拝啓、お姉さまへ

一華

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第四章 6月

お姉さま、予想外です! 6

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放課後になるまでは、妙に長く感じた。
予想通り、というべきか。
休み時間にも顔を出してきた先輩がいたし、昼休みにもお誘いにきた方がいたらしい。
幸いだったのが、東組のほとんどの生徒が外部入学の生徒のため、柚鈴の義姉である小鳥遊志奈さんのことを体育祭で初めて知った生徒が多かったことだ。
そのため確かに綺麗な人ではあったけれども、だからといって柚鈴が注目される理由が分からないという様子であった。

しかも親同士の再婚で出来たばかりの姉だから、どちらかといえば急に持ち上がったような騒動に関して同情的で、休み時間の短い訪問程度なら、「小鳥遊さん?先生の手伝いに行きましたけど」などと、とぼけた対応などで柚鈴をかくまってくれたのだ。
どちらかと言えば冷静な東組の生徒だからかもしれない。
何にしろ、柚鈴はクラスメイトに守られる形になった。

お昼休みとなると、幸と共に、午後イチの授業の移動先である特別教室へすぐに向かい、先生の許可を得てそこで昼食をさせてもらった。
そうして放課後まで難を逃れた後は、幸と元々生徒会室に向かう予定だった絵里との3人で、教室を脱出したのだ。

絵里は生徒会室に向かうのが、凛子先輩から呼ばれたからだと聞くと、不思議そうに首を傾げてから確認した。
「幸さんが長谷川生徒会長に呼ばれたの?」
「うん。なんだかお手伝いがあるって」
「手伝い…?人数が必要なことなんてあったかしら」

絵里はそういいつつも2人を先導してくれる。
生徒会室のある同窓会館は、校舎から繋がっていないので一度靴に履き替えてから行くことになる。
他の建物よりも扉や内装が豪華な作りをしているため、生徒会室に用のない二人は、存在はしってても立ち入ったことはなかった。
無闇に入っていい場所にも思えず、正直敷居は高い。

「絵里ちゃんは今日はどんな御用があるの?」
少し緊張した様子で、そわそわとしつつ幸は尋ねた。
「特には。用がなくても私は顔を出したりするのよ。色々雑務があったりもするし」
「雑務?」
「同窓会メンバーがいらっしゃれば、お茶出しもするし、生徒会で決め事があったりすれば手伝いをするのよ」
「お茶出し…」
柚鈴と幸は顔を見合わせた。
まさしく雑務だ。
わざわざ生徒会室に行ってお茶出しをしなければならないとは。
「同窓会会長は中々マナーに厳しいから、3年生しか対応しないけれど、それ以外の方は」
「同窓会会長ってどんな人?」
「品のある方よ。ご高齢ではあるけれど、細やかなことにも目が届いて、OGを完全に纏めているわね」
「…厳しいの?」
「優しいは優しいのだけど」
何か言いにくそうに絵里は言葉を濁した。
志奈さんが高等部在学中一目置かれていた理由の一つが、同窓会会長をことだという話だったし、一筋縄でいく人ではないのだろう。
「そんなにいらっしゃるわけでもないし、気はにしなくてもいいと思うけど」
付け足した言葉も、多少引っかかるものがあるが、柚鈴はそれ以上聞かないことにした。

間もなく見えてきた同窓会館は黒煉瓦の建物だ。
対照的に入口となる真っ白な扉は定期的に塗りなおしているのだろう、まるで新品のようで、金色のドアノブだけは少しくすんでいて、それが妙に重厚感があるように思えた。

なんとなく緊張する柚鈴と幸の様子に気付かないように、絵里は迷うことなく扉を開けた。
生徒会室は会館の一階。入り口から少し歩くと左手に階段があり、右手が生徒会室の扉がある。
階段を上ると同窓会メンバーの使用する部屋があるはずだから、同窓会の方々は生徒会室前を通らなければならないということになる。
絵里はおそらくいつも通り、ドアをノックしてから開けた。
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