11 / 12
第1章 伝説の幕開け
俺は、一体何者なんだ!?
しおりを挟む
私から見てもゲアロスによる尻尾の一撃はアイクをしっかりと捉えていた。
小さな子どもがあんな一撃をまともに食らって生きていられるわけがない。
そう思わせるのに十分な威力があった。
ゲアロスがとどめを刺しに悠然と近づいていく。
奴の歩調はいかにも余裕そうだ。
きっとアイクが死んだあと私も彼の後を追うことになるのだろう。
恐怖のあまり足が動かない。小刻みに震えてまともに動かせないのだ。
足元には汚い水溜りができていた。
いよいよゲアロスがアイクにとどめを刺そうとしたその瞬間、目を疑うことが起こった。
アイクが立ち上がったのだ。
ゲアロスもかなり驚いている様子だった。自分よりもはるかに小さな子どもが骨を折り、内臓を傷つけたであろう一撃を受けて立ち上がったのだ。
一瞬の膠着状態。その隙を見逃すアイクではなかった。
飛び上がって拳をゲアロスの傷口に向かって叩きつけた。
ありえない衝撃が起こった。子どもの身ではとうてい放つことのできない重い一撃。
よく目を凝らしてみると、アイクの腕が何やら赤く変化していた。
「何、あの腕……」
アイクの身体が次々と変化していく。ゲアロスを殴った右腕から侵食していくかの様に少しずつと。
赤い侵食は鱗のようだった。それはびっしりと彼の体を覆っていく。
私のせいで負傷した左腕さえも。
未だダメージが抜け切らないゲアロスにアイクは追い打いうちをかける。形勢逆転だ。
爪の様に変化した腕で引っ搔き、強烈な膝蹴り。
ゲアロスは必死にアイクへと噛みつこうとするが、ダメージにより遅くなった攻撃などアイクには当たらない。
少しステップをするだけで容易に避けられてしまう。
鋼鉄をも弾く鱗でも物理的な衝撃は逃がしきれず、ダメージを負うようだ。
そのことを察したアイクは引っ掻きなど効果ないと考え拳を握り、大きく振りかぶった。
彼の拳が命中する寸前でゲアロスは狙われていた頭部を僅かに動かし、なんとか致命傷を避けた。
ゲアロスは大きく後退した。少しでもアイクとの距離を取ろうと考えたのだ。
傷口を狙わないと決め手に欠けるアイク、攻撃を当てられないゲアロス。
先に動いたのはやはりアイクだった。彼はこのような状況になると真っ先に動くのだ。
彼の身体に赤い魔力がまとわりつく。恐ろしい魔力量だ。
さすがに身の危険を感じたのかすぐさまゲアロスが尻尾を振りかぶり毒棘を飛ばす。
だが当たらない。彼は機敏に動きながらもまとう魔力量が少しずつ大きくなっていく。
逃げるアイク、追うゲアロス。
自分よりはるかに小さいアイクはゲアロスにとって攻撃が当てづらくて仕方がないだろう。
そしてついにアイクの魔法が完成した。夜の闇を真っ赤に照らすほどの炎の魔法だ。
「緋龍帝魔法:緋炎波。」
膨大な炎を受けてもまだ死なないゲアロス。しかし、やつはもう虫の息だ。
やっと落ち着いた、そう思ってアイクに近づこうと思ったがアイクの様子がなにやらおかしい。
ゲアロスの体を引きちぎりだしたのだ。
安らかに眠らせてあげれば良いものをアイクは狂ったようにゲアロスを弄ぶ。
「グギュラァァァーー!!」
舞う鮮血とゲアロスの絶叫。
アイクの身体はもはや原型を無くすほどに変化していた。
私は、一体どうしたら……
私はこんなアイクを見たくない一心で彼に走り寄りら私とあまり変わらないその小さな身体に思いっきり抱きついた。
姿が変わろうともアイクはアイクだ。
「もう充分だよ。私の護衛の仇をとってくれてありがとう。アイクは優しいから。」
すると彼は力が抜けた様にふっと地面に倒れた。
赤い侵食はたちまち霧散していき、後に残ったのは傷1つないキレイなアイクだけだった。
