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第三章 5月‐結
お姉さま、ペア作りが本格起動です ★1★
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「なにこれ」
ゴールデンウィーク明け初日の授業が終わって。
ホームルームの最後に、何枚か綴りで配られたプリントを見て、思わず柚鈴は声を上げた。
主題は『助言者制度推進書類』
配布者は『生徒会』
内容は、2年生と3年生の名簿のようだ。
ざっと合わせて100人ほどだから、なんらかの意図を持った抜粋であることは間違いない。
名前は全て、カタカナ記載がされていて、所属する部活動までは書かれている。
「もう既にご存知の方たちもいらっしゃると思いますが」
ホームルームが始まるとプリントを配ってから前に立って話し始めたのは、東組トップの成績であり、生徒会手伝いをしている明智絵里さんだ。相変わらずの乱れのない三つ編みと、表情を引き締めてみせる黒縁の眼鏡。隙を感じさせない様子である。
「常葉学園では助言者制度という上級生とのペア制度があります。簡単に言えば優秀な上級生から直接、一対一の指導を受け、より良い学園生活を送るための制度です。特進科である東組では外部からの受験によって入学した生徒も多く、上級生と知り合う機会の少ない人も多いと思います。そこで今月から、そういった生徒が助言者の資格を持っている上級生と知り合う機会を生徒会などが設けることになっています。その一環として本日は生徒会から配布物を配らせていただきます」
プリントを提示しつつ、明智さんは淡々と説明を続ける。
生徒会手伝いとしての仕事をしているといった淀みなく話す姿に、誰もがまるで先生の話を聞くように向いあっている。
多少、それぞれが戸惑ったような視線を交わす程度のことはあるが、明智さんはこの教室の雰囲気を上手くリードしていた。
「この配布物には、助言者の資格を持つ中でも、まだペアを持っていない上級生の方々の名前が記載されています。同じように上級生には、一年生の名簿が配布されています」
そこまで言われて、再度プリントに目を落とす。そういえばと思い当たった。
入学してすぐに、生徒会主催の名簿を作るとかで、簡単にアンケートに答えたような気がする。
個人情報においての扱い説明まで記載されていたので、多少は不思議に思ったのだ。だが、生徒会が生徒の名簿を作ると言われれば、そんなこともあるのかもしれないと、なんとなく納得してしまった。
一年生の名簿はそこから作られて、上級生の手に渡っていると考えれば納得がいく。
上級生も進級してすぐに同じようにアンケートに答え、それがこうして1年生の手にも渡っているのだろう。
それにしても。
3年生の名前まであるんだ。
柚鈴はプリントを眺めながら首を傾げた。
ここに名前があるということは、1年生と3年生とのペアもありだということだろうか?制度の仕組みから考えれば、ありなのかもしれない。ダメなら1年生に名前を乗せた資料が配られはしないだろう。
このプリントに載っている3年生が、2年生の間にペアを作らなかった方々なのか、3年生に進学するときに助言者の資格を得たのかは、資料では当然ながら判断できない。しかしながら、この制度に振り回されるのは3年間ずっとなのだということは、新しく分かったことだった。
ペアを作ることを求められている3年生がいると分かったということは、だ。
志奈さんに『ペアの上級生』は作らないと公言した手前、それを果たすためには2年生の間までは頑張らなくてはならないということになる。
ちょっと、自信なくなってきたかも。
柚鈴はどんよりと重い気持ちを抱いた。
更に資料を眺めていると東組の先輩方の中には、名前の前に星印がついている人たちもあり、枠外にそれが「特待生」であることも記載されていた。
つまり、だ。
「柚鈴ちゃんが特待生だっていうのも、上級生は一目瞭然なんだねぇ」
プリントを見て、斜め後ろの席に座っている幸が感心したようにつぶやいた。
ゴールデンウィーク明け初日の授業が終わって。
ホームルームの最後に、何枚か綴りで配られたプリントを見て、思わず柚鈴は声を上げた。
主題は『助言者制度推進書類』
配布者は『生徒会』
内容は、2年生と3年生の名簿のようだ。
ざっと合わせて100人ほどだから、なんらかの意図を持った抜粋であることは間違いない。
名前は全て、カタカナ記載がされていて、所属する部活動までは書かれている。
「もう既にご存知の方たちもいらっしゃると思いますが」
ホームルームが始まるとプリントを配ってから前に立って話し始めたのは、東組トップの成績であり、生徒会手伝いをしている明智絵里さんだ。相変わらずの乱れのない三つ編みと、表情を引き締めてみせる黒縁の眼鏡。隙を感じさせない様子である。
「常葉学園では助言者制度という上級生とのペア制度があります。簡単に言えば優秀な上級生から直接、一対一の指導を受け、より良い学園生活を送るための制度です。特進科である東組では外部からの受験によって入学した生徒も多く、上級生と知り合う機会の少ない人も多いと思います。そこで今月から、そういった生徒が助言者の資格を持っている上級生と知り合う機会を生徒会などが設けることになっています。その一環として本日は生徒会から配布物を配らせていただきます」
プリントを提示しつつ、明智さんは淡々と説明を続ける。
生徒会手伝いとしての仕事をしているといった淀みなく話す姿に、誰もがまるで先生の話を聞くように向いあっている。
多少、それぞれが戸惑ったような視線を交わす程度のことはあるが、明智さんはこの教室の雰囲気を上手くリードしていた。
「この配布物には、助言者の資格を持つ中でも、まだペアを持っていない上級生の方々の名前が記載されています。同じように上級生には、一年生の名簿が配布されています」
そこまで言われて、再度プリントに目を落とす。そういえばと思い当たった。
入学してすぐに、生徒会主催の名簿を作るとかで、簡単にアンケートに答えたような気がする。
個人情報においての扱い説明まで記載されていたので、多少は不思議に思ったのだ。だが、生徒会が生徒の名簿を作ると言われれば、そんなこともあるのかもしれないと、なんとなく納得してしまった。
一年生の名簿はそこから作られて、上級生の手に渡っていると考えれば納得がいく。
上級生も進級してすぐに同じようにアンケートに答え、それがこうして1年生の手にも渡っているのだろう。
それにしても。
3年生の名前まであるんだ。
柚鈴はプリントを眺めながら首を傾げた。
ここに名前があるということは、1年生と3年生とのペアもありだということだろうか?制度の仕組みから考えれば、ありなのかもしれない。ダメなら1年生に名前を乗せた資料が配られはしないだろう。
このプリントに載っている3年生が、2年生の間にペアを作らなかった方々なのか、3年生に進学するときに助言者の資格を得たのかは、資料では当然ながら判断できない。しかしながら、この制度に振り回されるのは3年間ずっとなのだということは、新しく分かったことだった。
ペアを作ることを求められている3年生がいると分かったということは、だ。
志奈さんに『ペアの上級生』は作らないと公言した手前、それを果たすためには2年生の間までは頑張らなくてはならないということになる。
ちょっと、自信なくなってきたかも。
柚鈴はどんよりと重い気持ちを抱いた。
更に資料を眺めていると東組の先輩方の中には、名前の前に星印がついている人たちもあり、枠外にそれが「特待生」であることも記載されていた。
つまり、だ。
「柚鈴ちゃんが特待生だっていうのも、上級生は一目瞭然なんだねぇ」
プリントを見て、斜め後ろの席に座っている幸が感心したようにつぶやいた。
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