神様とやらが転生者を送り込んでくるぞ」
「そんな!?」
私は絶望する……助かったと思ったのに、さらに転生者に遭遇するかもしれないという事実。
私は目の前が真っ暗になり、その場に崩れかけるが。
「何をうろたえているマスター……言ったはずだぞ、この至高の騎士の主になったからには、お前の栄光は約束されていると」
「どこからその自信が出てくるんですか……という疑問はこの際飲み込みますが」
「飲み込めてないぞマスター」
「シャラップです! とにかく今は藁でもなんにでもすがりたい気持ちです、あなたにはこの状況をどうにかできるんですかナイトさん!」
「愚問だなマスター……至高の騎士に不可能はない。お前はただこう命ずればいい、現状を打開しろ……とな。もちろんお前が私を騎士と認めてくれればの話だが」
「完全な脅しじゃないですか! あぁもう……わかりましたよ、背に腹は代えられません。 もうこの際、主だろうが女王陛下だろうがなんでもなってやりますよ! 我が騎士ナイト=サンよ! 現状を打開して!」
「ふふっふはーっははは! しかと請け負った! さあ行くぞマスター!」
「えっ!? ちょっ、私も行くんですか!?」
「当然だろう! お前がいかに幸運に恵まれた召喚士であるかを見せてやる!」
高らかに、そして心底楽しそうにナイトさんは笑うと、大楯を背中に担ぐと私を肩に乗せるように抱き上げ、壁へと走る。
「ちょっ!そっち壁!」
「知っているさ、だが近道だ!」
私の悲鳴も聞かず、迷宮の壁に向かいナイトさんは剣を抜くでもなく、拳を振り上げると。
そのまま振り抜き、壁を破壊する。
「えええぇ!?」
アッガスさんの大剣の一撃でも破壊できなかった迷宮の壁が、その騎士の拳により音を立てて崩れ落ちる。
「行くぞマスター!」
「む、無茶苦茶だこの人おおぉ!」
壁を破壊する音に紛れて、私の悲鳴は迷宮内に木霊するのであった。
◆
「とぅわ!」
通算二十五回目の壁やぶりをナイトさんは披露すると同時に、私の顔にむせ返るほどの血の匂いと、あふれ出る魔力が浴びせられ、私は顔をゆがませる。
「うっ」
「ふむ、なるほど随分とまた大掛かりな召喚陣だ……新たな転生者が来なかったのは奇跡だな。ちょうど過疎期につながったか?」
赤く照らされ光に包まれた空間。
転生者が召喚された召喚の間が、こにはそのまま残されており、陣のすぐ近くには二人の両断された冒険者と、少し離れた場所に。
「アッガスさん」
大剣を持ったまま倒れるアッガスさんの姿があった。
「知り合いか?」
「転生者に、殺されてしまったんです……アッガスさんたちは、私を守るために」
私はあの時の状況を思い出しうつむく。
何かできることはなかったのか……後悔だけが私の中で渦巻いていく。
短かったがとてもよくしてくれた……あの笑顔が私の胸を締め付け……。
「なるほどな、では蘇生をしよう」
「へ?」
ナイトさんのそんな問いかけに、私は素っ頓狂な声をあげてしまう。
「仲間なのだろう? ここに打ち捨てていくのはお勧めしないな……嫌いなやつで助けたくないなら無理にとは言わないが」
「た、助けられるんですか?」
「もちろんだ。しかしここまできれいに両断されているとなると……歩くのにひと月ぐらいはかかるだろうが……そこは攻めるな、彼らはレベルが低すぎる」
「レベル? いや、た、助けられるなら何でもいいです! お願いします助けてください!」
嘘かもしれない……もしかしたら彼の妄言かもしれない。
だけど、私はすがるようにナイトさんにそう懇願をすると。
「了解だマスター、だが蘇生は落ち着いてからでもできる。先に済ませなければならないこともあるしな」
「陣の破壊……ですか?」
「それもあるが……まずはお前の命を守らねば」
「えっ?」
瞬間、ナイトさんは大楯を構え、背後から走った槍の一撃を受け止める。
「は、はえ? ま、マスター?」
いったい何が起こったのか理解が追い付かない。
それもそうだろう、遺跡からとつぜん転生者が召喚されて追いかけられて……奴隷にされかけたところを、謎の騎士がワンパンで私を助けてくれ、おまけにそいつが私のことをマスターと呼び始めた。
そろそろ私の理解の許容量が限界を迎えようとしている……。
「なんだ、はっきりとしない返事だな。お前が俺を召喚したのだろう?召喚士よ」
「召喚……あ、本当だ!?」
私はそう言われ、はっとしてローブをはだけさせ肩を見ると、確かにそこには召喚の契約を結んだ証の文様が、肩
にしっかりと浮き出ていた。
「なんだ、やっぱりマスターでいいんじゃないか……よもや召喚主をのしてしまったのではと冷やっとしたぞ」
あきれたような表情で騎士はそういい、肩をすくめるが。
召喚の儀式もした覚えもなければ、特別な契約を交わした記憶すらない。
「えと……あなたはいったい?」
「お前の願いに応じ形を成した最強にして至高の騎士(ナイト)だ、誇るがいいマスター、この俺が来たからにはもはやこの世界の栄光は約束された! ちなみに名前はない。好きに呼ぶといい」
