至高の騎士、動きます〜転生者がこの世界をゲームと勘違いして荒らしてるので、最強騎士が分からせる〜

nagamiyuuichi

文字の大きさ
24 / 64

隠された村

しおりを挟む
十数分後。

【本当すんまっせんでした。調子乗ってました。お願いですから、その……もうぶたないで】

 全身という全身を殴り続けられ宙を舞うこと十数分。 

 最高硬度を誇る鱗と体のおかげで外傷はないドラゴンさんであったが、ぼこぼこにされ続けた痛みで戦意喪失したのか、器用に前足を折り畳み頭を垂れて土下座のようなポーズをとる。

 芸達者なことだ。

「分かれば良い、とりあえず満月草をもらってもいいか?」

【どーぞどーぞ!!もう何なら背中の全部持って行って構いませんので!】

「いや、三つでいい。そんなに量は必要ないからな」

「そういうところは謙虚ですよね、ナイトさん」

「強欲はナイトにふさわしくはない」

【流石ですナイト様】

「半面巨竜くん、君にはプライドはないのかい?」

【命大事に、鉄則です】

「先代勇者の時も、そうやって見逃してもらったんだね……」

 局長はあきれたようなセリフを漏らすとコーヒーをすする。

「この森は相当量の草花があるが、ふむ、この辺りはお前を含め大半が外の世界のものだな」

【ええ、その通りでございます。千年より前から私はこの森を作り、生活しておりました。もともとあった森は消
えてしまいましたが】

「お前が管理しているのか?」

【いえ、私はこの場にとどまるように言われておりました】

「誰に?」

【先代勇者でございます】

「先代勇者が? どうして君にここにとどまるように言ったんだ?」

【恥ずかしながらその理由までは分かりませんが、退治されたのちこの森より外には出られないという誓いを立て
させられまして……気が付けば背中に草が生える始末】

「ふむ。満月草の栽培に使われたか、となるとこの草を取りに来ていたものがいたはずだが」

【ええ、エルフ族の言うことを聞くようにと言われてずっとここに】

「人間は嫌いだったんじゃなかったのかい?」

【エルフ族は別です。彼らはとてもおいしい石をくれるので】

「餌付けされてる……」

「で、そのエルフ族はどこに?」

【わかりません。モノを食べなくても死にはしないんですけどね。おなかがすいてしまって、気が立っていたんです】

「それはいつごろから?」

【だいたい一か月前くらいですかね】

「案外最近だな」。

「様子は、見にいっていないんですか?」

【近寄れないんですよ、あのあたりは嫌なにおいがして……ほかの魔物も動物も同じです】

「強力な魔よけの結界か何かかなぁ? エルフ族は魔法にたけているっていうし」

【むっ! 外の世界の魔法ならいざ知らず、私の鱗はたいていの魔法は弾きます。エルフ族の魔法ごときにやられたりはしませんよ!】

「なるほどな……近くまでは案内できるか?」

【近くまでなら問題ないですよ。道が入り組んでますので私の背中に乗ってください】

「では頼む」

「ちょっとちょっと! ナイトくん? 目的は達成したんだから、早く戻ったほうが」

「エルフの森が気になった。少なくともこの森は先代勇者、転生者が残したものだ。何かあるかもしれない」

「……!?」

その言葉に、私も局長もうなずくことしかできなかった。

                   ■
 竜の背に乗り、しばらく森を進む。

 森は身を震わせ竜を歓迎し、自分たちから道を開ける。

 まるで、懐かしい友人の来訪を喜ぶかのように軽快に葉は騒めきたち、心地よい風が私たちの頬をなでる。

「随分とこの森とも長いみたいですね、ドラゴンさん」

【おや、お嬢さんはもしかして召喚師ですかい? 森の声が聞こえると見た】

「ええまぁ、詳しい声までは聞こえないんですけれども、なんとなくドラゴンさんが通ると、森たちが嬉しそうです」

【まぁ、この世界に来てからろくなことはなかったですけどねぇ、この森が私の家族みたいなもんですよ……】
懐かしそうにそう言い、ドラゴンさんは首を伸ばして近くにあった気になる木の実を口で食む。

