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第三章 5月‐結
お姉さま、体育祭への準備です 6
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「とりあえず、ごはんが冷めないうちに食べようか」
「そうだね」
気を取り直して。
いただきます、と合唱してようやく食事を始めることにした頃。
「お疲れ、二人とも疲れてるねぇ」
さっき帰って来たのだろうか。学校帰りのジャージ姿のままで薫が二人を見つけて、明るく声を掛けて来た。
日差しが強くなってきたからか、少し日に焼けたような気がする。
体育祭の準備で二人より明らかに動き回っていたはずなのに、曇りのない笑顔が羨ましい。
元々もっているパワーが違うのだから仕方ないかもしれないが。
随分お腹が空いたんだろう。持っている夕食のトレイのご飯はいつもに増して大盛りにしてもらっているのがすぐに分かった。
「お疲れさま、薫」
「お疲れさまー」
二人で声を掛けると、薫はいつも通りに同じテーブルについく。
さっと手を合わせたかと思うと、ご飯とおかずをかき込みながら、話を振ってきた。
「なんかさ、幸。応援団の練習大変そうだったな。一人だけ盆踊りに見えたけど、あれでいいの?」
ニヤリと笑いながら言ってくる様子に、幸は食べかけた手を止めた。
「ひどいっ。薫ひどいっ!」
「いや、あれは盆踊りでしょうよ。周り見てようやくチアだったかと分かるくらい。ある意味芸術的だったけどね。いや、幸のリズム感は流石だわ」
盆踊り。
一体どんな動きなのか想像もつかないが、幸もあながち心当たりがないわけではないらしい。
何か言いかけて、言葉がまとまらないとでも言うように、口をパクパクさせてから、拗ねたようにそっぽを向いた。
「もう~~~!ひどいひどいっ。薫ったら、どこから見てたの?」
「体育祭委員会の補助役みたいなことやってるからねぇ、あちこち動き回ってるときに。ありゃ、本番の仕上がりが楽しみだわ。ちゃんとチアに仕上げるように頑張れよ?あのままじゃ悪目立ち」
「うわ~~~!もう、一生懸命なのに!」
「まあ、一生懸命だったね。だから余計ジタバタして目立つ」
ニヤニヤと話ながらだと言うのに、薫はどんどんと食事を進めていく。
大ショックとばかりに固まりかけた幸と大きな差がついていく。
その様子に柚鈴は少し感心してしまった。
これで何言っているか分からないとか、喉に詰まらせる、とか言うこともないのだから、多少行儀は悪いが要領は良い。ちゃんと噛んではいないだろうけども。
でもさ、と薫は思い出したように言った。
「つきっきりで2年生に教わってたじゃない。随分仲よさそうに見えたけど?」
「う?川合先輩かなあ?新体操部の人。私が不器用だから親切で」
「お姉さまでも出来たのかと思ったよ」
薫の言いように、幸はきょとん、としてから首を振った。
「まさかぁ。足引っ張ってて申し訳ない限りなんだよ」
「助言者ってそういうもんなんじゃないの?」
「そうなのかも知れないけど…」
幸は言葉に詰まってから、少し考え込んだ。
川合先輩、という人のことを思い出してるのだろうか。
右上を見て、それから左上を見て。それから正面を見て首を傾げている。
「でも、なんか違うかなあ。なんとなくだけど」
その様子に薫は手を止めた。そして何か言いたげに柚鈴に目線を寄越す。思わず言いたいことが分かってしまい、曖昧に笑うと、薫は苦笑して幸に目線を戻した。
「…幸、今誰かと比べたんじゃない?」
「え!?」
「川合先輩と誰か。ちょっと分かりやすすぎ…」
「そ、そんなことないよ!」
幸は大きく首を振るが、その様子がなんだかわざとらしくさえ思えるぐらい大きい。
素直すぎる程に顔に出る幸は相変わらずなんだか可愛らしい。
