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第三章 5月‐結
お姉さま、ペア作りが本格起動です ★5★
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「小鳥遊さんにはこれを渡すように頼まれていたの」
そういって差し出したのは和紙を使った若草を連想させる薄緑の封筒だった。
「え?これは?」
「中間考査後にある、茶道部主催の茶会の招待状」
「茶道部?」
常葉学園に茶道部があるのはなんとなく知っていたが、それが差し出される理由が分からず、柚鈴は首をかしげた。
「茶道部の茶会は、部活動が主体で行なっている助言者制度のペア作りの1つなんですって。多分、小鳥遊さんが特待生だからお誘いを受けたんじゃないかしら」
「え?」
柚鈴はマジマジと封筒を見つめた。
生徒会だけでなく、部が主催で行っているペア作りまであるのか。
今日は名簿も配られたし、どこも大変だ、と考えてから、おや?と不思議に思った。
「生徒会から名簿が配布されたのは今日よね?なのにどうして、ペア作りのための招待状なんてものがもう届くの?早すぎない?」
「茶道部のこの招待状は、生徒会からの名簿を参考にしているわけではないらしいわ。どういう基準かは知らないけど、私も貰ったの」
「明智さんも?」
柚鈴は目を瞬かせた。
「東組では、私と小鳥遊さん二人だけみたい。私が受け取っているということは、特待生であることが関係しているのかもしれないから、小鳥遊さんもそうなんじゃないかと思ったのよ」
まあ確かに。柚鈴はともかく、明智さんは入学式で代表挨拶をしているから、成績優秀生徒であることは一目瞭然なのは確かに、としか言いようもない。
1年生で、主席以上に優秀な人間はいないだろう。
でも、明智さんは生徒会手伝いである。それって…
柚鈴は疑問を感じてそのまま口にした。
「でも明智さんは生徒会手伝いをしてるから、ペアは作らないんでしょ?」
「そんなことないわ」
明智さんは特に表情を崩さずに否定した。
「ペアに持った助言者次第での実績が常葉学園には沢山あるみたいだし、優秀な先輩となら望むところよ。私は確かに生徒会手伝いで、希望しないならペア作りに参加しなくても良いけど禁止されているわけじゃないもの」
「まぁ確かに。そうだけど」
てっきり生徒会関係者は、ペアを作る気がないと思い込んでいた柚鈴は、予想外の答えに言葉を失った。
明智さんほど優秀な人材が、人の手を借りようとするのか、という素直な驚きもある。
だが本人は、これ以上に成長できるなら、それはそれでよしと思っているというのだ。
恐るべし、優等生。
「小鳥遊さんは、助言者制度を活用する気はないの?」
逆に不思議そうに問われて、柚鈴は少し言いにくさを感じながら頷いた。
「私は、作らなくていいかなと」
「どうして?」
「えぇっと」
重ねて聞かれて言葉を詰まらせた。
「そこに意義を見出せなくて」
なんとか捻り出した答えを聞いて、明智さんは少し考えてから頷いた。
「そう」
納得したとは思えなかったが、柚鈴がそう発言したことを否定するつもりはないらしい。
それ以上の話には興味はなさそうにな様子に、この話が終わりだということに気づいた。
「あ、あの。この招待状」
返した方がいいのかと差し出したが明智さんは一瞥してから首を振った。
「本当にそれだけが理由なら、受け取った方がいいと思うわ」
「え?」
「それだけの理由では、生徒会のバッチも持ってない小鳥遊さんが、先輩方のお誘いを断ることは無理だということ。作りたくないにしろ、迷う余地を持ちたいにしろ、その招待状は役に立つはずよ」
「どういうこと?」
「すぐに分かるわよ」
明智さんはどこまでも冷静にそういうと、役目を終えたと言わんばかりに踵を返した。
後は柚鈴が声をかけるヒマもなく、荷物を持って教室から出ていった。
そういって差し出したのは和紙を使った若草を連想させる薄緑の封筒だった。
「え?これは?」
「中間考査後にある、茶道部主催の茶会の招待状」
「茶道部?」
常葉学園に茶道部があるのはなんとなく知っていたが、それが差し出される理由が分からず、柚鈴は首をかしげた。
「茶道部の茶会は、部活動が主体で行なっている助言者制度のペア作りの1つなんですって。多分、小鳥遊さんが特待生だからお誘いを受けたんじゃないかしら」
「え?」
柚鈴はマジマジと封筒を見つめた。
生徒会だけでなく、部が主催で行っているペア作りまであるのか。
今日は名簿も配られたし、どこも大変だ、と考えてから、おや?と不思議に思った。
「生徒会から名簿が配布されたのは今日よね?なのにどうして、ペア作りのための招待状なんてものがもう届くの?早すぎない?」
「茶道部のこの招待状は、生徒会からの名簿を参考にしているわけではないらしいわ。どういう基準かは知らないけど、私も貰ったの」
「明智さんも?」
柚鈴は目を瞬かせた。
「東組では、私と小鳥遊さん二人だけみたい。私が受け取っているということは、特待生であることが関係しているのかもしれないから、小鳥遊さんもそうなんじゃないかと思ったのよ」
まあ確かに。柚鈴はともかく、明智さんは入学式で代表挨拶をしているから、成績優秀生徒であることは一目瞭然なのは確かに、としか言いようもない。
1年生で、主席以上に優秀な人間はいないだろう。
でも、明智さんは生徒会手伝いである。それって…
柚鈴は疑問を感じてそのまま口にした。
「でも明智さんは生徒会手伝いをしてるから、ペアは作らないんでしょ?」
「そんなことないわ」
明智さんは特に表情を崩さずに否定した。
「ペアに持った助言者次第での実績が常葉学園には沢山あるみたいだし、優秀な先輩となら望むところよ。私は確かに生徒会手伝いで、希望しないならペア作りに参加しなくても良いけど禁止されているわけじゃないもの」
「まぁ確かに。そうだけど」
てっきり生徒会関係者は、ペアを作る気がないと思い込んでいた柚鈴は、予想外の答えに言葉を失った。
明智さんほど優秀な人材が、人の手を借りようとするのか、という素直な驚きもある。
だが本人は、これ以上に成長できるなら、それはそれでよしと思っているというのだ。
恐るべし、優等生。
「小鳥遊さんは、助言者制度を活用する気はないの?」
逆に不思議そうに問われて、柚鈴は少し言いにくさを感じながら頷いた。
「私は、作らなくていいかなと」
「どうして?」
「えぇっと」
重ねて聞かれて言葉を詰まらせた。
「そこに意義を見出せなくて」
なんとか捻り出した答えを聞いて、明智さんは少し考えてから頷いた。
「そう」
納得したとは思えなかったが、柚鈴がそう発言したことを否定するつもりはないらしい。
それ以上の話には興味はなさそうにな様子に、この話が終わりだということに気づいた。
「あ、あの。この招待状」
返した方がいいのかと差し出したが明智さんは一瞥してから首を振った。
「本当にそれだけが理由なら、受け取った方がいいと思うわ」
「え?」
「それだけの理由では、生徒会のバッチも持ってない小鳥遊さんが、先輩方のお誘いを断ることは無理だということ。作りたくないにしろ、迷う余地を持ちたいにしろ、その招待状は役に立つはずよ」
「どういうこと?」
「すぐに分かるわよ」
明智さんはどこまでも冷静にそういうと、役目を終えたと言わんばかりに踵を返した。
後は柚鈴が声をかけるヒマもなく、荷物を持って教室から出ていった。
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