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第三章 5月‐結
お姉さま、デートの時間です 3 ★幸の時間★
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…育ちより、大切なものもあるのかもって思っておこう。
沢城先輩のことも考えつつ、密やかにこっそりそんなことを考えて、話を進めることにした。
「その頃の姉妹制度は、しつけとか行儀作法とか、そういった物を中心に先輩が後輩に指導する、というのが基本だったみたいなので、今の様に成績や結果重視の制度がとても不思議みたいです」
「不思議ですか」
「はい。私もペアがいるわけではないので、そこまで詳しく説明できるわけではないんですけど。それでも分かる範囲聞いてみたいって」
ふむふむ、と沢城先輩は頷いてから、悪戯っぽく目を細めた。
「春野さんは、どう思っているんですか?」
「え?」
「今の助言者制度について。以前の姉妹制度と比べていかがでしょうか?」
突然の沢城先輩の質問に、幸は目を瞬かせた。
「そうですね…」
その質問に考え込むように目を伏せた。
助言者制度と姉妹制度。実際、ペアのいない幸は感覚的なことしか言えないけれど、多分沢城先輩はそれで良いから聞きたいんだろう。
そういうことなら、幸の答えはシンプルで良いのではないかと感じた。
その制度に対する、希望とか期待とか、そういう幸が抱いているものを感じたまま。
だから、そのまま答えにしてみる。
「多分、そんなに変わらないんじゃないでしょうか?」
「え?」
「どちらの制度も、誰かとちゃんと向き合って、日々の成長していきましょうってことですよね?出会うべき人とちゃんと出会えれば、姉妹制度であっても助言者制度であっても、きっと変わらないと思います」
「なるほど」
沢城先輩は真顔で頷いてから、ふんわりと笑顔を作った。
「出会うべき人と、出会うですか。それは良い考え方ですね」
沢城先輩の笑顔につられて、にっこり笑ってから。
幸は自分の考えの穴に気付いて、ハッとした。
「ああ、でも…出会うべき人と出会っても、今の常葉学園だとその相手が助言者の資格を持っていなかったら変わってしまうのかな」
この人、と思う人がいても、その人が助言者ではない可能性。そうすると、当然ペアにはなれない。
これは誰とペアを組んでも良いという姉妹制度とは大きな違いだ。
そうなるとどうなんだろう。どうすればいいんだろうか。
困惑して、考え込んでいると。
思わず口から洩れた言葉に、沢城先輩は驚いたように目を見開いた。
「え?どなたか助言者資格を持っていない方で気になる上級生でもいるんですか?」
「え?」
沢城先輩の表情に、幸はようやく、自分が何気なく口走ったことがそういう意味に取られるのだと気づいて、目を瞬かせた。
それから、沢城先輩自身が助言者資格がないことに気付いて、少し慌てた気持ちになってしまう。
「安心してください!そんなことはありませんっ」
思わず、声が大きくなり。
そこが公共のバスの中だと言うことを思い出して、ハッとして口を閉ざした。
「へ?あ、はい。…安心しました…」
勢いに押されるままに、頷いた沢城先輩に胸をなで下ろして、幸は息をついた。
危ない危ない。ひとまず良かった。
何に動揺しているのか、何にホッとしたのかは、自分でも良くはわかっていない。
結局、聞かれた質問に対する答えも、どこか不十分なままになってしまったというのに、そのことも勢いで気づかなかった。
沢城先輩もそれには気づかないのか、どこか満足そうな笑顔でいる。
なんとなく雰囲気だけは一段落ついて。
バスは目的地についたので、降りることになった。
沢城先輩のことも考えつつ、密やかにこっそりそんなことを考えて、話を進めることにした。
「その頃の姉妹制度は、しつけとか行儀作法とか、そういった物を中心に先輩が後輩に指導する、というのが基本だったみたいなので、今の様に成績や結果重視の制度がとても不思議みたいです」
「不思議ですか」
「はい。私もペアがいるわけではないので、そこまで詳しく説明できるわけではないんですけど。それでも分かる範囲聞いてみたいって」
ふむふむ、と沢城先輩は頷いてから、悪戯っぽく目を細めた。
「春野さんは、どう思っているんですか?」
「え?」
「今の助言者制度について。以前の姉妹制度と比べていかがでしょうか?」
突然の沢城先輩の質問に、幸は目を瞬かせた。
「そうですね…」
その質問に考え込むように目を伏せた。
助言者制度と姉妹制度。実際、ペアのいない幸は感覚的なことしか言えないけれど、多分沢城先輩はそれで良いから聞きたいんだろう。
そういうことなら、幸の答えはシンプルで良いのではないかと感じた。
その制度に対する、希望とか期待とか、そういう幸が抱いているものを感じたまま。
だから、そのまま答えにしてみる。
「多分、そんなに変わらないんじゃないでしょうか?」
「え?」
「どちらの制度も、誰かとちゃんと向き合って、日々の成長していきましょうってことですよね?出会うべき人とちゃんと出会えれば、姉妹制度であっても助言者制度であっても、きっと変わらないと思います」
「なるほど」
沢城先輩は真顔で頷いてから、ふんわりと笑顔を作った。
「出会うべき人と、出会うですか。それは良い考え方ですね」
沢城先輩の笑顔につられて、にっこり笑ってから。
幸は自分の考えの穴に気付いて、ハッとした。
「ああ、でも…出会うべき人と出会っても、今の常葉学園だとその相手が助言者の資格を持っていなかったら変わってしまうのかな」
この人、と思う人がいても、その人が助言者ではない可能性。そうすると、当然ペアにはなれない。
これは誰とペアを組んでも良いという姉妹制度とは大きな違いだ。
そうなるとどうなんだろう。どうすればいいんだろうか。
困惑して、考え込んでいると。
思わず口から洩れた言葉に、沢城先輩は驚いたように目を見開いた。
「え?どなたか助言者資格を持っていない方で気になる上級生でもいるんですか?」
「え?」
沢城先輩の表情に、幸はようやく、自分が何気なく口走ったことがそういう意味に取られるのだと気づいて、目を瞬かせた。
それから、沢城先輩自身が助言者資格がないことに気付いて、少し慌てた気持ちになってしまう。
「安心してください!そんなことはありませんっ」
思わず、声が大きくなり。
そこが公共のバスの中だと言うことを思い出して、ハッとして口を閉ざした。
「へ?あ、はい。…安心しました…」
勢いに押されるままに、頷いた沢城先輩に胸をなで下ろして、幸は息をついた。
危ない危ない。ひとまず良かった。
何に動揺しているのか、何にホッとしたのかは、自分でも良くはわかっていない。
結局、聞かれた質問に対する答えも、どこか不十分なままになってしまったというのに、そのことも勢いで気づかなかった。
沢城先輩もそれには気づかないのか、どこか満足そうな笑顔でいる。
なんとなく雰囲気だけは一段落ついて。
バスは目的地についたので、降りることになった。
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