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チャプター【033】
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闇が広がっている。
黒雲に被われた世界は、夜ともなれば漆黒の闇に包まれる。
時おり瞬く閃光が、一瞬、荒れ果てた光景を浮かび上がらせるだけだ。
そんな中でも、蝶子の足取りに揺るぎはない。
暗視スコープ並みの視力を持つ蝶子にとって、闇は、なんら往くてを阻むものではない。
雨は降っていない。
瓦礫を避け、コンクリートの塊を乗り越え進んでいく。
しばらく行くと、前方に灯りが見えた。
焚火を燃やす炎のようだ。
その炎に向かって、蝶子は歩いていく。
炎に近づいていくにつれ、その炎の向こうに複数の人影が見てとれた。
さらに近づくと、その人影の声が聴こえてきた。
男の声。
男は3人いた。
その声に、女の声が交じる。
それは、脅えながら助けを乞う声だ。
「そんなに恐がることはねえだろう? 異形人じゃあるまいし、なにもおめえを喰おうってわけじゃねえんだからよ」
ひとりの男の声に、他の男の下卑た嗤い声があがる。
その男は、薄汚れたミンクの毛皮を着ていた。
「そうさ。俺たちは、おめえを可愛がってやろうとしているだけなんだからよ。それともなにか? 異形人に犯されながら、喰われたほうがいいって言うのか?」
そう言った男は、茶系のダウンジャケットを着ている。
最後の男は、着ている黒のジャンパーのファスナーを開けると、
「俺はもう、我慢できねえよ」
そう言うなり、穿いているズボンと下着を一気にずり下げた。
露出したその男の股間のものは、すでにいきり立っている。
それを女の顔へと近づけていく。
その女は、うしろ手に縛られているようだった。
「なあ、俺は口でいいから、咥えてくれよ」
女は顔を背ける。そうはさせまいと、毛皮を着た男が女の髪を鷲づかみにし、無理やり露出した男根に近づけさせようとした。
女は眼をきつく閉じ、首をふろうとするが、髪を摑まれているためにそれができなかった。
女の唇に男根が触れる。
ジャンパーの男は興奮しているらしく、男根の先端からは、精液ではない透明な体液があふれ出していた。
「口を開(ひら)けよ」
女は唇を固く閉ざし、なんとか抵抗をみせている。
その唇に、男根からあふれた体液が付着し、糸を引いた。
「おい、ほら、口を開けって」
毛皮の男が、もう片方の手で女の両頬を掴み、強引に口を開けさせようとした。
女はあらがうが、男の力には勝てずに口を開かされた。
「咬むなよ」
いきり立った男根が、ゆっくりと女の唇に入りこんでいく。
「おおう……」
ジャンパーの男は、喜悦の声を洩らした。
「おお、いいぞ。たまらん……。もっと舌を使え。おう、そうだ」
男の顔には、快い悦びにとろけてしまいそうな表情が浮かんでいる。
ダウンジャケットの男は、その光景をにやにやと眺めている。
と、そこへ、
「ずいぶんと、楽しそうだな」
とつぜん背後から聴こえてきた声に、ダウンジャケットの男がハッとしてふり返った。
蝶子がそこに立っていた。
「な、なんだ、おめえは!」
仲間のその声に、毛皮を着た男が顔を向ける。
「おう、これはまた、べっぴんなおねえちゃんのお出ましじゃねえか」
男は立ち上がって蝶子を見つめた。
女に男根を咥えさせている男は、とつぜん現れた珍客には眼もくれず、自分の悦楽に陶酔しきっている。
「いいねえ、そのコスプレ。おねえちゃんはそういう趣味かい? 俺と趣味が合うぜ。そういうの好きだぜ」
「女王様、悪いボクをぶってえ」
ふたりの口許に下卑た笑み浮かぶ。
「こっちに来なよ。一緒に楽しもうじゃねえか」
毛皮の男が蝶子を手招きした。
「いやあ、これはまた、いい女だあ。その胸もたまんないねえ」
ダウンジャケットの男が、舌なめずりをしながら蝶子に近づいていく。
「こんなところにいたら寒いだろう? 焚火の周りは温まるぜ。なあに、異形人なら心配はいらねえ。もしやって来たとしても、俺たちが返り討ちにしてやるからよ」
ダウンジャケットの男は、蝶子の肩に手を置いた。
黒雲に被われた世界は、夜ともなれば漆黒の闇に包まれる。
時おり瞬く閃光が、一瞬、荒れ果てた光景を浮かび上がらせるだけだ。
そんな中でも、蝶子の足取りに揺るぎはない。
暗視スコープ並みの視力を持つ蝶子にとって、闇は、なんら往くてを阻むものではない。
雨は降っていない。
瓦礫を避け、コンクリートの塊を乗り越え進んでいく。
しばらく行くと、前方に灯りが見えた。
焚火を燃やす炎のようだ。
その炎に向かって、蝶子は歩いていく。
炎に近づいていくにつれ、その炎の向こうに複数の人影が見てとれた。
さらに近づくと、その人影の声が聴こえてきた。
男の声。
男は3人いた。
その声に、女の声が交じる。
それは、脅えながら助けを乞う声だ。
「そんなに恐がることはねえだろう? 異形人じゃあるまいし、なにもおめえを喰おうってわけじゃねえんだからよ」
ひとりの男の声に、他の男の下卑た嗤い声があがる。
その男は、薄汚れたミンクの毛皮を着ていた。
「そうさ。俺たちは、おめえを可愛がってやろうとしているだけなんだからよ。それともなにか? 異形人に犯されながら、喰われたほうがいいって言うのか?」
そう言った男は、茶系のダウンジャケットを着ている。
最後の男は、着ている黒のジャンパーのファスナーを開けると、
「俺はもう、我慢できねえよ」
そう言うなり、穿いているズボンと下着を一気にずり下げた。
露出したその男の股間のものは、すでにいきり立っている。
それを女の顔へと近づけていく。
その女は、うしろ手に縛られているようだった。
「なあ、俺は口でいいから、咥えてくれよ」
女は顔を背ける。そうはさせまいと、毛皮を着た男が女の髪を鷲づかみにし、無理やり露出した男根に近づけさせようとした。
女は眼をきつく閉じ、首をふろうとするが、髪を摑まれているためにそれができなかった。
女の唇に男根が触れる。
ジャンパーの男は興奮しているらしく、男根の先端からは、精液ではない透明な体液があふれ出していた。
「口を開(ひら)けよ」
女は唇を固く閉ざし、なんとか抵抗をみせている。
その唇に、男根からあふれた体液が付着し、糸を引いた。
「おい、ほら、口を開けって」
毛皮の男が、もう片方の手で女の両頬を掴み、強引に口を開けさせようとした。
女はあらがうが、男の力には勝てずに口を開かされた。
「咬むなよ」
いきり立った男根が、ゆっくりと女の唇に入りこんでいく。
「おおう……」
ジャンパーの男は、喜悦の声を洩らした。
「おお、いいぞ。たまらん……。もっと舌を使え。おう、そうだ」
男の顔には、快い悦びにとろけてしまいそうな表情が浮かんでいる。
ダウンジャケットの男は、その光景をにやにやと眺めている。
と、そこへ、
「ずいぶんと、楽しそうだな」
とつぜん背後から聴こえてきた声に、ダウンジャケットの男がハッとしてふり返った。
蝶子がそこに立っていた。
「な、なんだ、おめえは!」
仲間のその声に、毛皮を着た男が顔を向ける。
「おう、これはまた、べっぴんなおねえちゃんのお出ましじゃねえか」
男は立ち上がって蝶子を見つめた。
女に男根を咥えさせている男は、とつぜん現れた珍客には眼もくれず、自分の悦楽に陶酔しきっている。
「いいねえ、そのコスプレ。おねえちゃんはそういう趣味かい? 俺と趣味が合うぜ。そういうの好きだぜ」
「女王様、悪いボクをぶってえ」
ふたりの口許に下卑た笑み浮かぶ。
「こっちに来なよ。一緒に楽しもうじゃねえか」
毛皮の男が蝶子を手招きした。
「いやあ、これはまた、いい女だあ。その胸もたまんないねえ」
ダウンジャケットの男が、舌なめずりをしながら蝶子に近づいていく。
「こんなところにいたら寒いだろう? 焚火の周りは温まるぜ。なあに、異形人なら心配はいらねえ。もしやって来たとしても、俺たちが返り討ちにしてやるからよ」
ダウンジャケットの男は、蝶子の肩に手を置いた。
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