小さな子どもがあんな一撃をまともに食らって生きていられるわけがない。
そう思わせるのに十分な威力があった。
ゲアロスがとどめを刺しに悠然と近づいていく。
奴の歩調はいかにも余裕そうだ。
きっとアイクが死んだあと私も彼の後を追うことになるのだろう。
恐怖のあまり足が動かない。小刻みに震えてまともに動かせないのだ。
足元には汚い水溜りができていた。
いよいよゲアロスがアイクにとどめを刺そうとしたその瞬間、目を疑うことが起こった。
アイクが立ち上がったのだ。
ゲアロスもかなり驚いている様子だった。自分よりもはるかに小さな子どもが骨を折り、内臓を傷つけたであろう一撃を受けて立ち上がったのだ。
一瞬の膠着状態。その隙を見逃すアイクではなかった。
飛び上がって拳をゲアロスの傷口に向かって叩きつけた。
ありえない衝撃が起こった。子どもの身ではとうてい放つことのできない重い一撃。
よく目を凝らしてみると、アイクの腕が何やら赤く変化していた。
「何、あの腕……」
アイクの身体が次々と変化していく。ゲアロスを殴った右腕から侵食していくかの様に少しずつと。
赤い侵食は鱗のようだった。それはびっしりと彼の体を覆っていく。
私のせいで負傷した左腕さえも。
未だダメージが抜け切らないゲアロスにアイクは追い打いうちをかける。形勢逆転だ。
爪の様に変化した腕で引っ搔き、強烈な膝蹴り。
ゲアロスは必死にアイクへと噛みつこうとするが、ダメージにより遅くなった攻撃などアイクには当たらない。
少しステップをするだけで容易に避けられてしまう。
鋼鉄をも弾く鱗でも物理的な衝撃は逃がしきれず、ダメージを負うようだ。
そのことを察したアイクは引っ掻きなど効果ないと考え拳を握り、大きく振りかぶった。
彼の拳が命中する寸前でゲアロスは狙われていた頭部を僅かに動かし、なんとか致命傷を避けた。
ゲアロスは大きく後退した。少しでもアイクとの距離を取ろうと考えたのだ。
傷口を狙わないと決め手に欠けるアイク、攻撃を当てられないゲアロス。
先に動いたのはやはりアイクだった。彼はこのような状況になると真っ先に動くのだ。
彼の身体に赤い魔力がまとわりつく。恐ろしい魔力量だ。
さすがに身の危険を感じたのかすぐさまゲアロスが尻尾を振りかぶり毒棘を飛ばす。
だが当たらない。彼は機敏に動きながらもまとう魔力量が少しずつ大きくなっていく。
逃げるアイク、追うゲアロス。
自分よりはるかに小さいアイクはゲアロスにとって攻撃が当てづらくて仕方がないだろう。
そしてついにアイクの魔法が完成した。夜の闇を真っ赤に照らすほどの炎の魔法だ。
「緋龍帝魔法:緋炎波。」
膨大な炎を受けてもまだ死なないゲアロス。しかし、やつはもう虫の息だ。
やっと落ち着いた、そう思ってアイクに近づこうと思ったがアイクの様子がなにやらおかしい。
ゲアロスの体を引きちぎりだしたのだ。
安らかに眠らせてあげれば良いものをアイクは狂ったようにゲアロスを弄ぶ。
「グギュラァァァーー!!」
舞う鮮血とゲアロスの絶叫。
アイクの身体はもはや原型を無くすほどに変化していた。
私は、一体どうしたら……
私はこんなアイクを見たくない一心で彼に走り寄りら私とあまり変わらないその小さな身体に思いっきり抱きついた。
姿が変わろうともアイクはアイクだ。
「もう充分だよ。私の護衛の仇をとってくれてありがとう。アイクは優しいから。」
すると彼は力が抜けた様にふっと地面に倒れた。
赤い侵食はたちまち霧散していき、後に残ったのは傷1つないキレイなアイクだけだった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる