117 / 282
第三章 5月‐結
お姉さま、ペア作りが本格起動です ★3★
しおりを挟む
目線を一周回らせて、明智さんに視線を戻した時には、頭の中で大分整理がついた。
どうやらそうらしい。
そう思ってしまえば、これ以上聞かないといけないことはなかった。
というよりこれ以上は止めよう、止めた方がいい。
柚鈴は曖昧な笑顔で頷いて、明智さんにお礼を言うように頭を下げた。
「質問は以上です」
「そうですか」
明智さんは頷いた。
「他に質問はないですか?」
そうクラスに声をかけて様子を見るが、特に他の声は上がらない。
好奇心に満ち溢れた眼差しはそれぞれ持っているのだが、積極的に行動に出るほどでもないようだ。
その雰囲気を感じとったのか、明智さんは少し困ったような表情を見せてから頷いた。
「質問は生徒会手伝いとして、私も随時受け付けていますので、何かあればどうぞ」
そういって説明を終了してしまった。
…学校を上げてのペア作りというのは本当なんだな…
配られたプリントを眺めながら、柚鈴は複雑な気持ちになる。
このプリントはどうやら、1年生用。
おそらく、2年生用と3年生用も作成されているのだろう。
わざわざこのために、生徒会で作られたものなわけだから、生徒会の忙しさも納得のいくところだ。
他にも色々な企画があるような気配だし、出来れば、年間スケジュールで情報が欲しいところだ。
憂鬱な気持ちで鞄に荷物を詰めていると、幸が後ろから声を掛けてきた。
「柚鈴ちゃん、一緒に帰ろう」
幸に声をかけられて柚鈴は振り返った。
「今日、部活は?」
「中間考査も近いし、お休みなんだ。あ、さっきはありがとう。代わりに質問してくれて。助かっちゃったよ」
ほのぼのとした雰囲気の幸にお礼を言われて。
幸もそういえば助言者が欲しいって言ってたなあ…
思い出してついまじまじと見つめていると、不思議そうに見つめ返された。
「なあに?」
「やっぱり幸も皆も、上級生のペアがほしいのかな?」
そう聞くと、幸は唐突の質問に驚いたのか目を瞬かせた。
「ええ?どうだろう?私は欲しいけど、皆がどうかはわからないなあ」
それから幸は思慮深く考え込むように首を傾げた。
「う~ん。私は元々、一人っ子だし、色々教えてくれるお姉さん的な存在には憧れはあるかなあ。ほら頭の良い上級生から勉強教われたら、助かっちゃうと思うよ」
1人っこだからには、ピンと来なかったが、助かっちゃうの言葉には、なるほどと言わざるを得ない。
特進科はあくまで成績重視だ。
課題も多いし、成績が落ちれば来年のクラス編成はどうなるかわからない。
柚鈴の特待生資格だって、来年も保持するためにはかなりの努力が必要だ。
そういった点で、優秀な先輩からの指導というのは確かに嬉しい。
「なるほど」
「それに花奏ちゃんとか、遥先輩に懐いてて楽しそうだし」
西クラスの友人の名前を上げられれば、更に納得した。
確かに4月の間で、ペアを作った同級生は東組にもいる。
その子たちは、それぞれ楽しそうに上級生と話をしていたりするのを学園内で見かけたりするし、自分のペアの話を友人同士でしたりしているのも聞いたことがある。
そういったものを目にしていれば、自然とペアが欲しい気持ちになるものなのかもしれない。
クラスメイトの好意的な雰囲気はそういうこともあるからかもしれない。
柚鈴自身にそういう気持ちが全くなかったから、なんとなく流していたけれど、幸の言葉は腑に落ちた。
つまり柚鈴みたいに助言者制度に積極的でない人間は、孤軍奮闘しなくてはならないんだろうか。
などとネガティブな気持ちに陥ってしまった。
どうやらそうらしい。
そう思ってしまえば、これ以上聞かないといけないことはなかった。
というよりこれ以上は止めよう、止めた方がいい。
柚鈴は曖昧な笑顔で頷いて、明智さんにお礼を言うように頭を下げた。
「質問は以上です」
「そうですか」
明智さんは頷いた。
「他に質問はないですか?」
そうクラスに声をかけて様子を見るが、特に他の声は上がらない。
好奇心に満ち溢れた眼差しはそれぞれ持っているのだが、積極的に行動に出るほどでもないようだ。
その雰囲気を感じとったのか、明智さんは少し困ったような表情を見せてから頷いた。
「質問は生徒会手伝いとして、私も随時受け付けていますので、何かあればどうぞ」
そういって説明を終了してしまった。
…学校を上げてのペア作りというのは本当なんだな…
配られたプリントを眺めながら、柚鈴は複雑な気持ちになる。
このプリントはどうやら、1年生用。
おそらく、2年生用と3年生用も作成されているのだろう。
わざわざこのために、生徒会で作られたものなわけだから、生徒会の忙しさも納得のいくところだ。
他にも色々な企画があるような気配だし、出来れば、年間スケジュールで情報が欲しいところだ。
憂鬱な気持ちで鞄に荷物を詰めていると、幸が後ろから声を掛けてきた。
「柚鈴ちゃん、一緒に帰ろう」
幸に声をかけられて柚鈴は振り返った。
「今日、部活は?」
「中間考査も近いし、お休みなんだ。あ、さっきはありがとう。代わりに質問してくれて。助かっちゃったよ」
ほのぼのとした雰囲気の幸にお礼を言われて。
幸もそういえば助言者が欲しいって言ってたなあ…
思い出してついまじまじと見つめていると、不思議そうに見つめ返された。
「なあに?」
「やっぱり幸も皆も、上級生のペアがほしいのかな?」
そう聞くと、幸は唐突の質問に驚いたのか目を瞬かせた。
「ええ?どうだろう?私は欲しいけど、皆がどうかはわからないなあ」
それから幸は思慮深く考え込むように首を傾げた。
「う~ん。私は元々、一人っ子だし、色々教えてくれるお姉さん的な存在には憧れはあるかなあ。ほら頭の良い上級生から勉強教われたら、助かっちゃうと思うよ」
1人っこだからには、ピンと来なかったが、助かっちゃうの言葉には、なるほどと言わざるを得ない。
特進科はあくまで成績重視だ。
課題も多いし、成績が落ちれば来年のクラス編成はどうなるかわからない。
柚鈴の特待生資格だって、来年も保持するためにはかなりの努力が必要だ。
そういった点で、優秀な先輩からの指導というのは確かに嬉しい。
「なるほど」
「それに花奏ちゃんとか、遥先輩に懐いてて楽しそうだし」
西クラスの友人の名前を上げられれば、更に納得した。
確かに4月の間で、ペアを作った同級生は東組にもいる。
その子たちは、それぞれ楽しそうに上級生と話をしていたりするのを学園内で見かけたりするし、自分のペアの話を友人同士でしたりしているのも聞いたことがある。
そういったものを目にしていれば、自然とペアが欲しい気持ちになるものなのかもしれない。
クラスメイトの好意的な雰囲気はそういうこともあるからかもしれない。
柚鈴自身にそういう気持ちが全くなかったから、なんとなく流していたけれど、幸の言葉は腑に落ちた。
つまり柚鈴みたいに助言者制度に積極的でない人間は、孤軍奮闘しなくてはならないんだろうか。
などとネガティブな気持ちに陥ってしまった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。
卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。
理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。
…と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。
全二話で完結します、予約投稿済み
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる