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第四章 6月
お姉さま、予想外です! 12
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先に口を開いたのは山下先輩だった。
「和。あなた、柚鈴さんに関わりたいだけ、でしょう?」
「え?」
「そうして柚鈴さんを生徒会に取り込んでおけば、自然と他の生徒を出し抜いて、柚鈴さんや小鳥遊志奈先輩にお近づきになれるとか思っていない?」
「それは思うわよ。当然でしょう?」
楢崎先輩はまるで悪びれずに言った。
「生徒会に所属していて、そこで少しでも楽しいイベント事を求めるのは当然でしょう。昨年のカリスマ的な人気を誇る小鳥遊志奈先輩と個人的に親しくなれるなんて機会見逃すわけがないわ。それくらいのことを求めていなければ、そもそも生徒会なんて面倒引き受けないわよ」
山下先輩はそれを聞いて思い切り呆れたような顔を見せた。
言葉はなかったが、その表情に楢崎先輩は拗ねたように一度口を尖らせた。
「もう、酷いわ。名案だと思うけれど。絵里ちゃんは私の案についてはどう思うの?」
問われて。絵里は幸を見てから、ふっと笑った。
「私は生徒会手伝いですから。いかなる形でも最良になるようにどんな手伝いでもします。それが幸さんのプラスになるのであれば尚良いのですけど、それは幸さん次第かも知れません」
その答えに、楢崎先輩は幸を見た。
「じゃあ幸さんはどう思うの?
「ええと…近くにえ…明智さんと小鳥遊さんがいると思うと、正直助かります」
「じゃあ、この条件なら生徒会を台本担当として演出して、手伝ってもいい、と言うことね」
「じ、自信はないのですけど。確かに楢崎先輩の言う通りです。私、頑張れるところは頑張って、ちゃんと前に進みたいので、機会がいただけるのなら、お断りすることはありません」
幸は迷いながらもどこか真っ直ぐだった。
「そうよねぇ」
楢崎先輩は満足げに笑って、最後に柚鈴を見た。
「柚鈴さんは?」
その笑みに、同意を促されている圧力のようなものを感じつつ、周りを一度見回して、皆が自分の意見を待っていることに気付いて、考えを纏めつつ答えた。
「春野さんの手伝いはさせてほしいとは思います」
まずここははっきりさせておく。
柚鈴が生徒会を手伝うことが、幸の役に立つというのなら断る理由はない。
しかも幸は頑張りたいというのだから、できれば応援したい。
ただ、そのための手段についても、一緒にまるっと受けるわけにはいかなかった。
「ただ生徒会のバッチってそんなに簡単にもらえるものなんでしょうか?文化祭を手伝うから、とか、もしかしてそういうものではないんじゃないですか?文化祭の後はどうするのか、とかもありますし」
「冷静で素晴らしいわね」
凛子先輩は、柚鈴の答えに頷いた。
「生徒会のバッチを渡せば確かに柚鈴さんの助言者問題に関しては、一先ず解決するでしょう。でもあくまでもそれは生徒会の構成する一員になるということで与えられた、特別免除のようなものだもの。恩恵をうければ、責任も付きまとう。そうね。最低1年間の生徒会手伝いとしての従事が必要になると思ってもらってもいいと思う」
「それに小鳥遊志奈さんの義妹なんて存在が、生徒会にいたら、同窓会会長が放ってはおかないでしょうよ」
山下先輩も凛子先輩に同意するように口を挟んだ。
「専用のお茶係りにして、礼儀作法を厳しくチェックされたりして。案外助言者よりもべったりになるかもよ」
脅すような言い方に、柚鈴は少々引き腰になった。
「…そ、そんなに厳しい人なんですか?」
「ことマナーに関してはね。いまの代では、これでも和がその辺りはそつがない方だから、主担当だけど」
「はあい。それでもたまに注意されてしまいます」
にっこり笑って楢崎先輩は微笑んだ。
「この子はこの通り、心臓が強いからめげないけど、普通はめげるわ。お勧めはしないわねえ」
笑顔が怖い。
つまり、生徒会のバッチを受け取るということはそれだけ責任があるということなのか。
