復讐の恋〜前世での恨みを今世で晴らします

じじ

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6 戸惑い

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一度思い出すと忘れていた今までが不思議なほどだ。

程なくして、ヴァンは私の部屋に慌てた様子で駆け込んできた。

「アレネ!大丈夫だったか?」

その言葉に急に現実に引き戻される。

「え、ええ。あなたのおかげで…」
「よかった…本当によかった」

ベッドの上で起き上がっていた私を優しく抱きしめながら、呟くその言葉に私は胸が締め付けられそうになる。
でも先ほどの言葉の真意を聞かないわけにはいかない。ヴァンこそが私の前世の仇かもしれないのだから。どうか勘違いであって欲しい。
知りたい気持ちと、知りたくない気持ちと半々で私は恐る恐る尋ねた。

「あのね、ヴァン。」
「なに?」
「あなたがほのかって呟いていたのだけれど…ほのかって?」

問われたヴァンの表情を私は一生忘れることができないだろう。
驚愕、狼狽、侮蔑、嫌悪そして憧憬。そんな感情をごちゃ混ぜにしたような顔を一瞬した後、意志の力で何事もなかったように平然として微笑んで見せた。

「ほのか、か。俺の夢に時々出てくる女性なんだ」

一転してなんでもないことのように話し出したヴァンに驚く。てっきり知らないとシラを切り通すかと思ったのに。

「そう。どんな女性なの?」

私が震える声を必死で隠して尋ねると彼は不思議そうに私を見つめた。

「アレネ?どうした?俺の夢の女性なんかどうでもいいだろう?」
「あら、あなたを夢の中だけでも惑わすなんて許せないじゃない」

私が冗談めかして答えると彼は苦い顔をしながら答えた。

「冗談でもやめてくれ。」
「え」

吐き捨てるような冷たい声で言われ、どきっとする。彼のこんな言い方は聞いたことがない。

「惑わされるなんて冗談じゃない。夢の女性のほのかは、トロくてオドオドしてて貧乏臭くて…アレネとまるで正反対なんだ。幼い頃から何度も繰り返し見るこの夢にはうんざりしてるんだ。だから君が勘違いするようなことじゃない」

言い過ぎたと思ったのか最後は私に気遣うような視線を向けながら告げてきたヴァンに吐き気を覚える。
さっきまでは抱きしめられて嬉しかったのに。
そう、彼は結局はのところ今世でも全く変わってないのだ。
それとも夢だと信じてるから罪悪感を覚えないとでも言うの?
冗談ではない。あなたがトロくてオドオドして貧乏臭いと言って馬鹿にした女性は、前世の私だ。
今世のあなたに恨みはない。でも、私の心が…ほのかから受け継いだこの心が許せないと言っているのだ。

ヴァンは幸樹だ。なんて巡り合わせなのだろう。
愛しいあなた。残念だけれど、もう愛せない。

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