俺は目立ちたくないんだ!(あんな両親を持った俺はどうしても目立ってしまうようです)

makochi

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第1章 伝説の幕開け

レイファ・シック・ウォートン、その1

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 私はレイファ・シック・ウォートン。標高1500メートルを誇るドンドリオン大山の麓に位置するドーランゼル村に住む女の子よ。
 私がなぜ危険を冒してまでドンドリオン大山を登ったのか教えるわ……

 あれはアイクと出会う2日ほど前のこと。

 私たちウォートン家は年に一度ドンドリオン大山にピクニックに行くの。
 もちろん、野獣がいるため護衛を2人つけてね。彼らは狼型の野獣ならばいくらかかってこようとも簡単に倒せるくらいの力は持っていたわ。
 だからこそ、今までのピクニックでは誰一人としてケガする人はいなかったわ。

 でもあいつは他の野獣と格が違った。

 野獣ゲアロス……やつはドンドリオン大山の特産品であるドンドリオン薬草を主食としている草食の野獣よ。
 体長13メートルほどで、移動方法は二足歩行。太い脚に対して腕はとても小さく、アンバランスな印象を受ける。
 5メートルほどの長さの尻尾には毒々しく太い棘が無数に生えており、その棘にはドンドリオン薬草に含まれる毒が蓄積されており、その毒を受けてしまうと3日ほどで死に至る。
 縄張りテリトリーにさえ入らなければ襲ってこない野獣の中でも珍しい平穏種カームと呼ばれる種よ。

 ゲアロスはドンドリオン大山の中でも圧倒的な力を持っていたためドンドリオン村もドーランゼル村も縄張りの位置を把握し、やつを危険視していたわ。

 だから私たちはいつも通りゲアロスの縄張りを避けながらピクニックをしていたわ。
 なのに私たちの目の前にゲアロスが現れてしまった。

 お父さんが言っていたわ。

「ゲアロスの縄張り移動なんて20年間聞いたことがない!」
って。

 護衛の彼らは私たちを逃がすための時間稼ぎのため、剣を抜いて斬りかかっていったわ。

 その隙に私たちは逃げようとした。でも相手が悪すぎたわ。
 彼らは30秒も保たずに死んでしまった。二人ともその大きな脚で踏み潰されて終わりよ……

 侵入者に対して執念しゅうねん深いやつはすぐさま私たちを追ってきたわ。
 やつは私に尻尾の先端を向けて棘を飛ばしてきた。それが私の体に当たるその瞬間

「レイファ、危ない!」
お母さんの叫び声が聞こえた瞬間ドスッと私の体が押された。
 お母さんが私のことを棘から守ったのです。

 私を守ったお母さんの脇腹には棘の掠った痕がありました。

「マーリン、大丈夫か!?」
お父さんがお母さんに声を掛けます。体をゆすってもお母さんは苦しそうにうめくだけでした。

 刻一刻と近づいてくるゲアロス。私たちは死を覚悟しました。

 やつが大きく脚を上げ私たちのことを踏み潰そうとしたその時、上空から大きな黒い影が降ってきました。

 それはゲアロスの頭部に直撃し、踏み潰そうとしたいたやつの脚の軌道を変えてやつを失神させました。

 やつに当たった巨大な木……あれは一体何だったんでしょう?

 運良くドンドリオン大山を下りドーランゼル村に戻ることができました。
 
 しかし、ゲアロスの棘に含まれていた毒はお母さんの体をむしばみ続けます。
 お母さんの毒を中和するのもまたドンドリオン薬草なのです。

 ドンドリオン薬草はドンドリオン大山の1000メートル地点に群生する植物です。
 何も加工しないと毒となり体を蝕むのですが、技術を持ったものが加工するとほとんどの毒を中和することのできる薬となるのです。
 しかも、ドンドリオン薬草の毒を中和できるものはドンドリオン薬草のを使った薬か、ケガも病気も一瞬で治療できる神の医薬品エリクサーだけなのです。

 お母さんに残された時間はそう長くありません。ドンドリオン薬草を採るための人員を集めている時間もありません。

 だから私は危険を覚悟の上でドンドリオン大山を登ったのでした。

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