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第六章
風雅公の企み 3
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「…風人さん?」
その温もりを感じて、鼓動が激しくなった。
大切なものを包み込むように優しく、まるで愛おし気に抱かれてる気がして、くらりと眩暈を覚える。
自分を委ねるには戸惑いが強すぎるけど、そこから逃れたい気持ちにもならない。
ただ愛しい気持ちが芽生えてしまい、甘く苦しくて瑞華は一瞬目を閉じた。
その真意は分からないのに、それでもいいと思えて、少しだけすり寄るように腕の中に身を寄せた。
「…お守りをあげるよ」
抱く力に力が一瞬籠ったように思えた。甘い声が耳元にかかった。
くすぐったいと思った時には首筋がぞわりと温かくなってから、熱くなった。
風人の口唇が触れているのだ。
愛しい物に息を吹き込むように、ゆっくりと瑞華の首筋のラインを辿っていく、
「や…」
瑞華の顔は赤くなり、身を捩らせるが風人には何の効力もない。やがて力強い引力に屈するように、はぁとため息をついた。
瑞華の様子を許諾と受け止めたのか、唇は鎖骨のラインまで降りていく。
意味の分からないまま、体が震えた。
洋服で隠れていた、柔らかな頂の近くまで白い肌を晒され、印をつけるように強く吸われて、恥ずかしさで泣きそうになった。
いや、既に目は潤んでいたと思う。
飽くことのないように、肩から首筋と痕が残るほどに吸われ、何度も甘い音が散る。
指が無意識に風人の肩を強く掴み、縋っていた。
意味も分からないまま、感じた熱さに焦がれてしまいそうだった。
ようやく、抱きしめられる腕の力が抜け。
どうにか呼吸をしながら、瑞華は風人を力無く見上げた。
「瑞華…」
酷いことをした筈の相手の目はどこか澄んでいて。
熱っぽく、瑞華の目線を引き付けた。
どうしても目が離せない。
「緊張感があるだろ?」
くすり、と黒く笑った。
瑞華の胸元を確かめて、どこか満足げに笑みを浮かべる。
「気をつけて?隙を見せて、見られないようにしないと」
そこまで言われてはっとして、首元に手をやった。
胸元に目線を送れば、はっきりと白い肌に紅い痕が残っている。
「我ながらに綺麗に付けたねえ。まあ、瑞華も思ったより喜んでたみたいだし、良かったということで」
揶揄うような言い方に、かあっと顔が赤くあり、隠しきれない動揺を顔に浮かべたまま、風人を見た。
「どうして…?」
「これで鷹羽さんにはしばらく会えないでしょ?お守りだからね」
風人は立ち上がって、にっこりと笑った。
「何?隙があるから緊張感をあげただけでしょ。それとも、本当は鷹羽さんに恋をしてる?」
「…っ」
その言い方に、そうだ、この人そういう人だったと思った。
瑞華にはどこか意地悪な王子様なのだ。
思わず勢いをつけて睨みつけると、九条風人は極上の笑みを浮かべている。
瑞華の視線に、くすりと笑ってから話を変えた。
「ところで瑞華。ちょっとお店の方に行きたいんだけど」
「店・・・?」
「そぅ。本社じゃなくて華屋の店舗。とりあえず本店の銀座と、あとは新宿でいいから」
一呼吸おいて、手を取られ耳元で悪魔が囁いた。
「デート、しよう」
思わず赤くなり、身体が跳ね上がる思いで。
――それ、その言い方する必要なくないですか!?
心の中だけで、大きく抵抗の声を上げた。
その温もりを感じて、鼓動が激しくなった。
大切なものを包み込むように優しく、まるで愛おし気に抱かれてる気がして、くらりと眩暈を覚える。
自分を委ねるには戸惑いが強すぎるけど、そこから逃れたい気持ちにもならない。
ただ愛しい気持ちが芽生えてしまい、甘く苦しくて瑞華は一瞬目を閉じた。
その真意は分からないのに、それでもいいと思えて、少しだけすり寄るように腕の中に身を寄せた。
「…お守りをあげるよ」
抱く力に力が一瞬籠ったように思えた。甘い声が耳元にかかった。
くすぐったいと思った時には首筋がぞわりと温かくなってから、熱くなった。
風人の口唇が触れているのだ。
愛しい物に息を吹き込むように、ゆっくりと瑞華の首筋のラインを辿っていく、
「や…」
瑞華の顔は赤くなり、身を捩らせるが風人には何の効力もない。やがて力強い引力に屈するように、はぁとため息をついた。
瑞華の様子を許諾と受け止めたのか、唇は鎖骨のラインまで降りていく。
意味の分からないまま、体が震えた。
洋服で隠れていた、柔らかな頂の近くまで白い肌を晒され、印をつけるように強く吸われて、恥ずかしさで泣きそうになった。
いや、既に目は潤んでいたと思う。
飽くことのないように、肩から首筋と痕が残るほどに吸われ、何度も甘い音が散る。
指が無意識に風人の肩を強く掴み、縋っていた。
意味も分からないまま、感じた熱さに焦がれてしまいそうだった。
ようやく、抱きしめられる腕の力が抜け。
どうにか呼吸をしながら、瑞華は風人を力無く見上げた。
「瑞華…」
酷いことをした筈の相手の目はどこか澄んでいて。
熱っぽく、瑞華の目線を引き付けた。
どうしても目が離せない。
「緊張感があるだろ?」
くすり、と黒く笑った。
瑞華の胸元を確かめて、どこか満足げに笑みを浮かべる。
「気をつけて?隙を見せて、見られないようにしないと」
そこまで言われてはっとして、首元に手をやった。
胸元に目線を送れば、はっきりと白い肌に紅い痕が残っている。
「我ながらに綺麗に付けたねえ。まあ、瑞華も思ったより喜んでたみたいだし、良かったということで」
揶揄うような言い方に、かあっと顔が赤くあり、隠しきれない動揺を顔に浮かべたまま、風人を見た。
「どうして…?」
「これで鷹羽さんにはしばらく会えないでしょ?お守りだからね」
風人は立ち上がって、にっこりと笑った。
「何?隙があるから緊張感をあげただけでしょ。それとも、本当は鷹羽さんに恋をしてる?」
「…っ」
その言い方に、そうだ、この人そういう人だったと思った。
瑞華にはどこか意地悪な王子様なのだ。
思わず勢いをつけて睨みつけると、九条風人は極上の笑みを浮かべている。
瑞華の視線に、くすりと笑ってから話を変えた。
「ところで瑞華。ちょっとお店の方に行きたいんだけど」
「店・・・?」
「そぅ。本社じゃなくて華屋の店舗。とりあえず本店の銀座と、あとは新宿でいいから」
一呼吸おいて、手を取られ耳元で悪魔が囁いた。
「デート、しよう」
思わず赤くなり、身体が跳ね上がる思いで。
――それ、その言い方する必要なくないですか!?
心の中だけで、大きく抵抗の声を上げた。
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