「名前がないって、ナイトさん、それどういう……」
「呼称の設定を受け付けた、なるほど夜の太陽か、随分と詩的な名前を付けるじゃないか。
気に入った、俺は今日からナイト=サンだ! 変更はできないのであしからず!!」
どうしよう、話がかみ合わない。
局長も局長で話のかみ合わない人だったが、この人はそれに輪をかけて話を聞いてくれない。
「えと、そもそも召喚に応じって……あなたはどこから来たんですか? そもそも私、異世界からの召喚は専門外で……」
「ふむ、語れば長くなるが、それよりも……どこかに転生者の召喚陣があるんじゃないか?」
「え?なんで……」
それを知っているの? と聞こうとすると、ナイトさんは肩をすくめ。
「俺は生まれつき敏感肌でな、巨大な魔力の乱れを感じる」
「魔力の乱れって……もしかしてまだ、転生者が出てくるかもしれないってことですか!」
「まぁ、可能性はあるな、門を開けて閉じてない……放っておけばまだ神様とやらが転生者を送り込んでくるぞ」
「そんな!?」
私は絶望する……助かったと思ったのに、さらに転生者に遭遇するかもしれないという事実。
私は目の前が真っ暗になり、その場に崩れかけるが。
「何をうろたえているマスター……言ったはずだぞ、この至高の騎士の主になったからには、お前の栄光は約束されていると」
「どこからその自信が出てくるんですか……という疑問はこの際飲み込みますが」
「飲み込めてないぞマスター」
「シャラップです! とにかく今は藁でもなんにでもすがりたい気持ちです、あなたにはこの状況をどうにかできるんですかナイトさん!」
「愚問だなマスター……至高の騎士に不可能はない。お前はただこう命ずればいい、現状を打開しろ……とな。もちろんお前が私を騎士と認めてくれればの話だが」
「完全な脅しじゃないですか! あぁもう……わかりましたよ、背に腹は代えられません。 もうこの際、主だろうが女王陛下だろうがなんでもなってやりますよ! 我が騎士ナイト=サンよ! 現状を打開して!」
「ふふっふはーっははは! しかと請け負った! さあ行くぞマスター!」
「えっ!? ちょっ、私も行くんですか!?」
「当然だろう! お前がいかに幸運に恵まれた召喚士であるかを見せてやる!」
高らかに、そして心底楽しそうにナイトさんは笑うと、大楯を背中に担ぐと私を肩に乗せるように抱き上げ、壁へと走る。
「ちょっ!そっち壁!」
「知っているさ、だが近道だ!」
私の悲鳴も聞かず、迷宮の壁に向かいナイトさんは剣を抜くでもなく、拳を振り上げると。
そのまま振り抜き、壁を破壊する。
「えええぇ!?」
アッガスさんの大剣の一撃でも破壊できなかった迷宮の壁が、その騎士の拳により音を立てて崩れ落ちる。
「行くぞマスター!」
「む、無茶苦茶だこの人おおぉ!」
壁を破壊する音に紛れて、私の悲鳴は迷宮内に木霊するのであった。
◆
「とぅわ!」
通算二十五回目の壁やぶりをナイトさんは披露すると同時に、私の顔にむせ返るほどの血の匂いと、あふれ出る魔力が浴びせられ、私は顔をゆがませる。
「うっ」
「ふむ、なるほど随分とまた大掛かりな召喚陣だ……新たな転生者が来なかったのは奇跡だな。ちょうど過疎期につながったか?」
赤く照らされ光に包まれた空間。
転生者が召喚された召喚の間が、こにはそのまま残されており、陣のすぐ近くには二人の両断された冒険者と、少し離れた場所に。
「アッガスさん」
大剣を持ったまま倒れるアッガスさんの姿があった。
「知り合いか?」
「転生者に、殺されてしまったんです……アッガスさんたちは、私を守るために」
私はあの時の状況を思い出しうつむく。
何かできることはなかったのか……後悔だけが私の中で渦巻いていく。
短かったがとてもよくしてくれた……あの笑顔が私の胸を締め付け……。
「なるほどな、では蘇生をしよう」
「へ?」
ナイトさんのそんな問いかけに、私は素っ頓狂な声をあげてしまう。
「仲間なのだろう? ここに打ち捨てていくのはお勧めしないな……嫌いなやつで助けたくないなら無理にとは言わないが」
「た、助けられるんですか?」
「もちろんだ。しかしここまできれいに両断されているとなると……歩くのにひと月ぐらいはかかるだろうが……そこは攻めるな、彼らはレベルが低すぎる」
「レベル? いや、た、助けられるなら何でもいいです! お願いします助けてください!」
嘘かもしれない……もしかしたら彼の妄言かもしれない。
だけど、私はすがるようにナイトさんにそう懇願をすると。
「了解だマスター、だが蘇生は落ち着いてからでもできる。先に済ませなければならないこともあるしな」
「陣の破壊……ですか?」
「それもあるが……まずはお前の命を守らねば」
「えっ?」
瞬間、ナイトさんは大楯を構え、背後から走った槍の一撃を受け止める。
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