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第三章 5月‐結
お姉さま、体育祭への準備です 5
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そんなこんなでぐったりしている柚鈴と、負けないくらい疲れた様子なのが幸である。
大好きなはずのサクサクコロッケを全く食べ始めようとせず、ぐったりと伏せている。
「幸も随分お疲れたけど、どうしたの?」
柚鈴が不思議に思ってきくと、幸はのろのろと重そうに顔を上げた。
「どうしたも何も、体育祭の応援団でチアやることになっちゃって。練習がきつかったの」
「へ?」
「組み分け、私は花奏ちゃんと同じ黄組だったでしょう?それで半ば強引に応援団に入ることになっちゃって」
中西花奏は、そもそもは西組。柚鈴と幸は東組なので普段授業での接点はないが、体育祭は特に南組に戦力が偏っ
ているため、東西南北の各組をそれぞれ三等分して、赤組、白組、黄組を作る。
東組は応援合戦に参加する生徒はほとんどいない。だが、花奏は中々積極的に幸を誘ったようだ。
ちなみに柚鈴は白組で一年生では明智さんの同じ組であり、知った顔で大活躍が期待される薫は赤組である。
幸はとほほと肩を竦めた。
「黄組は新体操部の面々が多めに編成されちゃってまして、その人たちがチアのフリを考えてくれてるの。多い方が華やかだからって人数が足りなくなっちゃったみたいで」
「新体操部の振り付けってなんかすごそうだけど」
「一応は初心者でも出来るのパートを割り振ってくれてるんだけど、そもそもリズム感がないからなぁ。足引っ張ってて、焦ってます」
どうやら疲れてるだけでなく、落ち込んでもいるらしい。
少し悲しげな眼差しの幸が落ち込んだ子犬に見えて、柚鈴は応援するように小さくガッツポーズを作ってみせた。
それには幸も微笑んでみせて、少し元気を出したようにみえる。
それが可愛く思えて、応援しかしてあげれないけど頑張れと心からエールを送った。
「柚鈴ちゃんは?体育祭は何するの?」
「え?わ、私は一応借り物競争だけ」
「そうかぁ」
「なんか、大変な思いしてるのにごめんね。…実はせっかくの体育祭だから、ちょっと勿体ない気もしてるんだけど」
「ふふ。分かるよ。私もなんだかそう思っちゃって、応援団に入るの断れなかったんだよ」
中学までは、常葉学園ではなかったのもあり、体育祭はどの生徒も平等に競技に出ていたから、一大イベントだった。
だから今年は、どこか傍観者のような気分である。
遠方から通っている生徒や、寮に入っている生徒も多いためか、体育祭の開催も平日。
もちろん希望する家族が体育祭を見にくるのは自由なようだが、今まで当たり前だと思っていたものとは随分違う気がする。
幸も、親が仕事で海外に行っているため、体育祭には来ないようだし、柚鈴も平日ということで、今回は両親ともに来ないと聞いている。
志奈さんは大学に行かなければならないし、なんとも不思議な体育祭になりそうだ。
そう思いつつ。
ふと入学式でのことが思い出される。
あの時も幸は誰も来ないと思っていたが、そういえば従姉の人が見に来ていたはずだ。
幸が大慌てだったけど今回もそうなってしまうんじゃないだろうか。柚鈴は心配になって聞いてみる。
「従姉さんは、来ないの?」
「来ない、はずだよ。今回は全く伝わってないはずだもの」
幸は神妙に答える。
その様子から、おそらくは来ないように情報を漏らさないことに一生懸命だったのだろう。
しかし、どこか自信がなさそうなのが気になるところではあった。
「あー…体育祭始まったらいたりして」
「…冗談にならないから、やめてぇ」
幸は、それが一番心配なのっと嘆くように体を縮めた。
幸の従姉の春野弥生さんは、やたら写真に熱心な可愛い女の子好きの人だと聞いている。
実際、幸と一緒の時はまだ会ったことがないのだけど、これだけ嫌がると言うなら、一緒にするとどうなるのかちょっと見てみたい気もする。
