【完結】Switchなんて聞いてない──氷のエリート様が年下の溺愛Domに溶かされるまで──

牛丸 ちよ

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Subとしての生活

16 Holic【5】 *R18

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「むりっ、だっ、杜上っ」

 仰向けで両脚を宙に投げ出し、杜上に尻を差し出している。これを間抜けな姿と言わずしてなんと言うだろう。

 杜上は気にしていない様子で、俺の中へ深く挿入はいってくる。
 息を詰まらせるほどの性器のサイズ感に圧倒されていた。

「無理じゃないでしょう。ぜんぶ入りましたよ」

「むりだ、こんな──」

 彼が腰を引けば、内側が生々しく擦れて襞が裏返っていく。

「っぁ、ああぁ……!」

 慎重に動いてくれているのはわかるが、そのぶん未知をじっくり味わうハメになる。

(声っ、でる……っ、情けない声っ……出したいわけじゃないのに……)

「動きますね」

 浅いところで抜き挿しが始まった。──自分の後孔が性感帯として機能する事実を突きつけられ、声にならない悲鳴をあげる。

「っく……ぁ……!」

「まだ少し、キツかったですね……。つらくないですか?」

 つらくないと言えば嘘になるが、つらいと言うには気持ち良すぎる。
 初めて経験する快感に戸惑い、返事どころではなかった。

「はっ、ぁっ、あぁあ……! っ、ぁ……!」

 シーツを握りしめたまま身体をよじる。無意識に身体が逃げていた。
 繋がりが解けかけたとき、肩を捕まえられてしまう。

「僕は質問しているんですよ。《答えてください》」

「~~~ッ!」

 こいつ、俺が嫌がっていないのをわかっていて。

 力任せに引き寄せられた。
 敏感な箇所を突き上げられ、ジンと頭が痺れる。腹の奥が熱い。

 声を上擦らせる俺を見て、杜上はそこを優しく、それでいてしつこくノックする。

「《言って》」

「ふぅっ、うぅっ……ぁ、あぁあ……っ!」

 淡々と追い詰めるようなピストンに蕩け悶えた。
 無防備によがる姿を見下ろされている。

「《言えSay》」

「きっ……、きもちいいっ! 気持ち良いからっ、わからないっ! どうしたらいいか……っ!」

 想像していたセックスと違う。
 こんな生娘のように抱かれるつもりはなかった。
 このまま流されて良いのかと、プライドが頭の中で暴れ回っている。

 腹に彼の手が置かれ、いたわるように撫でられた。

「ただ気持ち良くなっていいんですよ。快楽を受け入れて、好きなだけ声を出して」

 腹を撫でる彼の手が、勃起しきった俺の先端へ向かう。滴を垂らす鈴口に人差し指を押し当てた。
 離せば卑猥な糸が引く。己のだらしない性欲を見せつけられている気がして顔が熱くなる。

 恥じらう俺へ、杜上は微笑んだ。

「恥ずかしいところもぜんぶ見せてください」

 突然、控えめだったピストンが激しくなる。

「~~~~~っ!? ああぁっ!」

「ここ、好きなんですね」

 弱いところを先ほどとは比べ物にならない深さで抉られ、まぶたの裏に火花が散った。

「あっ、あ、ぁっ! ああぁっ! そこ、だめだっ、良すぎるからぁっ!」

 射精してもおかしくない快感の高みへ一気に押し上げられ、突かれるたび鮮烈な快楽を浴びる。
 気が付くと、命乞いするかのように杜上の腕をつかんで爪を立てていた。
 身体をくねらせて快楽を逃がそうと暴れる。

「どうしても腰が逃げてしまいますね。……体勢、こうしてみますか?」

 彼がナカから抜け出る感覚にビクンと腰が跳ねた。
 なぜ急に行為を中断したのかわからず戸惑っていると、四つん這いの姿勢になるよう命じられた。
 力の入らない身体を支えられながら起き上がる。 

 彼の大きさを覚えてしまった後孔が喪失感でひくついている。
 犬のように這った俺の背後をとると、杜上は性器をそこへあてがった。

「んっ……!」

 再び挿入されれば俺の身体はわかりやすく期待してしまう。
 けれど、杜上から動く気配がない。

「僕が攻めたら逃げるわけでしょう?」

 みなまで言われるよりも先に、俺は自ら腰を揺らしていた。
 我慢できない。

「はっ、はっ……、ぁっ……!」

 膨らみきったペニスが痛い。頭の中は射精のことでいっぱいだった。
 杜上の腰に向かって尻を打ちつける。
 なかなか気持ち良いところに当たらなくて、もどかしく腰をグラインドさせた。

(もう、射精したい……っ、イきたい……っ)

「一生懸命気持ち良くなろうとしていて……可愛いですよ。──《Good》」

「はぁっ、あぁ、あっ、あぁ……っ!」

 肉体的な快感と精神的な快感が理性を溶かす。
 背中を撫でられながら夢中で快楽を追った。

 けれどそう長く保たず、腕に力が入らなくなってへたり込む。

「力入らなくなっちゃいました?」

「はっ……、はっ……、……っ」

 動くのを止めても気持ち良いのが続いていて、ぶるっと身体が震える。
 あと少しでイけそうなのに。

 背後から抱き留められ、耳元で杜上が囁いた。

「もう逃げない?」

「に、げない」

 かすれた声で答える。
 すると杜上は俺の左手をとり、恋人にするような繋ぎ方をすると強く握った。

っ」

 手のひらには自分でつけた傷がある。
 治っていないため、圧迫されるとかなり痛い。

「Domがあなたに近づいたら、この痛みを──僕を思い出してください。《Mindいいですね》」

 念押しするその言葉に重なるのは《Mind》だった。
 広い解釈ができるCommandだが、もっぱらkeep it in mind──心に焼き付けろの意図で使われる。

「……おまえ以外のっ……Commandは、受け入れるなって……っ?」

「ええ、そうです」

 俺が痛がっているのに手を離そうとしない。
 日中の優男ぶりが嘘のようだ。理由はわからないが、そんなに俺が欲しいのか。

 ぐり、と腰を押し付けられて甘い声が出てしまう。
 いまとなっては左手の痛みも官能のスパイスでしかない。
 動かないままでもイけそうだった。

 快楽に集中しようとしているのを察したのか、杜上が厳しくCommandを放つ。

「返事がまだです。《許可しません》」

 無視できないはずがないのに、意識が彼の言葉に注目してしまう。
 イってはダメだと勝手に身体が緊張する。

「と、がみ、……っ」

「杜上、じゃなくて」

「~~~千裕っ、ちひろっ! イきたいっ、イくっ、イくからっ、っ、もうっ……!」

 すがるようにギュウと手を握り返す。痛い。
 宣言と共に本能的に悟る。意識に刻まれたこの痛みが、杜上を連想するトリガー──Collarカラーになったのだと。

 Collarのことは簡単な知識としてしか知らない。
 Domとして誰かにかけたこともなかったし、ましてSubとしてかけられたことなど。

 褒美のように抽迭が始まる。
 俺の気持ち良いように存分に突いてもらえて、恥じらいも忘れてよがった。

「ぁっ、あぁっ! そこ、ぁああっ! イかせてっ、イかせてくれっ! あ、ぁ、あっ!」

 苦しいほど抱きしめられていた。
 は、は、と耳元で杜上の荒い息遣いが聞こえる。彼も理性をかなぐり捨て、快楽おれを貪っているように見えた。
 いままでのPlayがどれほど業務的りせいてきだったか。Dom特有の支配欲の強さを身体でわからせられる。

「あ、ぁっ! イ、く……っ!」

「ええ、良いですよ、大慈さん。──《Cumイけ》」

「~~~~い……ッ……!」

 痛みも忘れて彼の手を握りしめ、まばゆいまでの恍惚に身を委ねた。

「あ、ぁ……っ、ぁ……っ」

 たっぷりと精液を吐き出しながら惚ける。

「《上手にイけましたね》」

 ゆるやかに続く余韻の中で囁かれると、声だけで腰がびくっと跳ねる。

(この感じは……なんだ……? 頭がふわふわして……ずっときもちいい……)

「昨日、どうするつもりだったんですか」

 いつかと同じ質問をされる。
 何かを――俺が自暴自棄であると見抜いていて、それを怒っていることを優しく伝えようとする声色だ。

 俺は聞き入ってしまって、返事するのを忘れていた。

「……僕の声、好きですか? 《答えて》」

 ぼうっとする頭もCommandには反応する。

「嫌いじゃ……ない」

「じゃあ、僕の声だけ聞いていてください」

 いままさにそうしているじゃないか。
 そう思う俺の心を読んだかのように、杜上は言葉を付け足す。

「明日も明後日も、これからもずっとです。大慈さんは僕の声だけを聞いて、僕が許すこと以外、実行しないで」

 なんだそれ。考えることをやめろと言っているようなものだ。
 そんなこと、この俺ができるわけがない。

「《誓って》」

 Mind。ありえない要求だとわかっているのに……俺はこくりと頷いていた。

「《good boy》」

 再びベッドに組み伏せられて、そっと体重をかけられる。

「もう少し付き合ってくださいね」

 そういえば、彼はまだイっていないんだった。
 文句もなく彼の背へ両手を回して身体を差し出せば、遠慮なく突き上げられた。
 そのまま、イったばかりで敏感になっている身体をかき混ぜられていく。

「ふぅうっ、あ、ぁっ、ああぁっ!」

 ふわふわした感覚は相変わらずで、揺さぶられると目が回る。
 もしかして、これがSub spaceというやつだろうか。なんて、なんて幸せな心地なんだろう。
 開きっぱなしの口から涎も嬌声も垂れ流しながら、すぐにまたイきそうになっていた。

「ちひろっ、いく、いくっ……!」

「イって、僕でイってください、大慈さん……っ!」

 同時に果てると、甘やかすようにRewardを囁かれ続ける。
 肉体か脳か、どこからくる快感なのかわからなくなりながら、意識は焼き切れかけていた。

「──はじめからこうすれば良かった」

 気絶するように眠りに落ちていく中で、そんな声が聞こえた気がした。
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