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本編【第二章】
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「そんな」
「あなたに行かせるわけにはいかない。あなたのご両親には私が行くことで余計に傷つけてしまうかもしれないが…それでも、あなたが傷つくと分かっている場所に行かせることはできない。」
「ですが…」
「カリーナ殿を亡くされた悲しみも、それを責めるべき言葉も私に向けられるべきだ」
「父も母もカレンを溺愛しておりました。その彼女が私を守って死んだなどとお伝えになられたら、どんな言葉をあなたに浴びせるのか…想像もつきません。フォーゼム様には何の落ち度もございませんのに」
「それをあなたが聞かされるくらいなら私に言われる方が良い、そう言っているんだ。頼む、カリーナ。私を愛してくれているなら、私に行かせてくれ。それが命を賭してあなたを守ったカレン殿へのせめてもの贖罪だ。」
どうしよう。どれほど罵倒されようと私ならば聞き慣れている。でも、フォーゼム様は?
それに両親の私に対する怨嗟をフォーゼム様に肩代わりさせるの?
私が逡巡していると、フォーゼム様は優しく微笑んで告げた。
「あなたは私のことを心配してくれているのだろうが…私はバレールの人間として果たすべき責がある。」
そう言われては折れるしかなかった。
「申し訳ございません。私が両親から憎まれているばかりに…あなたに嫌な役目を負わせてしまうのですね」
「愚弟の行動は私が咎めを受けるべきことだ。」
「…」
「すまないが、今から向かう。夜分の訪問など非常識極まりないが…一刻も早く告げるべきことだからな。」
「ええ。どうかよろしくお願いいたします」
「ああ。あなたにも本当に申し訳ない。では、行ってくる」
「お気をつけて」
眠って待っておくように、とフォーゼム様は言い残して出て行った。
眠るなど到底できないと思っていたのに、疲れ切っていた身体は素直で、フォーゼム様が去った後の部屋に一人で取り残されると途端に眠気が襲ってきた。
「カリーナ、朝からすまない」
よほど深く寝入ってしまったようで、翌朝フォーゼム様に起こされた時には、すでに日もだいぶ高くなっていた。フォーゼム様の顔には疲労が色濃く表れている。一睡もしていないことが容易に想像できるその様子に居た堪れなくなり、私は下を向いた。
「私ってば…申し訳ございません。フォーゼム様が私の代わりに行ってくださったにも関わらず…」
「いや、構わない。それより本当はベッドで寝て欲しかったが。身体は辛くないか?」
テーブルに突っ伏して寝ていてた私の心配をするフォーゼム様はいつも通りの優しい瞳で私を見つめた。
私は意を決して尋ねた。
「あの、両親はなんと?」
その言葉を聞いた途端フォーゼム様の周りの空気が冷えた。
「あなたに行かせるわけにはいかない。あなたのご両親には私が行くことで余計に傷つけてしまうかもしれないが…それでも、あなたが傷つくと分かっている場所に行かせることはできない。」
「ですが…」
「カリーナ殿を亡くされた悲しみも、それを責めるべき言葉も私に向けられるべきだ」
「父も母もカレンを溺愛しておりました。その彼女が私を守って死んだなどとお伝えになられたら、どんな言葉をあなたに浴びせるのか…想像もつきません。フォーゼム様には何の落ち度もございませんのに」
「それをあなたが聞かされるくらいなら私に言われる方が良い、そう言っているんだ。頼む、カリーナ。私を愛してくれているなら、私に行かせてくれ。それが命を賭してあなたを守ったカレン殿へのせめてもの贖罪だ。」
どうしよう。どれほど罵倒されようと私ならば聞き慣れている。でも、フォーゼム様は?
それに両親の私に対する怨嗟をフォーゼム様に肩代わりさせるの?
私が逡巡していると、フォーゼム様は優しく微笑んで告げた。
「あなたは私のことを心配してくれているのだろうが…私はバレールの人間として果たすべき責がある。」
そう言われては折れるしかなかった。
「申し訳ございません。私が両親から憎まれているばかりに…あなたに嫌な役目を負わせてしまうのですね」
「愚弟の行動は私が咎めを受けるべきことだ。」
「…」
「すまないが、今から向かう。夜分の訪問など非常識極まりないが…一刻も早く告げるべきことだからな。」
「ええ。どうかよろしくお願いいたします」
「ああ。あなたにも本当に申し訳ない。では、行ってくる」
「お気をつけて」
眠って待っておくように、とフォーゼム様は言い残して出て行った。
眠るなど到底できないと思っていたのに、疲れ切っていた身体は素直で、フォーゼム様が去った後の部屋に一人で取り残されると途端に眠気が襲ってきた。
「カリーナ、朝からすまない」
よほど深く寝入ってしまったようで、翌朝フォーゼム様に起こされた時には、すでに日もだいぶ高くなっていた。フォーゼム様の顔には疲労が色濃く表れている。一睡もしていないことが容易に想像できるその様子に居た堪れなくなり、私は下を向いた。
「私ってば…申し訳ございません。フォーゼム様が私の代わりに行ってくださったにも関わらず…」
「いや、構わない。それより本当はベッドで寝て欲しかったが。身体は辛くないか?」
テーブルに突っ伏して寝ていてた私の心配をするフォーゼム様はいつも通りの優しい瞳で私を見つめた。
私は意を決して尋ねた。
「あの、両親はなんと?」
その言葉を聞いた途端フォーゼム様の周りの空気が冷えた。
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