後宮にて、あなたを想う

じじ

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151 愚かな抗議

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その言葉を聞いた瞬間、両親の顔がすっと青ざめる。

「そ、それはつまり」
「ああ、蔡家当主夫妻の死罪を意味する」
「な、なぜでしょうか。私達は手中の珠である娘まであなたに差し出したというのに…褒美を与えられることはあっても罰せられる理由などないはずです!」

父親が叫ぶように尋ねると皇帝は昏い笑みを浮かべた。

「手中の珠か…本当にそうだったら良かったのにな」
「どのような意味でしょうか」
「こちらが聞きたいくらいだ。手中の珠とはよく言ったものだ…娘にかけらも興味を抱かなかったものが使う言葉ではない」
「怜が何か申し上げたのでしょうか」

旗色が悪いと気づいた父親が恐る恐ると言った様子で尋ねる。皇帝はその質問には答えず視線で父親に続きを言うように促す。父親は堰を切ったように話し出した。

「娘が陛下に何を申し上げたかは存じませんが、作り話でございます。私達は娘を慈しみながら育てました。おおよそ陛下の寵を得たいがために同情を買うような話をしたのでしょう」

父親の横に立つ母親がその言葉にかくかくと頷いている。ちらりと黄怜を見ると、顔からは完全に血の気が引いて青いを通り越して白くなっていた。感情を押し殺して無表情を保つ黄怜に皇帝はぎりっと奥歯を噛み締めた。
ふざけやがって、どれほど馬鹿にすれば気が済むのだ、そんな思いが支配する。

「残念ながら彼女が私の寵を得ようとしたことなどない」
「それでは娘の不遜な態度によって私たちが罰せられるというのでしょうか」

憎悪の籠った表情で両親から見つめられても黄怜は表情を変えなかった。しかし悲しみが透けるように見えて皇帝は心臓を鷲掴みにされるような心地になる。

「後宮での怜はあなた方が考えるよりはるかに素晴らしい働きをしてくれている。彼女の行いによってあなた方が不利益を受けることは何一つなかったと言っておく」
「それなら何が理由で…」

心当たりのなさそうな表情をする二人に皇帝ははっと小さく息を吐いた。

「怜を蔑ろにしたと言う理由だけでは納得がいかぬか」
「そのような事実はございません!先ほども申し上げたとおりでございます。娘が勝手に申しているだけです」
「それはない」
「なぜそのように言い切れるのですか。娘が嘘をついている可能性があるとはお考えにならないのですか」
「それはないな。彼女は自分をよく見せるために人を陥れることができる人間ではない。
それに死罪の理由は怜のことだけではない」
「えっ…」
「領地の運営、放棄していただろう」
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