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チャプター【17】
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「なんとも言えん。いまのところはな。これはあくまでも、わたしの推測でしかない。しかし、この推測が正しければ……」
谷垣が言った。
「とんでもないことになりますよ。谷垣先生がおっしゃった、地球外ウイルスによる生物災害(バイオ・ハザード)どころではすまされない。これは、地球外生命体の侵略かもしれません……」
宮田は眉根を寄せた。
「侵略というのは少しオーバーだと思うが、ともかく、いまはなんとも言えん。なんにせよ、これはもう私たち医師がどうこうできる問題ではない」
「では、どうするおつもりですか!」
そう言ったのは、女性の医療スタッフだった。
谷垣と宮田の会話を聞いていて、矢も楯もたまらず、口からこぼれ出してしまったのだろう。その顔には、明らかに戦慄(せんりつ)の色が浮かんでいた。
「心配することはない。いま話の中に出たように、空気感染の恐れはない。それに、彼らが個別に入っている待機室は、内側からは開けることはできないことは知っているね。ということは、監禁しているのと同じことなんだ。だから、安心したまえ。そして、いま君が訊いてきたことに関しては、すでに科学者チームに連絡を取った」
落ち着かせるように、谷垣が言った。
「そうですか。では、大丈夫なんですね」
念を押すように、医療スタッフが言った。
「ああ。恐がらなくていい」
谷垣はうなずいた。
医療スタッフは、それで少しは安心したようだった。
「それで、これは搭乗員5名のだれの血液なんですか」
パソコンの画像を見つめている宮田が、改めるように訊いた。
「九鬼くんのものだよ。しかし、他の搭乗員の血液も、同じ結果が出ている」
谷垣のその返答を聞き、宮田は瞼を閉じて首をふった。
と、そのときだった。
検査室内の警報アラームが、とつぜん鳴り出した。
何事だとばかりに、谷垣はすぐにデスクの電話の受話器を取り、内線で警備室を呼び出した。
だが、呼び出しのコール音が聴こえるばかりで、応答はない。
「だれも出ない。まさか、つきかげ号のクルーになにか異変が起きたのか」
状況を考えればそう思わざるを得ず、谷垣は立ち上がろうとした。
それを、宮田が手で制すようにして止めた。
「そのまさかを確かめてきます。九鬼は、私の同期ですから」
「そうか。わかった。くれぐれも気をつけるんだぞ。宮田くん」
それに宮田はうなずき、医療スタッフに眼を向けると、
「君も、ここにいなさい。決して、自分の判断で外に出るんじゃない。いいね」
そう言って、検査室を出ていった。
宮田は、廊下を右へと進んだ。
その方向に、宇宙飛行士たちの入室している待機室があるからだ。
廊下にも、警報アラームは鳴り響いていた。
前方から、男性医療スタッフが走ってきた。
「君! なにがあったんだ!」
その医療スタッフを、宮田は呼び止めた。
「ああ、はい。つきかげ号の搭乗員ふたりが、と、とつぜん、獣に……、いや、あれはバケモノだ……」
医療スタッフは、恐怖に怯えていた。
「それで、どうしたんだ!」
宮田は、怯える医療スタッフの肩を揺すった。
「バ、バケモノとなったふたりは、待機室のドアを破り、ス、スタッフや警備員を襲いはじめたんです」
医療スタッフの声は震えていた。
「なんだって! そのバケモノになってしまったというのは、だれとだれだ!」
「田島宇宙飛行士と水野宇宙飛行士です」
「船長と残りふたりは」
「わ、わかりません……。あまりのことに、夢中で逃げてきたものですから……」
医療スタッフは、顔をうなだれた。
「いや、それでいいんだ。謝ることはない」
宮田は廊下の先へと眼をやり、そして医療スタッフに眼をもどすと、
「君に頼みがある。検査室に谷垣先生と女性スタッフがいる。ふたりを安全な場所へ、避難させてくれ!」
そう言った。
「わかりました。それで、先生はどうするんですか」
「わたしは、先へいく」
「それは危険ですよ!」
「わかっている。とにかく君は、わたしがいま言ったことを実行してくれ」
「……はい」
その返事を聞き、宮田は廊下の先へと足を向けた。
谷垣が言った。
「とんでもないことになりますよ。谷垣先生がおっしゃった、地球外ウイルスによる生物災害(バイオ・ハザード)どころではすまされない。これは、地球外生命体の侵略かもしれません……」
宮田は眉根を寄せた。
「侵略というのは少しオーバーだと思うが、ともかく、いまはなんとも言えん。なんにせよ、これはもう私たち医師がどうこうできる問題ではない」
「では、どうするおつもりですか!」
そう言ったのは、女性の医療スタッフだった。
谷垣と宮田の会話を聞いていて、矢も楯もたまらず、口からこぼれ出してしまったのだろう。その顔には、明らかに戦慄(せんりつ)の色が浮かんでいた。
「心配することはない。いま話の中に出たように、空気感染の恐れはない。それに、彼らが個別に入っている待機室は、内側からは開けることはできないことは知っているね。ということは、監禁しているのと同じことなんだ。だから、安心したまえ。そして、いま君が訊いてきたことに関しては、すでに科学者チームに連絡を取った」
落ち着かせるように、谷垣が言った。
「そうですか。では、大丈夫なんですね」
念を押すように、医療スタッフが言った。
「ああ。恐がらなくていい」
谷垣はうなずいた。
医療スタッフは、それで少しは安心したようだった。
「それで、これは搭乗員5名のだれの血液なんですか」
パソコンの画像を見つめている宮田が、改めるように訊いた。
「九鬼くんのものだよ。しかし、他の搭乗員の血液も、同じ結果が出ている」
谷垣のその返答を聞き、宮田は瞼を閉じて首をふった。
と、そのときだった。
検査室内の警報アラームが、とつぜん鳴り出した。
何事だとばかりに、谷垣はすぐにデスクの電話の受話器を取り、内線で警備室を呼び出した。
だが、呼び出しのコール音が聴こえるばかりで、応答はない。
「だれも出ない。まさか、つきかげ号のクルーになにか異変が起きたのか」
状況を考えればそう思わざるを得ず、谷垣は立ち上がろうとした。
それを、宮田が手で制すようにして止めた。
「そのまさかを確かめてきます。九鬼は、私の同期ですから」
「そうか。わかった。くれぐれも気をつけるんだぞ。宮田くん」
それに宮田はうなずき、医療スタッフに眼を向けると、
「君も、ここにいなさい。決して、自分の判断で外に出るんじゃない。いいね」
そう言って、検査室を出ていった。
宮田は、廊下を右へと進んだ。
その方向に、宇宙飛行士たちの入室している待機室があるからだ。
廊下にも、警報アラームは鳴り響いていた。
前方から、男性医療スタッフが走ってきた。
「君! なにがあったんだ!」
その医療スタッフを、宮田は呼び止めた。
「ああ、はい。つきかげ号の搭乗員ふたりが、と、とつぜん、獣に……、いや、あれはバケモノだ……」
医療スタッフは、恐怖に怯えていた。
「それで、どうしたんだ!」
宮田は、怯える医療スタッフの肩を揺すった。
「バ、バケモノとなったふたりは、待機室のドアを破り、ス、スタッフや警備員を襲いはじめたんです」
医療スタッフの声は震えていた。
「なんだって! そのバケモノになってしまったというのは、だれとだれだ!」
「田島宇宙飛行士と水野宇宙飛行士です」
「船長と残りふたりは」
「わ、わかりません……。あまりのことに、夢中で逃げてきたものですから……」
医療スタッフは、顔をうなだれた。
「いや、それでいいんだ。謝ることはない」
宮田は廊下の先へと眼をやり、そして医療スタッフに眼をもどすと、
「君に頼みがある。検査室に谷垣先生と女性スタッフがいる。ふたりを安全な場所へ、避難させてくれ!」
そう言った。
「わかりました。それで、先生はどうするんですか」
「わたしは、先へいく」
「それは危険ですよ!」
「わかっている。とにかく君は、わたしがいま言ったことを実行してくれ」
「……はい」
その返事を聞き、宮田は廊下の先へと足を向けた。
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