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本編【第二章】
2-50 フォーゼム視点
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パーティ会場に戻ると、シュナイダーはすぐに見つかった。
品定めをするような下卑た視線を女性達に向けながら、友人と何かを話している。
カリーナの…人の命を奪うことを頼んでいる人間が、あれほどいつも通りに振る舞えることものなのだろうか。もしそうならおぞましい以外の何物でもない。
「シュナイダー、今いいか」
いつも通りの調子で声をかける。疑っていることを勘づかれて逃げられる訳にはいかない。
案の定シュナイダーは邪魔くさそうに、そして小馬鹿にしたように返事をしてきた。
「兄上がこのような場面で私に声をかけられるとは珍しい。カリーナ殿はどうされたのです?」
暗い笑みとともに向けられたその言葉に、辛うじて冷静に答える。
「カリーナなら先ほど馬車でエルシラとともに屋敷に帰ったよ。門から出るところまで見送った」
ぎょっとした顔でこちらを見るシュナイダーの様子に確信する。やはりこいつが依頼主だ。
「まさか…」
「まさか、とは?」
「いや…」
「シュナイダー。カレン殿がお前を呼んでいる」
「カレンが?」
「ああ」
その瞬間シュナイダーの瞳に警戒の色が走る。
「なぜ?兄上とカレンは言伝を預かるような仲ではないのでは?」
「ああ。だが、先ほどたまたま出会った時に頼まれてな。お前を呼んでくれば二度と私達に付き纏わない、と言われたからこうして呼びにきた訳だ」
私の言い訳に馬鹿にしたような笑いを浮かべる。
「はっ。カレンも大概だが、兄上も同じくらい良い性格してるな」
「案内する」
シュナイダーの言葉を無視して、会場から連れ出しカレン殿が眠る部屋へと誘う。
「ここで待っていると言っていた」
邪魔くさそうに息を吐きながら、部屋の中に入ったシュナイダーは訝しげに周りを見渡し私に尋ねた。
「カレンはどこだ?」
私はゆっくりと答えた。
「そちらのベッドの上だ。」
顔をしかめてベッドに近寄ったシュナイダーは、カレン殿に向かって声をかける。
「おい、カレン。婚約破棄、今更になって惜しくなったか?泣いて請えば考え直さなくもないぞ」
シュナイダーのその様子は醜悪で、私は思わず目を逸らしたくなるのを辛うじて堪える。
「おい、カレン」
カレン殿をゆすろうとしたところで私はシュナイダーに話しかけた。
「シュナイダー、カレン殿は亡くなられている」
「はっ?」
「眠っているように見えるが…刺されて殺された」
「まさか、カレンのはずがない…」
呟くようなひとりごとは私の耳にしっかり届いた。
品定めをするような下卑た視線を女性達に向けながら、友人と何かを話している。
カリーナの…人の命を奪うことを頼んでいる人間が、あれほどいつも通りに振る舞えることものなのだろうか。もしそうならおぞましい以外の何物でもない。
「シュナイダー、今いいか」
いつも通りの調子で声をかける。疑っていることを勘づかれて逃げられる訳にはいかない。
案の定シュナイダーは邪魔くさそうに、そして小馬鹿にしたように返事をしてきた。
「兄上がこのような場面で私に声をかけられるとは珍しい。カリーナ殿はどうされたのです?」
暗い笑みとともに向けられたその言葉に、辛うじて冷静に答える。
「カリーナなら先ほど馬車でエルシラとともに屋敷に帰ったよ。門から出るところまで見送った」
ぎょっとした顔でこちらを見るシュナイダーの様子に確信する。やはりこいつが依頼主だ。
「まさか…」
「まさか、とは?」
「いや…」
「シュナイダー。カレン殿がお前を呼んでいる」
「カレンが?」
「ああ」
その瞬間シュナイダーの瞳に警戒の色が走る。
「なぜ?兄上とカレンは言伝を預かるような仲ではないのでは?」
「ああ。だが、先ほどたまたま出会った時に頼まれてな。お前を呼んでくれば二度と私達に付き纏わない、と言われたからこうして呼びにきた訳だ」
私の言い訳に馬鹿にしたような笑いを浮かべる。
「はっ。カレンも大概だが、兄上も同じくらい良い性格してるな」
「案内する」
シュナイダーの言葉を無視して、会場から連れ出しカレン殿が眠る部屋へと誘う。
「ここで待っていると言っていた」
邪魔くさそうに息を吐きながら、部屋の中に入ったシュナイダーは訝しげに周りを見渡し私に尋ねた。
「カレンはどこだ?」
私はゆっくりと答えた。
「そちらのベッドの上だ。」
顔をしかめてベッドに近寄ったシュナイダーは、カレン殿に向かって声をかける。
「おい、カレン。婚約破棄、今更になって惜しくなったか?泣いて請えば考え直さなくもないぞ」
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「おい、カレン」
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「シュナイダー、カレン殿は亡くなられている」
「はっ?」
「眠っているように見えるが…刺されて殺された」
「まさか、カレンのはずがない…」
呟くようなひとりごとは私の耳にしっかり届いた。
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