…ごめん、幸。
よからぬ考えには、心の中でこっそり謝った。
大好きなはずのサクサクコロッケを全く食べ始めようとせず、ぐったりと伏せている。
「幸も随分お疲れたけど、どうしたの?」
柚鈴が不思議に思ってきくと、幸はのろのろと重そうに顔を上げた。
「どうしたも何も、体育祭の応援団でチアやることになっちゃって。練習がきつかったの」
「へ?」
「組み分け、私は花奏ちゃんと同じ黄組だったでしょう?それで半ば強引に応援団に入ることになっちゃって」
中西花奏は、そもそもは西組。柚鈴と幸は東組なので普段授業での接点はないが、体育祭は特に南組に戦力が偏っ
ているため、東西南北の各組をそれぞれ三等分して、赤組、白組、黄組を作る。
東組は応援合戦に参加する生徒はほとんどいない。だが、花奏は中々積極的に幸を誘ったようだ。
ちなみに柚鈴は白組で一年生では明智さんの同じ組であり、知った顔で大活躍が期待される薫は赤組である。
幸はとほほと肩を竦めた。
「黄組は新体操部の面々が多めに編成されちゃってまして、その人たちがチアのフリを考えてくれてるの。多い方が華やかだからって人数が足りなくなっちゃったみたいで」
「新体操部の振り付けってなんかすごそうだけど」
「一応は初心者でも出来るのパートを割り振ってくれてるんだけど、そもそもリズム感がないからなぁ。足引っ張ってて、焦ってます」
どうやら疲れてるだけでなく、落ち込んでもいるらしい。
少し悲しげな眼差しの幸が落ち込んだ子犬に見えて、柚鈴は応援するように小さくガッツポーズを作ってみせた。
それには幸も微笑んでみせて、少し元気を出したようにみえる。
それが可愛く思えて、応援しかしてあげれないけど頑張れと心からエールを送った。
「柚鈴ちゃんは?体育祭は何するの?」
「え?わ、私は一応借り物競争だけ」
「そうかぁ」
「なんか、大変な思いしてるのにごめんね。…実はせっかくの体育祭だから、ちょっと勿体ない気もしてるんだけど」
「ふふ。分かるよ。私もなんだかそう思っちゃって、応援団に入るの断れなかったんだよ」
中学までは、常葉学園ではなかったのもあり、体育祭はどの生徒も平等に競技に出ていたから、一大イベントだった。
だから今年は、どこか傍観者のような気分である。
遠方から通っている生徒や、寮に入っている生徒も多いためか、体育祭の開催も平日。
もちろん希望する家族が体育祭を見にくるのは自由なようだが、今まで当たり前だと思っていたものとは随分違う気がする。
幸も、親が仕事で海外に行っているため、体育祭には来ないようだし、柚鈴も平日ということで、今回は両親ともに来ないと聞いている。
志奈さんは大学に行かなければならないし、なんとも不思議な体育祭になりそうだ。
そう思いつつ。
ふと入学式でのことが思い出される。
あの時も幸は誰も来ないと思っていたが、そういえば従姉の人が見に来ていたはずだ。
幸が大慌てだったけど今回もそうなってしまうんじゃないだろうか。柚鈴は心配になって聞いてみる。
「従姉さんは、来ないの?」
「来ない、はずだよ。今回は全く伝わってないはずだもの」
幸は神妙に答える。
その様子から、おそらくは来ないように情報を漏らさないことに一生懸命だったのだろう。
しかし、どこか自信がなさそうなのが気になるところではあった。
「あー…体育祭始まったらいたりして」
「…冗談にならないから、やめてぇ」
幸は、それが一番心配なのっと嘆くように体を縮めた。
幸の従姉の春野弥生さんは、やたら写真に熱心な可愛い女の子好きの人だと聞いている。
実際、幸と一緒の時はまだ会ったことがないのだけど、これだけ嫌がると言うなら、一緒にするとどうなるのかちょっと見てみたい気もする。
…ごめん、幸。
よからぬ考えには、心の中でこっそり謝った。
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