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第三章 5月‐結
お姉さま、勝負です! 9 ~姉は強欲に~
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勝負がついたのを見届けて。
「あらら。勝負に勝っちゃったみたい」
志奈は小首を傾げてから、満面の笑みになってから、ふふっと笑った。
その後機嫌ぶりは、まるで幼い子供が、ずっと欲しかったおもちゃを手に入れたような顔だ。
「…お願い事はお手柔らかに、してあげてくださいね。それでは私は仕事がありますので」
凛子は苦笑してから一言を断りをいれて立ち去った。
生徒会会長として閉会式に向かうのだろう。
凛子に手を振って見送った後も、ずっと口元を緩めている。
見えない花が彼女から咲き誇ってるように、なんともいえない華やかな空気が漂っている。
「結局、今回も志奈の思う通りになったわけね」
やれやれ真美子が冷めきった声で言うと、志奈は意外とばかりに目を見開いた。
「私は負けても良かったのよ?柚鈴ちゃんがどんなお願いごとをしてくれるか楽しみだったもの」
「あら。ならお願いごとはしないであげるの?」
「それとこれとは別よ。柚鈴ちゃんにお願いごとをしていい権利を得ておいて、それを行使しないなんてないわ」
あっさりきっぱりと、志奈は否定する。
目はいつもにましてキラキラ輝いている。
既にお願いごとの内容を妄想し始めてるのかもしれない、と真美子は思った。
出来たばかりの姉妹を堪能することが、今では一番の生きがいである、と言わんばかりの志奈のことだ。
それはそれは熱心に考えることだろう。
この小鳥遊志奈と言う人物を、義妹になってしまった柚鈴が盲信している様子はない。
どちらかというと真美子自身と同じような感覚を持っているような気がする。
「柚鈴さんも可哀想に…」
思わず真美子の口から洩れた本音も、志奈には特には気にならないようだった。
堂々と胸を張って、返事を返す。
「この強欲な姉を当然と思うようになってからが本当の姉妹よ」
強欲、と。まるきり聞き逃しがたい単語を、当たり前のように使ってくる友人に、ポーカーフェイスの真美子も思わず顔が引き攣ってしまう。
「…どうしてあなたって、そんなに前向きなのかしら」
「健全だからじゃないかしら?」
いけしゃあしゃあと、という言葉がこれ以上なくお似合いな態度だった。
「その柚鈴さんは、今頃どんなお願いごとをされるか、戦々恐々としているわよ」
「ふふふ」
どこまでも楽しそうな志奈を見て、これ以上言っても仕方ないかと、真美子は諦めた。
外野で色々いっても志奈は止まらないだろう。
不当な主張であれば真美子も止めようがあるが、柚鈴自身が納得して受けた勝負であれば、どうしようもない気がする。
そして志奈も、叶えられないお願いごとはしないだろう。お願いしなければしてもらえないが、どちらかと言えばささやかなものにするはずだ。
姉妹としての関係を時間をかけて築き上げることにも、情熱を燃やしているのだから。
そんな中に選んだお願いに真美子が口を挟めるとは思えなかった。
真っ当なものと、いえないこともないのだから。
不当、と言えば。
思い出して真美子は、志奈とその隣で二人の会話を黙って面白そうに聞いていた紫乃舞に目をやった。
「それにしても、そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?どうやって今日の午後の講義、中止にしたのかしら」
その質問には、流石に志奈は少し疚しいのだろう。肩を竦めてすぐに返答した。
「あら、だから私は本当に知らないのよ。真美子に怒られるようなことはしないっていったじゃない」
ここに来るまでに何度も繰り返された答えを口にする。
確かに志奈は知らないのだろう。何かを真美子に隠れてこそこそしたりはしない。
やる時は止めたとしても堂々と行うのだ。
だが思い当たる節がないとは思えなかった。
今日、大学に行ってみれば休講を知らされて、目を輝かせた志奈にさあ体育祭に行きましょうと連れられて高等部に来たのだから。
