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第三章 5月‐結
お姉さま、借り物競争はご一緒に 4
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ゴールしてしまうと、少し落ち着いたからか、志奈に言ってやりたいことが山ほど出てきた。
今日は来ないんじゃなかったんですか。
そもそも大学はどうしたんですか。
来るなら一言くらい何か言ってくれればいいじゃかいんですか。
いつから居たんですか、等々。
だがそれらを口にする前に、ゴールに到着した2人は体育祭実行委員によって誘導されることになった。
「ゴールおめでとうございます。写真部による記念撮影がありますのでこちらです」
「き、記念撮影?」
「はい」
「さあ、行きましょう。柚鈴ちゃん」
驚く柚鈴に、当然のように受け入れる志奈さん。
そんなことは競技説明では言ってなかったはずなのに、見れば当然のようにゴールをすませた人達が順に写真を撮ってもらっている。
これも実は毎年恒例なんだろうか。
あれよあれよの間に、ゴールから少し離れた場所のスペースで、写真部部員のカメラの前に立たされた。
体育祭実行委員も、写真部の生徒も、志奈さんに何か聞きたそうな目線を送っているが、それぞれの役割があるからだろう。そわそわした雰囲気だけで我慢している。
志奈さんだけは、特に気にした様子もなく、にこやかに柚鈴の隣で笑っている。
…き、気まずい。
様々な視線を受けてぎこちない態度で、言われるがままぶに写真を撮ってもらうと、別の生徒が待ち構えたように話しかけてきた。
ただし、柚鈴にではなく志奈さんに。
「志奈様、すみません。放送部です。この後、借り物競争のインタビューを受けて頂けますか?」
生徒のジャージの色は青。どうやら二年生らしい。放送部といえば体育祭の進行にアナウンスなどで一役買っている。
緊張した面持ちでアポを取り付けにきた上級生に、柚鈴の表情はこわばった。
ここでも志奈様…?借り物競争のインタビューってなに?まさかアナウンスするの?
心の中が大騒ぎだ。志奈さんはふわりと笑った。
「ごきげんよう」
当然のように挨拶から始める志奈さんに、柚鈴はずっこけそうになるが、放送部の先輩の方は違う。
慌てて姿勢を正してから。
「ご、ごきげんよう」
と挨拶から始めなおすのだから、空いた口が塞がらない。
慌てず、動じず。慣れているからなのだろうか、志奈さんは全く動じない。
隣にいるだけで、そわそわしてしまう方がおかしいのだろうか。
志奈さんはそんな柚鈴をちらりと見て、困ったように笑った。
「どうしようかしら。私はもう単なる卒業生なわけだし」
断りたそうな志奈さんの返事を後押しするように、放送部の先輩には気づかれないように小さく何度も頭を縦に振って見せるが、相手は素早く言葉を繋いだ。
「ですが!もうすでに体育祭では一番の盛り上がりになってます。逆に何かお話して頂いた方が良いと思います」
「そうなの?」
「でなければ、志奈様にも相手の方にも、人が殺到すると思います」
…それは、嫌だ。
言ってみれば志奈さんを引き込んだのは、柚鈴の方なのだが、人が殺到するのは正直に嫌だ。
あからさまに嫌そうな顔をしたのが分かったのだろう。志奈さんは苦笑して首を傾げた。
それでも結論を出すには迷うらしく、そのまま考え込むように沈黙する。
しかし周りを見渡せば、確かに痛いくらいの視線を感じるわけだ。
柚鈴自身も、志奈さんとの関係を知らなかった人達にこのまま知らぬ顔で通せるとは思えなかった。
志奈さんがもう一度、柚鈴に視線を送ったのに気づいて、流石に柚鈴も理解した。
本当はインタビューに答えてもいいと思っているのだろう。
だが柚鈴の嫌がることをしたくない。そんなことを言いたげな顔をしている。
…志奈さんでも気にすることはあるのか。
少々意外ではあったが、柚鈴は観念して肩を竦めてみせた。
今日は来ないんじゃなかったんですか。
そもそも大学はどうしたんですか。
来るなら一言くらい何か言ってくれればいいじゃかいんですか。
いつから居たんですか、等々。
だがそれらを口にする前に、ゴールに到着した2人は体育祭実行委員によって誘導されることになった。
「ゴールおめでとうございます。写真部による記念撮影がありますのでこちらです」
「き、記念撮影?」
「はい」
「さあ、行きましょう。柚鈴ちゃん」
驚く柚鈴に、当然のように受け入れる志奈さん。
そんなことは競技説明では言ってなかったはずなのに、見れば当然のようにゴールをすませた人達が順に写真を撮ってもらっている。
これも実は毎年恒例なんだろうか。
あれよあれよの間に、ゴールから少し離れた場所のスペースで、写真部部員のカメラの前に立たされた。
体育祭実行委員も、写真部の生徒も、志奈さんに何か聞きたそうな目線を送っているが、それぞれの役割があるからだろう。そわそわした雰囲気だけで我慢している。
志奈さんだけは、特に気にした様子もなく、にこやかに柚鈴の隣で笑っている。
…き、気まずい。
様々な視線を受けてぎこちない態度で、言われるがままぶに写真を撮ってもらうと、別の生徒が待ち構えたように話しかけてきた。
ただし、柚鈴にではなく志奈さんに。
「志奈様、すみません。放送部です。この後、借り物競争のインタビューを受けて頂けますか?」
生徒のジャージの色は青。どうやら二年生らしい。放送部といえば体育祭の進行にアナウンスなどで一役買っている。
緊張した面持ちでアポを取り付けにきた上級生に、柚鈴の表情はこわばった。
ここでも志奈様…?借り物競争のインタビューってなに?まさかアナウンスするの?
心の中が大騒ぎだ。志奈さんはふわりと笑った。
「ごきげんよう」
当然のように挨拶から始める志奈さんに、柚鈴はずっこけそうになるが、放送部の先輩の方は違う。
慌てて姿勢を正してから。
「ご、ごきげんよう」
と挨拶から始めなおすのだから、空いた口が塞がらない。
慌てず、動じず。慣れているからなのだろうか、志奈さんは全く動じない。
隣にいるだけで、そわそわしてしまう方がおかしいのだろうか。
志奈さんはそんな柚鈴をちらりと見て、困ったように笑った。
「どうしようかしら。私はもう単なる卒業生なわけだし」
断りたそうな志奈さんの返事を後押しするように、放送部の先輩には気づかれないように小さく何度も頭を縦に振って見せるが、相手は素早く言葉を繋いだ。
「ですが!もうすでに体育祭では一番の盛り上がりになってます。逆に何かお話して頂いた方が良いと思います」
「そうなの?」
「でなければ、志奈様にも相手の方にも、人が殺到すると思います」
…それは、嫌だ。
言ってみれば志奈さんを引き込んだのは、柚鈴の方なのだが、人が殺到するのは正直に嫌だ。
あからさまに嫌そうな顔をしたのが分かったのだろう。志奈さんは苦笑して首を傾げた。
それでも結論を出すには迷うらしく、そのまま考え込むように沈黙する。
しかし周りを見渡せば、確かに痛いくらいの視線を感じるわけだ。
柚鈴自身も、志奈さんとの関係を知らなかった人達にこのまま知らぬ顔で通せるとは思えなかった。
志奈さんがもう一度、柚鈴に視線を送ったのに気づいて、流石に柚鈴も理解した。
本当はインタビューに答えてもいいと思っているのだろう。
だが柚鈴の嫌がることをしたくない。そんなことを言いたげな顔をしている。
…志奈さんでも気にすることはあるのか。
少々意外ではあったが、柚鈴は観念して肩を竦めてみせた。
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