【完結】悪女のなみだ

じじ

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本編【第二章】

2-20

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フォーゼム様が簡潔に告げると、父はふっと疲れたような笑みを浮かべた。

「カレンとシュナイダー殿の婚約が駄目になりそうだから責任を感じているのか。だが、カリーナは人を愛せないみたいだぞ。」

その言葉を聞いて、フォーゼム様はちらりと私を見た。

「そうなのですか?カリーナ嬢」

声に揶揄うような響きが含まれているのを聞いて、私は困ったように答えた。

「人と言うより家族でしょうか。父には父様も母様もカレンも愛せないし、どうでもいいと伝えましたので」

その答えを聞いてフォーゼム様は、笑い出した。

「それは当たり前ですね」
「ええ、私もそう思うのですが…父が腑に落ちないようでして…」
「まさか、今更少し改心したからと言って、自分たちが親として愛してもらえるとでも思っておられたのでしょうか」
「でも、私は父様にも母様にもなんの感情もありません。愛情を望んだ時期など遠い昔の話です。」

私が説明するのを頷きながら聞いていたフォーゼム様は、最後に真面目な声音で尋ねた。

「それで、私のことは愛せそうですか?」

不意の質問に思わず頬が染まるのが自分でも分かる。

「もちろんです。と言うか…」

すごく勇気がいるが言わないわけにはいかない。心を決める。

「もうすでに、愛しています」
「私もです」

そして、フォーゼム様は父に向き直って告げた。

「だそうなので、私達は大丈夫です。形式上聞いておきますが、結婚を認めていただけますか」
「…好きにしろ」

吐き捨てるように父は答えた。

「ついでに式まで私の家に彼女が滞在することもお認めいただけますか。」
「ああ」
「行きましょうか。ああ、ご両親にお伝えしたいことがあればお待ちしますよ」

フォーゼム様の突然の申し出に驚きつつもこの家を出れることを嬉しく感じる。弾んだ声で別れを告げる。


「父様、母様。」

私が呼びかけると、絶望感を瞳に滲ませた父と、涙で濡れた母がこちらを見た。

「育てて頂いてありがとうございました。決して幸せだったとは言えない日々でしたが…これでようやく私も自由に生きられるようです。」
「カリーナ…」
「父様、そんな顔なさらないでください。辛いことを思い出させる私が側からいなくなるのですから、もう少しお喜びになって。母様も、これでやっと目障りな私がいなくなり、カレンだけを見て生きていけるでしょう?…私の結婚が最大の親孝行であることを願います。」

そして私はフォーゼム様に向き直った。

「ありがとうございます。急で申し訳ありませんが、本日からよろしくお願いいたします」
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