とは言え、動揺しまくっている幸が少し可哀想にも思えて、柚鈴は助け船のつもりで、薫に話を振った。
「そうだね」
気を取り直して。
いただきます、と合唱してようやく食事を始めることにした頃。
「お疲れ、二人とも疲れてるねぇ」
さっき帰って来たのだろうか。学校帰りのジャージ姿のままで薫が二人を見つけて、明るく声を掛けて来た。
日差しが強くなってきたからか、少し日に焼けたような気がする。
体育祭の準備で二人より明らかに動き回っていたはずなのに、曇りのない笑顔が羨ましい。
元々もっているパワーが違うのだから仕方ないかもしれないが。
随分お腹が空いたんだろう。持っている夕食のトレイのご飯はいつもに増して大盛りにしてもらっているのがすぐに分かった。
「お疲れさま、薫」
「お疲れさまー」
二人で声を掛けると、薫はいつも通りに同じテーブルについく。
さっと手を合わせたかと思うと、ご飯とおかずをかき込みながら、話を振ってきた。
「なんかさ、幸。応援団の練習大変そうだったな。一人だけ盆踊りに見えたけど、あれでいいの?」
ニヤリと笑いながら言ってくる様子に、幸は食べかけた手を止めた。
「ひどいっ。薫ひどいっ!」
「いや、あれは盆踊りでしょうよ。周り見てようやくチアだったかと分かるくらい。ある意味芸術的だったけどね。いや、幸のリズム感は流石だわ」
盆踊り。
一体どんな動きなのか想像もつかないが、幸もあながち心当たりがないわけではないらしい。
何か言いかけて、言葉がまとまらないとでも言うように、口をパクパクさせてから、拗ねたようにそっぽを向いた。
「もう~~~!ひどいひどいっ。薫ったら、どこから見てたの?」
「体育祭委員会の補助役みたいなことやってるからねぇ、あちこち動き回ってるときに。ありゃ、本番の仕上がりが楽しみだわ。ちゃんとチアに仕上げるように頑張れよ?あのままじゃ悪目立ち」
「うわ~~~!もう、一生懸命なのに!」
「まあ、一生懸命だったね。だから余計ジタバタして目立つ」
ニヤニヤと話ながらだと言うのに、薫はどんどんと食事を進めていく。
大ショックとばかりに固まりかけた幸と大きな差がついていく。
その様子に柚鈴は少し感心してしまった。
これで何言っているか分からないとか、喉に詰まらせる、とか言うこともないのだから、多少行儀は悪いが要領は良い。ちゃんと噛んではいないだろうけども。
でもさ、と薫は思い出したように言った。
「つきっきりで2年生に教わってたじゃない。随分仲よさそうに見えたけど?」
「う?川合先輩かなあ?新体操部の人。私が不器用だから親切で」
「お姉さまでも出来たのかと思ったよ」
薫の言いように、幸はきょとん、としてから首を振った。
「まさかぁ。足引っ張ってて申し訳ない限りなんだよ」
「助言者ってそういうもんなんじゃないの?」
「そうなのかも知れないけど…」
幸は言葉に詰まってから、少し考え込んだ。
川合先輩、という人のことを思い出してるのだろうか。
右上を見て、それから左上を見て。それから正面を見て首を傾げている。
「でも、なんか違うかなあ。なんとなくだけど」
その様子に薫は手を止めた。そして何か言いたげに柚鈴に目線を寄越す。思わず言いたいことが分かってしまい、曖昧に笑うと、薫は苦笑して幸に目線を戻した。
「…幸、今誰かと比べたんじゃない?」
「え!?」
「川合先輩と誰か。ちょっと分かりやすすぎ…」
「そ、そんなことないよ!」
幸は大きく首を振るが、その様子がなんだかわざとらしくさえ思えるぐらい大きい。
素直すぎる程に顔に出る幸は相変わらずなんだか可愛らしい。
とは言え、動揺しまくっている幸が少し可哀想にも思えて、柚鈴は助け船のつもりで、薫に話を振った。
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