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第三章 5月‐結
お姉さま、ペア作りが本格起動です ★6★
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一方。
教室から出た幸は、外で待っていた上級生の元へとトコトコと小走りで近寄った。
待っていたのは、ゴールデンウィーク中に一度会った、沢城悠先輩だった。
「沢城先輩、お待たせしました」
幸が声をかけると、柔らかな笑顔が返ってくる。
「ごきげんよう。急にごめんなさい」
「いえ!まぁ、タイミングとしてはちょっと驚きましたけど」
「タイミング?」
「今日は、生徒会から先輩方の名簿を頂きましたので。」
「あぁ」
沢城先輩は納得したよう頷いた。
そののんびりした様子は助言者制度などまるで人ごとで様子に見える。
それはそうだろうな、と幸は思った。なぜなら沢城先輩は助言者ではない。
先ほど配られた名簿を見て、知り合いの先輩方の名前がないか一通りチェック済だ。
だからこそ、沢城先輩が教室の外にいても慌てすぎることはなかった。
すでにペアの子を見つけた助言者であるから、名前が載ってなかった可能性もあるのだが、ちらりと見た襟には、ペアがいる証の片翼のバッチもない。
東組ってことはなんとなく隠しておきたかったのだけど、それはばれちゃったみたいで、残念に思う。
そういえば助言者の資格を持っている文芸部の先輩の名前も一覧表には見当たらなかったなあ。
ペアの子を見つけたのかな。まあ、おめでたい。
部活柄と言うべきか、個人作業が多く、入部してすぐ後から、ほとんど会っていない先輩も多い。
残念ながら幸の助言者となってくれるような相手と出会える機会はなかった。
それでも欲しい気持ちはあるので、あとで、名簿でも良く見て、明智さんに相談してみようかなあ。
そんなことを考えてしまう。
幸の気持ちなど勿論知らない沢城先輩はにこやかに笑った。
「大変な時にごめんなさいね」
「いえ。何か用があったんですよね?」
「ゴールデンウイークの飴のお礼をしたいと思っていたんですけど。今日になって配られたそのプリントを私も見てたら名前が載ってたから。早めに声を掛けた方が良いかと思ってる慌てて来たんです」
「早めにですか?」
意味が良く分からなかったように幸は首を傾げた。沢城先輩がプリントを見て来たのは分かったが。
初めて会った時から、癖なのか、幸のような後輩にでも敬語を崩さない沢城先輩は堅苦しくも親しみやすさを感じていた。
沢城先輩は、柔らかく微笑んでその印象を強める。
「だって、春野幸さんは東組の生徒でしょう?どなたか助言者の方に声を掛けられてしまったら、迂闊に仲良く出来ないかもしれないと思いまして」
「え?そうなんですか?」
「焼きもちやきの助言者だっていますし。私だって可愛い後輩とペアを組んでいたら、いつ嫌われやしないかって気が気じゃないと思うんです」
力強く頷いた沢城先輩に、幸は目を瞬かせてから、少し考え込んだ。
「…そういうものなんでしょうか?」
全く考えていなかった話に、思慮深く考えこんでから、今はいいかと顔を上げた。
「とりあえず私はそんな候補なんてものも今の所いませんから大丈夫ですね。それで何の声を掛けにきたんですか?」
「先日、オムライスを食べに来てくれると言っていたので、中間考査明けにでもいかがかと思いまして」
「え!?いいんですか?」
思わず笑顔が溢れてしまう。
オムライス、オムライス
洋食やさんのオムライスだ。
しかもわざわざ誘いにきてくれるなんて、いい人だ。
ぱあっと顔が明るくなる幸をにっこりと見つめる沢城先輩に、幸は嬉しそうに頷いた。
「是非行きましょう。先日は場所も教えないままでしたので気になっていたんです。飴のお礼にごちそうしますよ」
「え!?飴のお礼がオムライスでは割が合わないです。困ります」
「良いんですよ。気持ちですから」
幸は慌てて首を振った。
お礼といえども過剰に貰いすぎるのはやっぱり気がひける。
「ではこうしましょう」
思いついて、名案と言わんばかりに力を込めて言った。
「オムライス代はちゃんと払いますので、沢城先輩はデザートをごちそうしてください」
「デザート、ですか」
きょとん、とした表情を見せた沢城先輩に、幸は頷いた。
その目の輝きに、ふふっと笑って
「わかりました。ではデザートはごちそうさせてくださいね」
了承をしてくれる。
やったぁ。
