俺は目立ちたくないんだ!(あんな両親を持った俺はどうしても目立ってしまうようです)

makochi

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第1章 伝説の幕開け

俺は、一体何者なんだ!?

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 私から見てもゲアロスによる尻尾の一撃はアイクをしっかりと捉えていた。
 小さな子どもがあんな一撃をまともに食らって生きていられるわけがない。
 そう思わせるのに十分な威力があった。

 ゲアロスがとどめを刺しに悠然ゆうぜんと近づいていく。
 奴の歩調はいかにも余裕そうだ。

 きっとアイクが死んだあと私も彼の後を追うことになるのだろう。
 恐怖のあまり足が動かない。小刻みに震えてまともに動かせないのだ。
 足元には汚い水溜りができていた。

 いよいよゲアロスがアイクにとどめを刺そうとしたその瞬間、目を疑うことが起こった。

 アイクが立ち上がったのだ。

 ゲアロスもかなり驚いている様子だった。自分よりもはるかに小さな子どもが骨を折り、内臓を傷つけたであろう一撃を受けて立ち上がったのだ。

 一瞬の膠着こうちゃく状態。その隙を見逃すアイクではなかった。

 飛び上がって拳をゲアロスの傷口に向かって叩きつけた。

 ありえない衝撃が起こった。子どもの身ではとうてい放つことのできない重い一撃。

 よく目を凝らしてみると、アイクの腕が何やら赤く変化していた。

「何、あの腕……」
 アイクの身体が次々と変化していく。ゲアロスを殴った右腕から侵食していくかの様に少しずつと。

 赤い侵食は鱗のようだった。それはびっしりと彼の体を覆っていく。
 私のせいで負傷した左腕さえも。

 未だダメージが抜け切らないゲアロスにアイクは追い打いうちをかける。形勢逆転だ。

 爪の様に変化した腕で引っき、強烈な膝蹴り。

 ゲアロスは必死にアイクへと噛みつこうとするが、ダメージにより遅くなった攻撃などアイクには当たらない。

 少しステップをするだけで容易よういに避けられてしまう。

 鋼鉄をも弾く鱗でも物理的な衝撃は逃がしきれず、ダメージを負うようだ。

 そのことを察したアイクは引っ掻きなど効果ないと考え拳を握り、大きく振りかぶった。

 彼の拳が命中する寸前でゲアロスは狙われていた頭部を僅かに動かし、なんとか致命傷を避けた。

 ゲアロスは大きく後退した。少しでもアイクとの距離を取ろうと考えたのだ。

 傷口を狙わないと決め手に欠けるアイク、攻撃を当てられないゲアロス。

 先に動いたのはやはりアイクだった。彼はこのような状況になると真っ先に動くのだ。

 彼の身体に赤い魔力がまとわりつく。恐ろしい魔力量だ。

 さすがに身の危険を感じたのかすぐさまゲアロスが尻尾を振りかぶり毒棘を飛ばす。

 だが当たらない。彼は機敏に動きながらもまとう魔力量が少しずつ大きくなっていく。

 逃げるアイク、追うゲアロス。

 自分よりはるかに小さいアイクはゲアロスにとって攻撃が当てづらくて仕方がないだろう。

 そしてついにアイクの魔法が完成した。夜の闇を真っ赤に照らすほどの炎の魔法だ。

緋龍帝ひりゅうてい魔法:緋炎波ひえんは。」
膨大な炎を受けてもまだ死なないゲアロス。しかし、やつはもう虫の息だ。

 やっと落ち着いた、そう思ってアイクに近づこうと思ったがアイクの様子がなにやらおかしい。

 ゲアロスの体を引きちぎりだしたのだ。

 安らかに眠らせてあげれば良いものをアイクは狂ったようにゲアロスをもてあそぶ。

「グギュラァァァーー!!」
舞う鮮血とゲアロスの絶叫。

 アイクの身体はもはや原型を無くすほどに変化していた。

 私は、一体どうしたら……

 私はこんなアイクを見たくない一心で彼に走り寄りら私とあまり変わらないその小さな身体に思いっきり抱きついた。

 姿が変わろうともアイクはアイクだ。

「もう充分だよ。私の護衛のかたきをとってくれてありがとう。アイクは優しいから。」
すると彼は力が抜けた様にふっと地面に倒れた。

 赤い侵食はたちまち霧散していき、後に残ったのは傷1つないキレイなアイクだけだった。


 
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