「主食は岩じゃなかったのか?」

「雑食ですから。岩が好きってだけです」

「よくわからない食生活をしていますね。どういう構造してるんですか?」

【さぁ、もともとそういう生き物なので】

 ドラゴンさんはそういうと、さらに先へと進んでいく。

 森は穏やかそのものであり、魔物一匹獣一匹ドラゴンさんの前に現れることなく、やがて

 独特な柑橘系のような匂いが森の奥からかすかに香る。

「あ、いい匂い」

【これ、これっす! この匂いっす……う、まだ少量だからぎりぎり大丈夫ですけど、は、鼻が曲がりそう。ナイ
ト様……マスターサクヤさま……こ、ここが限界です……】
同時にドラゴンさんは体中から滝のような汗を流しその場に倒れこむ。

「花の香り……どうやらこの匂いには魔物はこの匂いが苦手らしいな」

「は、鼻が焼けただれそうっす」。

「これ以上は無理そうだ。……マスター、ここからは徒歩で行こう」

「そうだね、エルフの村はまだ先かい?」。

【こ、ここからそう遠くないはずっす……申しわけないですが、私はもう少し離れたところで……休んでますね】

「ええ、ありがとうドラゴンさん」

 ずしりと、踵を返し来た道を戻っていくドラゴンさん。

「行こうか、マスター」
                     ◇
 
 匂いをたどると、目的地に到着するまではそんなに時間はかからなかった。

「なるほど、これが魔物が近づけない理由か」

 森を抜けた先にあったのは一面の花畑。

 光も差さないほど暗くなった森を照らすように、煌々と光り輝くその花は、独特な香りを発しながら、私たちが近
づくとざわりと一度身を震わす。

「ふむ……魔物にとっては毒性が強い香りを出す花のようだ。なるほど、あのドラゴンでさえも嫌がるわけだ」

「これは、イリーラスの花だね。別名勇者の加護と呼ばれる花さ」

「イリ―ラスの花?」

「君が知らないということは、どうやらこの世界の花みたいだね。この花は人間に対しては毒性はないんだけど、魔物に対しては毒になる花なんだ。大気中に飛び交う花粉が、魔物に対しては有毒らしく、茎の部分にはさらに強い毒を保有している。綺麗な水に肥沃な土壌がないと育たない花なんだけど……こんなに咲いているのは初めて見るよ。 あのドラゴンが嫌がるわけだ」

「ふむ、魔物除けにはもってこいといったところか。となるとこの花畑の向こう側がエルフの村のようだ……ご丁寧に花を踏まないように道が作られている」

 踏んでしまわないように、ナイトさんと私は花畑を歩いていくとイリ―ラスの花は姿を消し、その代わりに茨が生い茂る場所が現れ、行く手を阻む。

 来るものを拒む壁……触れればその身を傷つける拒絶の塊。 

 だけど、その壁には違和感がある。

 目の前に生い茂る茨は確かに生きている壁であるはずなのに……生命の息吹を感じられないのだ。

 回りにあふれる声明の息吹に囲まれていて誤魔化されそうになるが……ここまで近づくとその異常性がわかる。

「魔力を感じるね……その壁はまやかしだ」

「のようだな」

剣を抜きナイトさんは一閃を振るう。

「……これは……」

 幻影のいばらの向こうに崩壊した村が現れた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~

とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。 先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。 龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。 魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。 バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」  テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。  この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。  誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。  しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。  その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。  だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。 「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」 「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」  これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語 2月28日HOTランキング9位! 3月1日HOTランキング6位! 本当にありがとうございます!

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

転生者は冒険者となって教会と国に復讐する!

克全
ファンタジー
東洋医学従事者でアマチュア作家でもあった男が異世界に転生した。リアムと名付けられた赤子は、生まれて直ぐに極貧の両親に捨てられてしまう。捨てられたのはメタトロン教の孤児院だったが、この世界の教会孤児院は神官達が劣情のはけ口にしていた。神官達に襲われるのを嫌ったリアムは、3歳にして孤児院を脱走して大魔境に逃げ込んだ。前世の知識と創造力を駆使したリアムは、スライムを従魔とした。スライムを知識と創造力、魔力を総動員して最強魔獣に育てたリアムは、前世での唯一の後悔、子供を作ろうと10歳にして魔境を出て冒険者ギルドを訪ねた。 アルファポリスオンリー

処理中です...