助言者との出会いはなかったけど、親しく接してくれる先輩の存在に、幸は素直に喜んだ。
教室から出た幸は、外で待っていた上級生の元へとトコトコと小走りで近寄った。
待っていたのは、ゴールデンウィーク中に一度会った、沢城悠先輩だった。
「沢城先輩、お待たせしました」
幸が声をかけると、柔らかな笑顔が返ってくる。
「ごきげんよう。急にごめんなさい」
「いえ!まぁ、タイミングとしてはちょっと驚きましたけど」
「タイミング?」
「今日は、生徒会から先輩方の名簿を頂きましたので。」
「あぁ」
沢城先輩は納得したよう頷いた。
そののんびりした様子は助言者制度などまるで人ごとで様子に見える。
それはそうだろうな、と幸は思った。なぜなら沢城先輩は助言者ではない。
先ほど配られた名簿を見て、知り合いの先輩方の名前がないか一通りチェック済だ。
だからこそ、沢城先輩が教室の外にいても慌てすぎることはなかった。
すでにペアの子を見つけた助言者であるから、名前が載ってなかった可能性もあるのだが、ちらりと見た襟には、ペアがいる証の片翼のバッチもない。
東組ってことはなんとなく隠しておきたかったのだけど、それはばれちゃったみたいで、残念に思う。
そういえば助言者の資格を持っている文芸部の先輩の名前も一覧表には見当たらなかったなあ。
ペアの子を見つけたのかな。まあ、おめでたい。
部活柄と言うべきか、個人作業が多く、入部してすぐ後から、ほとんど会っていない先輩も多い。
残念ながら幸の助言者となってくれるような相手と出会える機会はなかった。
それでも欲しい気持ちはあるので、あとで、名簿でも良く見て、明智さんに相談してみようかなあ。
そんなことを考えてしまう。
幸の気持ちなど勿論知らない沢城先輩はにこやかに笑った。
「大変な時にごめんなさいね」
「いえ。何か用があったんですよね?」
「ゴールデンウイークの飴のお礼をしたいと思っていたんですけど。今日になって配られたそのプリントを私も見てたら名前が載ってたから。早めに声を掛けた方が良いかと思ってる慌てて来たんです」
「早めにですか?」
意味が良く分からなかったように幸は首を傾げた。沢城先輩がプリントを見て来たのは分かったが。
初めて会った時から、癖なのか、幸のような後輩にでも敬語を崩さない沢城先輩は堅苦しくも親しみやすさを感じていた。
沢城先輩は、柔らかく微笑んでその印象を強める。
「だって、春野幸さんは東組の生徒でしょう?どなたか助言者の方に声を掛けられてしまったら、迂闊に仲良く出来ないかもしれないと思いまして」
「え?そうなんですか?」
「焼きもちやきの助言者だっていますし。私だって可愛い後輩とペアを組んでいたら、いつ嫌われやしないかって気が気じゃないと思うんです」
力強く頷いた沢城先輩に、幸は目を瞬かせてから、少し考え込んだ。
「…そういうものなんでしょうか?」
全く考えていなかった話に、思慮深く考えこんでから、今はいいかと顔を上げた。
「とりあえず私はそんな候補なんてものも今の所いませんから大丈夫ですね。それで何の声を掛けにきたんですか?」
「先日、オムライスを食べに来てくれると言っていたので、中間考査明けにでもいかがかと思いまして」
「え!?いいんですか?」
思わず笑顔が溢れてしまう。
オムライス、オムライス
洋食やさんのオムライスだ。
しかもわざわざ誘いにきてくれるなんて、いい人だ。
ぱあっと顔が明るくなる幸をにっこりと見つめる沢城先輩に、幸は嬉しそうに頷いた。
「是非行きましょう。先日は場所も教えないままでしたので気になっていたんです。飴のお礼にごちそうしますよ」
「え!?飴のお礼がオムライスでは割が合わないです。困ります」
「良いんですよ。気持ちですから」
幸は慌てて首を振った。
お礼といえども過剰に貰いすぎるのはやっぱり気がひける。
「ではこうしましょう」
思いついて、名案と言わんばかりに力を込めて言った。
「オムライス代はちゃんと払いますので、沢城先輩はデザートをごちそうしてください」
「デザート、ですか」
きょとん、とした表情を見せた沢城先輩に、幸は頷いた。
その目の輝きに、ふふっと笑って
「わかりました。ではデザートはごちそうさせてくださいね」
了承をしてくれる。
やったぁ。
助言者との出会いはなかったけど、親しく接してくれる先輩の存在に、幸は素直に喜んだ。
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