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第一章 4月
お姉さまの足跡 ★5★
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夕食後、幸が柚鈴を連れてきたのは、三階の一番奥の部屋だった。
ノックをすると、すぐに扉が開いた。
「いらっしゃい」
キレイに巻かれたツインテールが揺れ、顔を見せたのは、遥先輩だった。いつも通りフリルが可愛らしいワンピースを着ている。
部屋の中に招かれ、中に入ると、他の部屋よりも広く、奥にはティータイムくらいは楽しむことが出来そうな白塗りのテーブルセットがある。テーブルにはレースのテーブルクロスが敷かれていて、椅子にはクッションが置かれている。
「この部屋は寮長専用なの。他の部屋に比べて一部屋だけ広く作ってあるのよ」
「そうなんですね」
寮長専用のこの部屋では、他の寮生とミーティングをしたり、相談を受けたり出来るように、特別な作りになっていることは聞いたことがあった。勿論、中を見るのは始めてだ。
それは幸も同じらしく、部屋の中を感動したように見ている。
カーテンや内装まで、おそらくは遥先輩の趣味だろうがヨーロッパ風の装いになっているのだ。
促され席に着くと、タイミング良く外からドアがノックされた。
遥先輩が扉を開けると、凛子先輩が入ってくる。シワ一つない白いシャツに黒の七分丈パンツ。休みとは言え、隙のない雰囲気だ。思わず、姿勢を正してしまう。
ふ、2人に声を掛けたの?
ギョッとして幸を見るが、当の本人は目を輝かせて部屋の内装を見ていた。
「なんか、素敵」
幸せそうな様子に、おいおいと心の中だけで突っこむ。
「お待たせしたかしら?」
「そうでもないわ」
凛子先輩が席に着くと、遥先輩が4人分お茶を入れてくれる。
ハーブティーだと思われる、良い香りが部屋に立ち込めた。
素敵を実感する時間を終えたらしい幸が席を立って、二人に深々と頭を下げた。
「お時間を作って頂き、ありがとうございます」
柚鈴も合わせて頭を下げる。
「それで、お話しというのは何かしら?」
改めて席に着くと、遥先輩が促した。
幸が任せてと言わんばかりに、一度柚鈴を見てから、口火を切った。
「去年の生徒会長である小鳥遊志奈さんについて伺いたいんです」
そう言うと、遥先輩は少し目を見開いた様に見えた。
凛子先輩は、ほとんど表情を変えずに、カップを口元に運んでいる。
「どんなことについて、聞きたいのかしら?」
「人柄とか、でしょうか。私、文芸部に入ったんですけど、過去の部誌を見ても、とても有名みたいなので興味が湧きました」
ストレートに堂々と聞いてしまう幸の様子に、後ろめたさは全く感じない。
柚鈴と違って、確かに幸自身は「興味がある」というのが前提の行動なのだろうから、後ろめたさなんてあるわけもないが。
ままよ、と合わせることにした。
ノックをすると、すぐに扉が開いた。
「いらっしゃい」
キレイに巻かれたツインテールが揺れ、顔を見せたのは、遥先輩だった。いつも通りフリルが可愛らしいワンピースを着ている。
部屋の中に招かれ、中に入ると、他の部屋よりも広く、奥にはティータイムくらいは楽しむことが出来そうな白塗りのテーブルセットがある。テーブルにはレースのテーブルクロスが敷かれていて、椅子にはクッションが置かれている。
「この部屋は寮長専用なの。他の部屋に比べて一部屋だけ広く作ってあるのよ」
「そうなんですね」
寮長専用のこの部屋では、他の寮生とミーティングをしたり、相談を受けたり出来るように、特別な作りになっていることは聞いたことがあった。勿論、中を見るのは始めてだ。
それは幸も同じらしく、部屋の中を感動したように見ている。
カーテンや内装まで、おそらくは遥先輩の趣味だろうがヨーロッパ風の装いになっているのだ。
促され席に着くと、タイミング良く外からドアがノックされた。
遥先輩が扉を開けると、凛子先輩が入ってくる。シワ一つない白いシャツに黒の七分丈パンツ。休みとは言え、隙のない雰囲気だ。思わず、姿勢を正してしまう。
ふ、2人に声を掛けたの?
ギョッとして幸を見るが、当の本人は目を輝かせて部屋の内装を見ていた。
「なんか、素敵」
幸せそうな様子に、おいおいと心の中だけで突っこむ。
「お待たせしたかしら?」
「そうでもないわ」
凛子先輩が席に着くと、遥先輩が4人分お茶を入れてくれる。
ハーブティーだと思われる、良い香りが部屋に立ち込めた。
素敵を実感する時間を終えたらしい幸が席を立って、二人に深々と頭を下げた。
「お時間を作って頂き、ありがとうございます」
柚鈴も合わせて頭を下げる。
「それで、お話しというのは何かしら?」
改めて席に着くと、遥先輩が促した。
幸が任せてと言わんばかりに、一度柚鈴を見てから、口火を切った。
「去年の生徒会長である小鳥遊志奈さんについて伺いたいんです」
そう言うと、遥先輩は少し目を見開いた様に見えた。
凛子先輩は、ほとんど表情を変えずに、カップを口元に運んでいる。
「どんなことについて、聞きたいのかしら?」
「人柄とか、でしょうか。私、文芸部に入ったんですけど、過去の部誌を見ても、とても有名みたいなので興味が湧きました」
ストレートに堂々と聞いてしまう幸の様子に、後ろめたさは全く感じない。
柚鈴と違って、確かに幸自身は「興味がある」というのが前提の行動なのだろうから、後ろめたさなんてあるわけもないが。
ままよ、と合わせることにした。
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