12 / 95
第一章
その華は風にさらされて 4
しおりを挟む
いつの間にか、目の前のカウンターの向こう側のテーブルに、見慣れた一団がいたのだ。
つまり同じ大学の男子生徒のグループ。それだけでも血の気が引く思いだが、中心に輝き光るような存在を発見するのは次の瞬間。
瑞華にとっては、憎くさ羨ましさのあまり、そのシルエットだけでも間違い様のない人物。
九条風人!!!
九条風人が悠々、笑顔で座っていたのだ!
さっと俯き、一気にお酒が頭に巡るのを感じた。
色んなものが溢れて沸騰しそうになる。
え!?いつ?いつからいたの!?
考えてみたが思い当たる節はなく、勿論思い当たってもあんまり意味はない。
向こうに気付かれていないことを、ただひたすら祈るだけだ。
九条風人は、さぞやどうでもいいだろうが、こんな姿を見られた日には、敗北感しか感じないことは間違いない。
そんな生き地獄はまっぴらごめんだ。
すぐにも店を出たいが、一団の席は入口レジのすぐ近くだ。
その横で会計するなんて考えたくもなかった。
まさかこんな格好で気付かれるとは思わない、思わないが。
万が一があったらどうすればいいの!?
心底、近寄りたくない。
喉から胃が出そうな気持ちで、息を飲んだ。ついでにウーロン茶を飲み干した。
混乱はMAXになっている。
神経が研ぎ澄まされている瑞華には、ある程度遠いのに、一団がたわいのない話に花咲かせてる声が妙にリアルに聞こえてくる。
いや、実際そこにいるのだから、リアルなのは当たり前か。
はは、と自嘲して笑ってから、頭を抱えると一団の中の一人が急にとんでもないことを言い出した。
「うちの大学で一番可愛いのって、やっぱり花宮瑞華かな?」
急に自分の名前が聞こえてきて、瑞華は硬直した。
はいぃ…!?
大丈夫かこの人達。正気を疑うんだけど?
いや、実際はさっと顔が赤くなり、火を噴きそうなだけだけど。
普段は清楚系で通していて、素がこんなとは言え、恋愛事には無縁で生きてきた瑞華はこう言った酒の肴代わりの会話など本当に免疫がない。
合コンなんてものにも行ったことがない。
ましてや自分の男受けなんて考えたこともなかった。
立派な淑女に見えれば良いとは思っていたけれど、それが=どうなるなんて考えたこともない。
本当に勘弁してほしい、と小さく羞恥に震えてしまう。
別の学生が答えた。
「ちょっと敷居が高いからな。俺は一年に入ってきたテニスサークルの子がいいな」
よしよし、話がそがれた、と息をつくと
「まあ、瑞華は別格じゃね?」
と付け足される。
つまり同じ大学の男子生徒のグループ。それだけでも血の気が引く思いだが、中心に輝き光るような存在を発見するのは次の瞬間。
瑞華にとっては、憎くさ羨ましさのあまり、そのシルエットだけでも間違い様のない人物。
九条風人!!!
九条風人が悠々、笑顔で座っていたのだ!
さっと俯き、一気にお酒が頭に巡るのを感じた。
色んなものが溢れて沸騰しそうになる。
え!?いつ?いつからいたの!?
考えてみたが思い当たる節はなく、勿論思い当たってもあんまり意味はない。
向こうに気付かれていないことを、ただひたすら祈るだけだ。
九条風人は、さぞやどうでもいいだろうが、こんな姿を見られた日には、敗北感しか感じないことは間違いない。
そんな生き地獄はまっぴらごめんだ。
すぐにも店を出たいが、一団の席は入口レジのすぐ近くだ。
その横で会計するなんて考えたくもなかった。
まさかこんな格好で気付かれるとは思わない、思わないが。
万が一があったらどうすればいいの!?
心底、近寄りたくない。
喉から胃が出そうな気持ちで、息を飲んだ。ついでにウーロン茶を飲み干した。
混乱はMAXになっている。
神経が研ぎ澄まされている瑞華には、ある程度遠いのに、一団がたわいのない話に花咲かせてる声が妙にリアルに聞こえてくる。
いや、実際そこにいるのだから、リアルなのは当たり前か。
はは、と自嘲して笑ってから、頭を抱えると一団の中の一人が急にとんでもないことを言い出した。
「うちの大学で一番可愛いのって、やっぱり花宮瑞華かな?」
急に自分の名前が聞こえてきて、瑞華は硬直した。
はいぃ…!?
大丈夫かこの人達。正気を疑うんだけど?
いや、実際はさっと顔が赤くなり、火を噴きそうなだけだけど。
普段は清楚系で通していて、素がこんなとは言え、恋愛事には無縁で生きてきた瑞華はこう言った酒の肴代わりの会話など本当に免疫がない。
合コンなんてものにも行ったことがない。
ましてや自分の男受けなんて考えたこともなかった。
立派な淑女に見えれば良いとは思っていたけれど、それが=どうなるなんて考えたこともない。
本当に勘弁してほしい、と小さく羞恥に震えてしまう。
別の学生が答えた。
「ちょっと敷居が高いからな。俺は一年に入ってきたテニスサークルの子がいいな」
よしよし、話がそがれた、と息をつくと
「まあ、瑞華は別格じゃね?」
と付け足される。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる