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第三章 5月‐結
お姉さま、デートの時間です 9
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「あら」
とても興味深いと言った様子で、どこか華やぐように驚きを表現した志奈さんには、一瞬知っていたんですか?と聞きそうになる。
キラキラと目を輝かせて、期待に満ち溢れて見えるその視線が、果たして何を示しているんだろうか。
ストレートに聞いてマトモに聞き出せる自信はない。ひとまずは抑えて注意深く様子を見ることにする。
「どうも数合わせのようですけど、招待状を頂きまして。この時期に茶道部のお茶会は定例だそうですね」
「そうみたいね」
うんうん、と大きく頷く志奈さんはやはりどこか怪しい。こちらの疑いの眼差しには気づいていないようだが、何を知っていたんだろうと、柚鈴は更に探るような質問を選んだ。
「志奈さんも参加したことあるんですか?」
「何度かお誘いは受けたと思うわ。私は前年度の部長と仲が良かったから」
あっさりと返ってきた言葉に、ん?と引っかかって考え込む。
もしかしてこの辺りが答えではないかと思えたのだ。
「お友達なんですか?」
「ええ。GWに親子丼を作ったでしょう?あれを教えてくれたのもその子なのよ」
「そうなんですか」
料理上手の茶道部先代部長。わざわざ料理を教えてくれるくらい仲が良い。
茶道部の招待状の件で、こんなに良い反応をする志奈さん。
それだけ聞くと、今回の招待状、そのお友達が関わっている可能性はないだろうか?と思えてくる。
人数合わせだと思っていたけれど、本当は、そうではなかった、とか。
湧きだした疑問にどうしても我慢が出来ない。柚鈴は思わず口に出して聞いてしまった。
「志奈さん、私が茶道部のお誘い受けたことを知ってました?」
だが、志奈さんはふるふると首を横に振る。
「知らなかったわ」
「じゃあ、どうして茶道部のお茶会に参加すると聞いてそんなに嬉しそうなんですか?」
「楽しそうだなあと思って」
思わず次の質問が出てこなくなるほど、ふんわりあっさりと。答えた様子には嘘はなさそうだが。
どこか煙に巻かれてしまった気分で、ちょっともやもやしつつ、やっぱりストレートに聞いたのは間違いだっただろうかと考えてしまう。
招待状と志奈さんは本当に関係ないのだろうか。
つまり相原先輩が、志奈さんと柚鈴の関係を知っていた可能性はあるのかないのか。
もし可能性があれば、それはどんな時なんだろう。
暗中模索しつつ、次の質問を絞り出した。
「もしかして先代部長って、今の部長の相原先輩の助言者なんですか?」
「え?」
「部長が次期部長をペアにすることってあるみたいですし」
陸上部のことを思い出しつつ。
もしそこがペア関係にあれば、なかったとしてもとても仲が良いということであれば。
志奈さんの義妹である柚鈴が常葉学園に入学したことが、その先代部長から相原先輩に伝わったということはあるかもしれないと思ったのだ。
「そうね。多いかもしれないわ。でもあの二人はペアではなかったのよ」
志奈さんは、ニコニコと楽しそうに柚鈴の質問に答えた。
「そうなんですか」
「先代部長である子は、助言者資格を持ちながら、結局誰もペアを持たなかったもの」
「え」
助言者資格を持ちながら、メンティになるペアを持たなかった?
思いもかけない言葉に、柚鈴は目を丸くしてしまう。
そんなことが可能なの?
今まで散々、助言者制度に振り回されてきて、そんなことが出来た生徒がいるなんて中々受け入れがたい。しかもその人は、目の前のペア推進をしていた生徒会会長だった人の友達なのだ。
唖然とした表情になってしまうと、志奈さんはクスクスと笑い出した。
「その顔。柚鈴ちゃんも随分、常葉学園の考え方が染みついてきたわね」
とても興味深いと言った様子で、どこか華やぐように驚きを表現した志奈さんには、一瞬知っていたんですか?と聞きそうになる。
キラキラと目を輝かせて、期待に満ち溢れて見えるその視線が、果たして何を示しているんだろうか。
ストレートに聞いてマトモに聞き出せる自信はない。ひとまずは抑えて注意深く様子を見ることにする。
「どうも数合わせのようですけど、招待状を頂きまして。この時期に茶道部のお茶会は定例だそうですね」
「そうみたいね」
うんうん、と大きく頷く志奈さんはやはりどこか怪しい。こちらの疑いの眼差しには気づいていないようだが、何を知っていたんだろうと、柚鈴は更に探るような質問を選んだ。
「志奈さんも参加したことあるんですか?」
「何度かお誘いは受けたと思うわ。私は前年度の部長と仲が良かったから」
あっさりと返ってきた言葉に、ん?と引っかかって考え込む。
もしかしてこの辺りが答えではないかと思えたのだ。
「お友達なんですか?」
「ええ。GWに親子丼を作ったでしょう?あれを教えてくれたのもその子なのよ」
「そうなんですか」
料理上手の茶道部先代部長。わざわざ料理を教えてくれるくらい仲が良い。
茶道部の招待状の件で、こんなに良い反応をする志奈さん。
それだけ聞くと、今回の招待状、そのお友達が関わっている可能性はないだろうか?と思えてくる。
人数合わせだと思っていたけれど、本当は、そうではなかった、とか。
湧きだした疑問にどうしても我慢が出来ない。柚鈴は思わず口に出して聞いてしまった。
「志奈さん、私が茶道部のお誘い受けたことを知ってました?」
だが、志奈さんはふるふると首を横に振る。
「知らなかったわ」
「じゃあ、どうして茶道部のお茶会に参加すると聞いてそんなに嬉しそうなんですか?」
「楽しそうだなあと思って」
思わず次の質問が出てこなくなるほど、ふんわりあっさりと。答えた様子には嘘はなさそうだが。
どこか煙に巻かれてしまった気分で、ちょっともやもやしつつ、やっぱりストレートに聞いたのは間違いだっただろうかと考えてしまう。
招待状と志奈さんは本当に関係ないのだろうか。
つまり相原先輩が、志奈さんと柚鈴の関係を知っていた可能性はあるのかないのか。
もし可能性があれば、それはどんな時なんだろう。
暗中模索しつつ、次の質問を絞り出した。
「もしかして先代部長って、今の部長の相原先輩の助言者なんですか?」
「え?」
「部長が次期部長をペアにすることってあるみたいですし」
陸上部のことを思い出しつつ。
もしそこがペア関係にあれば、なかったとしてもとても仲が良いということであれば。
志奈さんの義妹である柚鈴が常葉学園に入学したことが、その先代部長から相原先輩に伝わったということはあるかもしれないと思ったのだ。
「そうね。多いかもしれないわ。でもあの二人はペアではなかったのよ」
志奈さんは、ニコニコと楽しそうに柚鈴の質問に答えた。
「そうなんですか」
「先代部長である子は、助言者資格を持ちながら、結局誰もペアを持たなかったもの」
「え」
助言者資格を持ちながら、メンティになるペアを持たなかった?
思いもかけない言葉に、柚鈴は目を丸くしてしまう。
そんなことが可能なの?
今まで散々、助言者制度に振り回されてきて、そんなことが出来た生徒がいるなんて中々受け入れがたい。しかもその人は、目の前のペア推進をしていた生徒会会長だった人の友達なのだ。
唖然とした表情になってしまうと、志奈さんはクスクスと笑い出した。
「その顔。柚鈴ちゃんも随分、常葉学園の考え方が染みついてきたわね」
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