それとも安易に巻き込まれないよう警告してくれてるのか。
どちらにしろ、なんだか恐ろしかった。
「和。あなた、柚鈴さんに関わりたいだけ、でしょう?」
「え?」
「そうして柚鈴さんを生徒会に取り込んでおけば、自然と他の生徒を出し抜いて、柚鈴さんや小鳥遊志奈先輩にお近づきになれるとか思っていない?」
「それは思うわよ。当然でしょう?」
楢崎先輩はまるで悪びれずに言った。
「生徒会に所属していて、そこで少しでも楽しいイベント事を求めるのは当然でしょう。昨年のカリスマ的な人気を誇る小鳥遊志奈先輩と個人的に親しくなれるなんて機会見逃すわけがないわ。それくらいのことを求めていなければ、そもそも生徒会なんて面倒引き受けないわよ」
山下先輩はそれを聞いて思い切り呆れたような顔を見せた。
言葉はなかったが、その表情に楢崎先輩は拗ねたように一度口を尖らせた。
「もう、酷いわ。名案だと思うけれど。絵里ちゃんは私の案についてはどう思うの?」
問われて。絵里は幸を見てから、ふっと笑った。
「私は生徒会手伝いですから。いかなる形でも最良になるようにどんな手伝いでもします。それが幸さんのプラスになるのであれば尚良いのですけど、それは幸さん次第かも知れません」
その答えに、楢崎先輩は幸を見た。
「じゃあ幸さんはどう思うの?
「ええと…近くにえ…明智さんと小鳥遊さんがいると思うと、正直助かります」
「じゃあ、この条件なら生徒会を台本担当として演出して、手伝ってもいい、と言うことね」
「じ、自信はないのですけど。確かに楢崎先輩の言う通りです。私、頑張れるところは頑張って、ちゃんと前に進みたいので、機会がいただけるのなら、お断りすることはありません」
幸は迷いながらもどこか真っ直ぐだった。
「そうよねぇ」
楢崎先輩は満足げに笑って、最後に柚鈴を見た。
「柚鈴さんは?」
その笑みに、同意を促されている圧力のようなものを感じつつ、周りを一度見回して、皆が自分の意見を待っていることに気付いて、考えを纏めつつ答えた。
「春野さんの手伝いはさせてほしいとは思います」
まずここははっきりさせておく。
柚鈴が生徒会を手伝うことが、幸の役に立つというのなら断る理由はない。
しかも幸は頑張りたいというのだから、できれば応援したい。
ただ、そのための手段についても、一緒にまるっと受けるわけにはいかなかった。
「ただ生徒会のバッチってそんなに簡単にもらえるものなんでしょうか?文化祭を手伝うから、とか、もしかしてそういうものではないんじゃないですか?文化祭の後はどうするのか、とかもありますし」
「冷静で素晴らしいわね」
凛子先輩は、柚鈴の答えに頷いた。
「生徒会のバッチを渡せば確かに柚鈴さんの助言者問題に関しては、一先ず解決するでしょう。でもあくまでもそれは生徒会の構成する一員になるということで与えられた、特別免除のようなものだもの。恩恵をうければ、責任も付きまとう。そうね。最低1年間の生徒会手伝いとしての従事が必要になると思ってもらってもいいと思う」
「それに小鳥遊志奈さんの義妹なんて存在が、生徒会にいたら、同窓会会長が放ってはおかないでしょうよ」
山下先輩も凛子先輩に同意するように口を挟んだ。
「専用のお茶係りにして、礼儀作法を厳しくチェックされたりして。案外助言者よりもべったりになるかもよ」
脅すような言い方に、柚鈴は少々引き腰になった。
「…そ、そんなに厳しい人なんですか?」
「ことマナーに関してはね。いまの代では、これでも和がその辺りはそつがない方だから、主担当だけど」
「はあい。それでもたまに注意されてしまいます」
にっこり笑って楢崎先輩は微笑んだ。
「この子はこの通り、心臓が強いからめげないけど、普通はめげるわ。お勧めはしないわねえ」
笑顔が怖い。
つまり、生徒会のバッチを受け取るということはそれだけ責任があるということなのか。
それとも安易に巻き込まれないよう警告してくれてるのか。
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