志奈が知らないのは、実際どのように休みにしたのか、という点だけだろうと判断して、真美子はもう一方を見た。
「あらら。勝負に勝っちゃったみたい」
志奈は小首を傾げてから、満面の笑みになってから、ふふっと笑った。
その後機嫌ぶりは、まるで幼い子供が、ずっと欲しかったおもちゃを手に入れたような顔だ。
「…お願い事はお手柔らかに、してあげてくださいね。それでは私は仕事がありますので」
凛子は苦笑してから一言を断りをいれて立ち去った。
生徒会会長として閉会式に向かうのだろう。
凛子に手を振って見送った後も、ずっと口元を緩めている。
見えない花が彼女から咲き誇ってるように、なんともいえない華やかな空気が漂っている。
「結局、今回も志奈の思う通りになったわけね」
やれやれ真美子が冷めきった声で言うと、志奈は意外とばかりに目を見開いた。
「私は負けても良かったのよ?柚鈴ちゃんがどんなお願いごとをしてくれるか楽しみだったもの」
「あら。ならお願いごとはしないであげるの?」
「それとこれとは別よ。柚鈴ちゃんにお願いごとをしていい権利を得ておいて、それを行使しないなんてないわ」
あっさりきっぱりと、志奈は否定する。
目はいつもにましてキラキラ輝いている。
既にお願いごとの内容を妄想し始めてるのかもしれない、と真美子は思った。
出来たばかりの姉妹を堪能することが、今では一番の生きがいである、と言わんばかりの志奈のことだ。
それはそれは熱心に考えることだろう。
この小鳥遊志奈と言う人物を、義妹になってしまった柚鈴が盲信している様子はない。
どちらかというと真美子自身と同じような感覚を持っているような気がする。
「柚鈴さんも可哀想に…」
思わず真美子の口から洩れた本音も、志奈には特には気にならないようだった。
堂々と胸を張って、返事を返す。
「この強欲な姉を当然と思うようになってからが本当の姉妹よ」
強欲、と。まるきり聞き逃しがたい単語を、当たり前のように使ってくる友人に、ポーカーフェイスの真美子も思わず顔が引き攣ってしまう。
「…どうしてあなたって、そんなに前向きなのかしら」
「健全だからじゃないかしら?」
いけしゃあしゃあと、という言葉がこれ以上なくお似合いな態度だった。
「その柚鈴さんは、今頃どんなお願いごとをされるか、戦々恐々としているわよ」
「ふふふ」
どこまでも楽しそうな志奈を見て、これ以上言っても仕方ないかと、真美子は諦めた。
外野で色々いっても志奈は止まらないだろう。
不当な主張であれば真美子も止めようがあるが、柚鈴自身が納得して受けた勝負であれば、どうしようもない気がする。
そして志奈も、叶えられないお願いごとはしないだろう。お願いしなければしてもらえないが、どちらかと言えばささやかなものにするはずだ。
姉妹としての関係を時間をかけて築き上げることにも、情熱を燃やしているのだから。
そんな中に選んだお願いに真美子が口を挟めるとは思えなかった。
真っ当なものと、いえないこともないのだから。
不当、と言えば。
思い出して真美子は、志奈とその隣で二人の会話を黙って面白そうに聞いていた紫乃舞に目をやった。
「それにしても、そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?どうやって今日の午後の講義、中止にしたのかしら」
その質問には、流石に志奈は少し疚しいのだろう。肩を竦めてすぐに返答した。
「あら、だから私は本当に知らないのよ。真美子に怒られるようなことはしないっていったじゃない」
ここに来るまでに何度も繰り返された答えを口にする。
確かに志奈は知らないのだろう。何かを真美子に隠れてこそこそしたりはしない。
やる時は止めたとしても堂々と行うのだ。
だが思い当たる節がないとは思えなかった。
今日、大学に行ってみれば休講を知らされて、目を輝かせた志奈にさあ体育祭に行きましょうと連れられて高等部に来たのだから。
志奈が知らないのは、実際どのように休みにしたのか、という点だけだろうと判断して、真美子はもう一方を見た。
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